日本小児血液学会雑誌
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小児期に造血幹細胞移植を受けた患者の最終身長に関する検討
前田 尚子堀部 敬三工藤 寿子小島 勢二加藤 剛二
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2005 年 19 巻 6 号 p. 592-597

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抄録

1983~1998年までに造血幹細胞移植を行った60例 (男35例, 女25例) の小児の最終身長について検討した.移植時年齢の中央値は11歳3ヵ月, 観察期間中央値13年 (5年5カ月~19年9カ月), 原疾患は急性白血病37例, 再生不良性貧血12例, 悪性リンパ腫7例, 神経芽腫2例, 慢性骨髄性白血病2例.前処置は全身放射線照射 (TBI) 36例, 全身リンパ節照射 (TLI) 9例, 非照射15例であった.移植前に頭蓋放射線照射 (cRT, 18-24 Gy) を施行されたものは急性リンパ性白血病25例中9例で, うち7例ではTBIが用いられた.ホルモン補充療法は, 成長ホルモン3例, 男性ホルモン5例, 女性ホルモン13例に行われた.最終身長標準偏差値から移植時身長標準偏差値を減じたΔSDS低値に寄与する因子について検討した.TBI群はTLI群 (p=0.002), 非照射群 (p=0.0007) に比べ有意にΔSDS低値を示した.6歳未満でTBIを受けた群のΔSDSはそれ以上の2つの年齢群に対して (p=0.01, p<0.0001) 有意に低値であった. CRTの有無では, 有意差はみられなかった (p=0.39).多変量解析では, 男児, 移植時低年齢, TBI施行が移植後成長障害に影響する因子であった.

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