抄録
3歳男児のStage IVA神経芽細胞腫症例にmagnetic immunobeads処理骨髄を用いて自家骨髄移植を行った.寛解導入療法としては, cyclophosphamide, VCR, THP-ADM, CisDDPの4剤を4週間ごとに4クール終了後, 原発巣である左副腎を摘出し, 残存リンパ節塊に15Gyの開創照射を施行した.腫瘍のN-mycは30コピーと増幅がみられた.Magnetic immunobeads処理骨髄細胞を凍結保存し, 移植前処置としてmodified VAMP-TBIを行い, 1986年7月17日にpurged marrow cellを移植した.患児は, 移植後1年以上完全寛解を維持している.強力な化学放射線療法と腫瘍細胞を除去した自家骨髄移植は, 進行性NBの予後の改善に期待できる治療法と思われる.