日本小児血液学会雑誌
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小児特発性血小板減少性紫斑病120例の臨床的検討
生田 孝一郎深沢 啓治佐々木 秀樹小磯 良孝奥山 利也船曳 哲典梶ケ谷 保彦甲斐 純夫松山 秀介
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1988 年 2 巻 1 号 p. 54-60

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抄録
23年間に120例の小児ITPを治療した.これらの臨床像を解析し, 急性型における副皮ホルモンの効果, 慢性型の長期予後につき検討した.急性81, 慢性31, 再帰性6, 不明2であった.男62, 女58と性差を認めなかった.1歳未満が23例と最も多く, 加齢とともに減少する傾向を認めた.約半数に先行感染を認めた.発疹性疾患では全例急性型であった.急性型における血小板数の回復は, 副皮ホルモン使用群と非使用群において差を認めなかった.病初期に頭蓋内出血により2例が死亡した.副皮ホルモンの適応は出血傾向の程度により判断すべきと思われた.慢性型では26例中17例が, 8ヵ月から12年 (中央値38カ月) で自然寛解した.晩期の自然寛解もあるので, 脾摘の適応は出血傾向の強い難治例に限るべきと思われた.脾摘は7例で行われ5例で寛解, 2例で臨床的効果を認めた.大量免疫グロブリン療法は4例で行われ3例で急速な血小板の増加を認めた.適応を選べば有効な治療法と思われた.
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