日本小児血液学会雑誌
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染色体4;11転座を認めた乳児期発症ALLの2例
川上 清嶽崎 俊郎中園 伸一北原 琢磨二宮 誠
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1988 年 2 巻 2 号 p. 213-218

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抄録

乳児白血病の2例を報告する.症例1は2ヵ月の男児で先天性白血病と考えられ, 著明な白血球増多 (196,000/mm3) を認めた.芽球はperoxidase, α-naphthyl acetate esterase染色陰性で, 細胞免疫学的にはI2+, B4+, E-rosette-, SmIg-, J5-, T1B-, T11-, B2-, MY7-で末稍血は46, XY, t (4q-; 11q+) を認めた.症例2は3ヵ月の男児で白血球数82,000/mm3であった.芽球はperoxidase染色陰性で, 12+, B4+, SmIg-, J5, Leu9-, B1-, MY9-, MCS2-であり, 46, XY, t (4q-;11q+) を初診時に認めた.これら2例のt (4 ; 11) 白血病は初発時, 末期とも同一の芽球で, B-precursor由来と考えられた.この型のALLはハイ・リスクALLに準じた治療でも不十分で, より強力かつ繊細な支持療法が必要と思われた.

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