抄録
腫瘤形成傾向の強い小児急性リンパ性白血病 (ALL) に対しlymphoma syndrome leukemia (LSL) なる名称が提唱され, T-ALLと並ぶT-lymphoid malignancyの代表疾患であるlymphoblastic lymphomaとの異同が論ぜられている.LSL3症例の臨床症状および経過を報告した.いずれの症例も巨大な縦隔腫瘤などの腫瘤形成に基づく症状で発症したが貧血, 血小板減少は認められなかった.初回完全寛解にもかかわらず早期に (14ヵ月以内) 再発しその後の治療に抵抗し, 著明な髄外浸潤のため発症3年以内に死亡した.これら3症例の芽球はT-cell lineageで形態的にFAB分類L2に属するが, 核, 核クロマチン構造, 細胞質の染色性が典型的なALLの芽球とはニュアンスを異にしていた.以上より, LSLは臨床的にALLのなかで予後が絶対不良の独立した一疾患単位として捕らえられることが可能であり, 初発時治療にvery intensivechemotherapyあるいは骨髄移植を導入すべきであると考えられる.