日本小児血液学会雑誌
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感染に伴う貧血で発見された不安定ヘモグロビン症 (Hb Köln) の一例
黒崎 元之須田 純子杉田 憲一古川 利温野沢 百合子梶田 昭彦大庭 雄三宮地 隆興
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1988 年 2 巻 4 号 p. 423-426

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抄録
上気道感染を契機に高度の貧血を呈したHb Köln症の1例を報告する.患児は7歳の女児で, それまで貧血に気づかれていなかったが, 昭和61年5月末より発熱・全身倦怠感を呈し, 当院を紹介された.入院時, 軽度の肝脾腫・高度の貧血 (RBC 216 ×104/mm3, Hb 5.29/dl, Ht 19.1%, reticulocyte 1‰) が認められた.骨髄像では, 赤芽球系の過形成が認められた.Hbの検索において, セルロースアセテート膜電気泳動 (pH 8.6) では, HbAとHbA2の間に異常バンドが認められ, さらに逆相高速液体クロマトグラフィー (HPLC) により分離精製したβ鎖のアミノ酸分析では, 98番目のValがMetに置換されていることが同定され, Hb Kölnと診断された.なお, 家族の調査では, 異常Hbを有する者は他には認められなかった.
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