抄録
アスペルギルスは医療施設の改修などで飛散し, 入院中の免疫低下患者に侵襲性アスペルギルス症を引き起こす.このため, 免疫低下患者を収容する病院, 病棟での工事では, これらの患者をアスペルギルス感染症から守ることが非常に重要である.2006年6月に, 小児免疫機能低下患者が多数入院する当院にて病室改修工事が行われることになった.そのため工事前に, 工事業者および感染制御部, 血液専門医, 病棟責任者からなる感染対策チームを設置した.このチームにて防護壁の設置, 塵埃の処理方法などを決定し, さらに, 風向調査と微粒子採取を行った.その結果, アスペルギルスの飛散は工事当日に工事部所前廊下の風下側にみられたが, 翌日には消失したため, 当該廊下の通行禁止期間を6口問とし, 通行禁止区域は工事病室前のみと決定した.こうした予防対策の結果, その後1ヵ月にわたり経過を観察したが, 侵襲性アスペルギルス症の発生はみられなかった.今回われわれのとった方法は, 簡便かっ効率的で有効であると考えられた.