日本小児血液学会雑誌
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21 巻 , 2 号
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  • 鈴木 宏治
    2007 年 21 巻 2 号 p. 53-61
    発行日: 2007/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    血液凝固と炎症は創傷治癒における基本的反応であり, 相互に密接に関係している.傷害部位における血液凝固反応は, 活性化VIIa因子が凝固開始因子の組織因子 (tissue factor : TF) と複合体を形成して開始される.TF-VIIa因子複合体は逐次, IX因子およびX因子を活性化し, 最終的に生成されたトロンビンがフィブリン血栓を形成し止血する.トロンビンは止血のみでなく, 多くの細胞を活性化して, 生体のさまざまな生理的, 病理的作用を示す.このトロンビンの細胞膜受容体として発見されたprotease-activated receptor (PAR) は, その後の研究により, 4種類存在し, おのおのがトロンビン, Xa因子, VIIa因子・TF複合体, あるいは活性化プロテインCなどによって特異的に活性化され, 生理機能の発現, 組織の障害と修復, 血管新生, 癌細胞の増殖や遊走, 転移などに関わることが明らかになってきた.本稿では, おもに凝固開始因子のTFが関与する細胞の活性化とPARの関係を中心に, 最近の凝固因子による細胞の活性化とその制御の機構などについて概説する.
  • 木下 明俊, 近藤 健介
    2007 年 21 巻 2 号 p. 62-71
    発行日: 2007/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    化学療法や造血幹細胞移植の進歩に伴って, 小児血液腫瘍患者における深在性真菌症は増加傾向にある.抗真菌剤の予防投与の普及にもかかわらず, アスペルギルス感染症やカンジダ属での耐性株の増加が新たな問題となっている.深在性真菌症は治療開始が遅れると致命的になる疾患であり, 真菌症が疑われる患者には抗真菌剤の経験的治療が行われてきた.最近では, 新しい診断方法を駆使し, より真菌感染の疑いが濃厚な患者に早期治療を開始する治療法が考えられている.また, 従来アンホテリシンBが標準治療薬であったが, 近年, 毒性の少ない新規抗真菌剤が次々と登場し, 真菌症の治療は新たな時代を迎えている.しかし, 小児における深在性真菌症に関しては不明な点が多く, 新たな診断, 予防, 治療法の確立が望まれている.本稿では小児血液腫瘍疾患における深在性真菌症とその対策にっいて概説する.
  • 高橋 良博, 照井 君典, 遠野 千佳子, 佐々木 伸也, 工藤 耕, 神尾 卓哉, 丹代 諭, 小友 勇人, 北澤 淳一, 伊藤 悦朗
    2007 年 21 巻 2 号 p. 72-77
    発行日: 2007/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    当科で1999年から2005年までに小児造血器腫瘍に対して行われた非血縁者間臍帯血移植 (UCBT) 22例について検討した.6名が2回目の造血細胞移植で, うち3名はUCBT後の再発例であった.年齢の中央値9.5歳 (8カ月~20歳), 体重の中央値36kg (8~64 kg).ほとんどの症例で全身放射線照射 (14例), またはbusulfan (7例) を含んだ骨髄破壊的前処置が用いられた.移植臍帯血はHLA血清学的0-2抗原不一致で, 移植細胞数の中央値は4.3×107 /kg (2.4~11.0×107 /kg).20例で好中球生着が得られ, 中央値は22日, grade III-IVの急性移植片対宿主病 (GVHD) が8例で生じた.観察期間の中央値は6.5ヵ月で, 9/19名 (47.4%) が生存, 8例は非再発死亡であった.好中球生着が遅延した群は有意に生存率不良で, 再発がもっとも多いイベントであった.生存率向上のために, 早期の生着を意図した前処置およびGVHD予防の確立が望まれる.
  • 上山 潤一, 呉 彰, 奥野 啓介, 小西 恵理, 福永 真紀, 辻 靖博, 西川 健一, 神崎 晋
    2007 年 21 巻 2 号 p. 78-83
    発行日: 2007/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    私たちは, 初診時にt (6;9) (p23;q24) およびDEK-CANキメラ遺伝子陽性を有した急性骨髄性白血病 (FAB分類M2) の6歳女児例を経験した.患児は, 初回寛解導入療法で寛解に至らなかったため, サルベージ療法を施行し, その後寛解を得た.予後不良と判断し, 第1寛解期に非血縁ドナーによる同種骨髄移植を施行した.前処置は, ブスルファンとメルファランを使用した.血液学的回復は良好で移植関連合併症も軽微であった.現在患児は, 移植後5年を経過し, 微少残存病変 (MRD) も感度以下で寛解中である.よって, 移植後に継続的なMRD陰性を可能とする骨髄移植療法は, (6;9) 転座型を有するAMLに対し長期寛解を維持する可能性を示唆した.
  • 橋井 佳子, 楠木 重範, 滝沢 祥子, 時政 定雄, 虫明 聡太郎, 太田 秀明, 大薗 恵一
    2007 年 21 巻 2 号 p. 84-87
    発行日: 2007/04/30
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    アスペルギルスは医療施設の改修などで飛散し, 入院中の免疫低下患者に侵襲性アスペルギルス症を引き起こす.このため, 免疫低下患者を収容する病院, 病棟での工事では, これらの患者をアスペルギルス感染症から守ることが非常に重要である.2006年6月に, 小児免疫機能低下患者が多数入院する当院にて病室改修工事が行われることになった.そのため工事前に, 工事業者および感染制御部, 血液専門医, 病棟責任者からなる感染対策チームを設置した.このチームにて防護壁の設置, 塵埃の処理方法などを決定し, さらに, 風向調査と微粒子採取を行った.その結果, アスペルギルスの飛散は工事当日に工事部所前廊下の風下側にみられたが, 翌日には消失したため, 当該廊下の通行禁止期間を6口問とし, 通行禁止区域は工事病室前のみと決定した.こうした予防対策の結果, その後1ヵ月にわたり経過を観察したが, 侵襲性アスペルギルス症の発生はみられなかった.今回われわれのとった方法は, 簡便かっ効率的で有効であると考えられた.
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