日本小児血液学会雑誌
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フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の分子遺伝学 : 最近の知見
杉田 完爾
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2008 年 22 巻 4 号 p. 312-316

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抄録

BCR-ABLのキナーゼ阻害剤imatinibは, 慢性骨髄性白血病 (CML) だけでなく, フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 (Ph+ALL) の治療に有効であるが, 耐性例が問題になってきており, 新たな耐性克服薬の開発が進んでいる.Ph+ALL細胞は細胞傷害分子TRAILに感受性があり, 同種造血幹細胞移植後の高い移植片対白血病効果と関連がある.Ph+ALL細胞はimatinib投与下でも, ある種のサイトカインに反応して増殖する.Ph+ALLやCMLのIymphoid crisisでは, 転写因子Ikarosの遺伝子欠損が高率に認められ, 病態に関与している.PMLはCMLの白血病幹細胞の維持に重要な機能を果たしている.

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