日本小児血液学会雑誌
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ナチュラルキラー細胞の機能異常
小宮山 淳
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1989 年 3 巻 1 号 p. 2-8

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抄録
ナチュラルキラー (NK) 細胞が細胞障害活性のエフェクターとして働く場合には, まず標的細胞を認識して結合した後, 可溶性細胞障害因子 (NK soluble cytotoxic factors : NKCF) などの細胞破壊物質を放出してそれを破壊する.標的細胞を破壊するとそれから離れ, 他の標的細胞に向かって移動するリサイクリングを行う.したがって, NK細胞活性の低下は, (1) NK細胞数の減少, (2) 結合不全, (3) 破壊の障害, および (4) リサイクリングの障害で起こる.実際, そのような疾患が見いだされており, (1) 新生児, Chediak-Higashi症候群, 重症複合型免疫不全症, 細網症 (hemophagocytic lymphohistiocytosis) では総NK細胞数または活性化NK細胞数が減少し, (2) 新生児とLFA-1 (lymphocyte function-associated antigen-1) /Mac-1 /P150, 95欠損症では標的細胞との結合不全があり, (3) 新生児, 白血病, myelodysplastic syndrome (MDS), エリテマトーデス, Chediak-Higashi 症候群, NKCF産生不全を伴う家族性NK細胞機能不全では破壊の障害が認められ, (4) 新生児, 白血病, Chediak-Higashi症候群, 先天性好中球減少症ではリサイクリングが低下している.NK細胞の機能不全の理解を容易にするため, われわれが経験した主な症例の臨床像と検査データの一部を提示した.
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