日本小児血液学会雑誌
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小児不明熱患者に対する改良Limulus testによる真菌感染とグラム陰性桿菌感染の鑑別診断法の検討
澤 文博月本 一郎岡本 則彦沢井 清松井 純一小原 明土田 昌宏筑田 易子
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1989 年 3 巻 1 号 p. 9-14

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抄録
小児の不明熱患者96名を対象に, Toxicolor test (T-test) とEndospecy test (E-test) の臨床的有用性を検討した. T-testはグラム陰性桿菌由来のendotoxnと真菌由来のβ-D-glucanの和を, E-testはendotoxnのみを測定する. T-testとE-testの差 (T-E>10 pg/ml) から真菌感染を疑われた15例中, 培養や病理検査では深在性真菌感染が3例 (T-E=117.7-217.8 pg/ml), 表在性真菌感染が4例 (T-E=23.8-31.7pg/ml) 見つかった. E-test (E>3 pg/ml) からグラム陰性桿菌感染が疑われた38例中6例 (E=18.7-96.9pg/ml) からしか桿菌が検出されなかったが, 残りの32例のE・test値との問に有意差はなく, 治療経過等から見て感染があった可能性が高かった.またガンマグロブリン, グリセオール, トランスファーファクター, インターフェロンでT-testが偽陽性となることがわかった.上記薬剤による偽陽性に注意すれば, T-testとE-testは真菌とグラム陰性桿菌感染の疑診に有用な検査法であった.
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