抄録
ALL維持療法の免疫系におよぼす影響を検討する目的で, HL-3プロトコールで維持療法中の小児ALL (5~12歳) 11例について, 血清IgGサブクラスを測定し, 以下の結果をえた.1) 患児の血清IgG1とIgG3は7.28 (4.41~12.02 : 幾何平均値±SD) mg/ml, 0.37 (0.16~0.90) mg/mlで, 対照児のそれぞれ8.38 (5.94~11.80) mg/ml, 0.35 (0.20~0.61) mg/mlと差がみられなかった.2) 患児の血清IgG2とIgG4は0.64 (0.21~1.98) mg/ml, 0.018 (0.011~0.029) mg/mlで, 対照児のそれぞれ1.99 (1.04~3.81) mg/ml, 0.10 (0.041~0.24) mg/mlに比して, いずれも有意に低値であった.患児の4例ではIgG2が対照児の-2SD以下の異常低値を示し, 6例ではIgG4が測定限界値 (0.01mg/ml) 以下であった.以上のことから, 維持療法中の小児ALLでは重症感染の危険があると考えられたが, 臨床的には易感染性は認められなかった.しかし, 感染時には, IgG2, IgG4を十分に含むガンマグロブリン製剤の併用がのぞましいと考えられた.