日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
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小児期再生不良性貧血の抗リンパ球グロブリン療法
田口 信行杉田 記代子関根 百合子赤羽 太郎中畑 龍俊赤塚 順一長尾 大辻野 儀一月本 一郎宮崎 澄雄小島 勢二麦島 秀雄石川 順一豊田 恭徳伊藤 尹敦石本 浩市筒井 孟蒲生 鐵男
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1989 年 3 巻 1 号 p. 70-77

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抄録
小児の中等症ないし重症再生不良性貧血40例のAL (T) Gによる治療効果を研究した.特発性32例, Fanconi貧血1例, 二次性3例およびPRCA4例である.39例にALGを, 1例にATGを投与した.AL (T) Gは20~40mg/kg/日を5日間投与した.重症9例と中等症1例ではmethylprednisolone大量を同時併用した.3ヵ月以内に, 重症25例中6例, 中等症10例中1例に完全または部分寛解が得られた.推計学的には, AL (T) G単独例とmethylprednisolone大量併用例とで, 有効率および生存率に有意差はなかった.PRCAの1例に一過性の改善が得られた.AL (T) G投与前後のCD4, CD8およびCD4/CD8比は臨床効果と相関しなかった。合併症は少なく, 軽熱じんましん, 発疹および糖尿などであった.骨髄移植ができない場合に, 重症小児再生不良性貧血の治療にAL (G) Gとmethylprednisoloneの同時併用を考慮すべきである.
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