日本小児血液学会雑誌
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Ill-defined dyshematopoiesisの概念に合致すると考えられた10例の検討
河内 暁一伊東 亮助宮野 孝一北沢 淳一須藤 善雅葛西 幹雄荒井 宏治越前屋 竹寅佐藤 雄一横山 〓
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1990 年 4 巻 2 号 p. 140-146

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抄録
Myelodysplastic syndrome (MDS) は年長者に多くみられるため, 小児期における報告は少なかった.しかし最近小児の血液疾患を診るものにとってMDSは以前考えられていたほどにはまれではないことがよく認識されてきた.もちろん小児のMDSもFAB分類により診断されるがFAB分類では分類不可能な血液学的異常を示す例がある.Ill-defined dyshematopoiesisとの分類はまだ広く認められるにいたっていないが, 血球減少がみられていても病態が説明できないような患者の経過を観察する場合, また治療を行う場合もたいへん役立つと考えられる.われわれはill-defined dyshematopoiesisの診断基準に合致する症例10例について報告し, それらの血液学的特徴を検討した.10例中6例が4カ月から9年で白血病に移行した.初発時の血清LDH値が4001U/l以上, とくにLDHisoenzymeIIが高値をとることは白血病へ移行する可能性を示唆する因子であるかもしれない.小児におけるMDSないしill-defined dyshematopoiesis例のさらなる集積が必要であろう.
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