小児のPh
1陽性ALLの2例で同種骨髄移植を行ったので報告した.症例1は, 13歳の男で第1寛解期にHLA一致, MLC陰性の兄より, 同種骨髄移植を行った.症例2は7歳の男で初発時は染色体正常であったが第1回目の骨髄再発時にPh
1陽性の芽球が出現した.第2寛解期後3ヵ月目に発症した中枢神経系白血病治療直後の第3寛解期にHLA-A, B, DR一致, MLC陽性の母親から同種骨髄移植を行った.前処置は, 症例1はcyclophosphamide (60mg/kg×2) とaraC (39/m
2×3) とTBI 10Gy, 症例2はcyclophsophamide (60mg/kg×2) とaraC (3g/m
2×4) とTBI 10 Gyに中枢神経系白血病の治療のため脳脊髄照射を6Gy追加した.急性GVHDの予防は, 症例1はcyclosporine A単独, 症例2はcyclosporine Aと短期methotrexateの併用で行った.急性GVHDは, 症例1はII度, 症例2はI度であった.症例1は, 間質性肺炎および慢性GVHDを併発したが, 現在移植後39ヵ月でKarnofsky performance scale 100%, 症例2は, 現在慢性GVHDを併発しているが, 移植後8ヵ月で寛解中である.小児のPh1陽性ALLでは, もしも適当なドナーがみつかれば同種骨髄移植が第一選択と思われる.
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