抄録
小児悪性腫瘍における好中球減少状態の患者に対し, 予防的にaztreonam (AZT) を静注することにより感染症の予防効果を封筒法により非投与群と比較検討した.AZTは80~100mg/kg/日を好中球250/μl以下でかつ発熱していない患者に投与した.AZT群44例, Control群44例であり, 各群の基礎疾患はAZT群 (造血器腫瘍27例, 固形腫瘍17例), Control群 (造血器腫瘍22例, 固形腫瘍22例) であった.予防有効率はAZT群72.7%, Control群50.0%で, AZT群に有意の予防効果がみられた (P<0.05).好中球最低値別の予防有効率は10/μl未満でAZT群66.7%, COntrol群36.4%, 10~50/μl未満でAZT群66.7%, Control群50.0%, 50~250/μlでAZT群100%, Control群80.0%であった.副作用は認められなかった.これより好中球数が50/μl以下になる症例に対しては予防的にaztreonamを静注することの有用性が示唆された.