抄録
急性リンパ性白血病 (ALL) 患児の末稍血の単球機能を評価するために, 腫瘍壊死因子 (TNFα) の産生能を検索した.ALL患児より得られた末梢血単核球をOK432, または自家ALL細胞にて剌激し, 培養上清中に遊離したTNFαをELISAにて測定した.OK432剌激によるTNFαの産生は, 刺激後24時間以内にピークに達し, その後減少した.末梢血中におけるTNFα産生細胞は, 付着細胞であり, 形態学的にも, 細胞化学的にも単球であった.産生されるTNFαの大部分は培養上清中へ遊離し, 細胞の可溶化分画中には検出されなかった.ALL患児のTNFα産生能は, 化学療法中, 化学療法巾止後のグループともによく保たれており, 健常人との間にも有意な差は認められなかった.しかし, 化学療法中のグループにおいて個人差が著しかつた.自家ALL細胞の剌激では, 14例中1例において有意なTNFαの産生が認められ, 腫瘍免疫の成立が示唆された.