抄録
顆粒球減少症を合併したStevens-Johnson症候群の6歳男児例を経験した.発症5日目より無顆粒球症が持続し感染も合併し全身状態は重篤となった.ステロイドは使用せず, 無顆粒球症に対し発症9日目より遺伝子組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子 (rhG-CSF, 中外rG・CSF) 2μg/kg/日の連日皮下注射を開始したところ, 投与4日目には顆粒球数7,000/μ1に達した.顆粒球増加と同時に解熱し皮疹や全身状態も改善を認めた.血中顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF) 濃度は, 無顆粒球症が持続していた期間には最高8,445pg/mlと上昇していたが, 顆粒球数の増加後低下した. rhG-CSFは本例のような顆粒球減少症を合併したStevem-Johnson症候群の治療に試みる価値があると考えられた.