日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
小児急性骨髄性白血病の治療の現状と展望
秋山 祐一
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 6 巻 1 号 p. 2-15

詳細
抄録

小児急性骨髄性白血病の世界各国における治療の現状を紹介した.化学療法の過去10年間を振り返ると治療体系の違いで大きく予後因子が変動している.特にM1M2とM4M5の間で治療方法の差が予後に大きく関係し全く逆の結果が報告されている (st.Jude vs BFM).M1M2では従来のAra-Cとアントラサイクリンを主体としたある一定期間の強力な化学療法が有効でVP-16もある程度有効に働いている.M4M5ではVP-16を種々の併用療法として大量に投与するデザインが有効である.Mitoxantrone (MTZ) の第一選択の治療薬としての評価は今後の問題である.小児急性骨髄性白血病はきわめてheterogenousな対象である一方頻度は多くないので, 今後全国的な共同研究によってのみ個別的な病型にあった化学療法の開発が可能になる.各病型における骨髄移植の位置づけは今後の化学療法の成績の改善でsalvage療法の主体となろう.しかし現状では全体の約30%の症例は早期に再発をきたすか寛解導入不能であるのでこのような症例を的確に区別し診断6ヵ月以内に早期のAllo-BMT, ないしAuto-BMTの決断をなすことが重要である.

著者関連情報
© (社)日本複写権センター
次の記事
feedback
Top