1992 年 6 巻 2 号 p. 109-115
北海道小児悪性腫瘍感染症研究会では, 小児悪性腫瘍患児の好中球減少時に, 感染症が疑われた際にempiric therapyとしてAztreonam/Piperacillin (A群) およびTobramycin/Piperacillin (B群) の併用療法を行い, その有効性と副作用につき検討した.1990年1月から12月までの1年間に121例の発熱症例があり, このうち有効判定症例数は103例であった.有効率はA群で74.5% (41/55), B群で83.3% (40/48) であり, 両群間に有意差はみられなかった.副作用としてはA群で3例 (3.2%), B群で4例 (5.5%) みられたが, いずれも薬剤投与中止あるいは継続にもかかわらず症状は消失した.以上より, Aztreonam/Piperacillin併用療法は化学療法後の好中球減少時の感染症に対して高い有効率であり, またAztreonamは好中球減少時のグラム陰性菌感染症の治療においてTobramycinに代わりうる薬剤として有用であり, empiric therapyとして他の抗生物質と組み合わせて使用されてよい薬剤と考えられた.