抄録
症例は5歳男児で, 左耳介後部腫瘤 (20mm×17mm) を主訴に受診.腫瘤はリンパ節で, 当院小児科にて完全摘出された.組織診断で非ポジキンリンパ腫, リンパ芽球性 (LSG分類) との結果が得られたため, 小児内科へ転科となった.凍結切片の免疫組織染色で, 腫瘍細胞はHLA-DR+, CD10+, CD19+, CD20-, CD34-でpre-B-cell typeと考えられた.骨髄検査では, 好塩基性でクロマチン構造の粗大な核を有し, N/C比の高い異型リンパ球が22.3%見られた.このため骨髄単核細胞での表面マーカー検索を行ったところ, リンパ節に見られたと同様のマーカーを示す細胞が約30%検出された.児はhigh-risk ALLプロトコール (874, CCLSG) にて治療開始し, 寛解導入終了後完全寛解となり, 現在寛解維持療法中で, 6カ月間寛解を維持している.自験例を含め, これまでに報告されたpre-B-cellリンパ芽球性リンパ腫について文献的考察を加えた.