日本小児血液学会雑誌
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急性リンパ性白血病の治療中にカンジダ性多発性肝膿瘍を併発しAmphotericin-Bの門脈内投与が著効した小児の1例
山倉 慎二吉田 晃田中 里江子百井 亨
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1993 年 7 巻 5 号 p. 511-514

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抄録

急性リンパ性白血病の8歳女児が強化療法中にカンジダ性肝膿瘍を来した.Fluconazoleの静脈内投与と併せてAmphotericinB (AMPH) の静脈内投与を行ったが効果がなかった.また, AMPHの大量経口投与も試みたが, 解熱をみたもののCRPの陰性化には至らなかった.そこで, 開腹して中結腸静脈より門脈内にカテーテルを留置しAMPHの持続注入を行ったところ, 約2週でCRPは陰性化し, 2カ月後のCTで肝膿瘍病変はきれいに消失した.その後抗真菌剤はすべて中止したが再燃はなく, 強化療法を終了し, 9歳9カ月時骨髄移植を施行, 移植後1年3カ月の現在, 再発なく元気に登校している.小児での報告例は調べ得た限りでは見出せなかったが開腹という侵襲を考慮しても積極的に試みるべき治療法と考えられた.

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