日本小児血液学会雑誌
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顆粒球輸血におけるdonorへのgranulocyte colony stimulating factor前投与の有用性
迫 正廣中西 康詞中川 喜美子小西 省三郎
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1994 年 8 巻 3 号 p. 200-204

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抄録
血液腫瘍疾患を有し, 強力な化学治療法後の長期間にわたる顆粒球減少症に伴う重篤な感染症を呈した7人の患児に対して, 顆粒球輸血 (GTX) を行った.全治療コースにおいて合計29回のGTXを行った.Infbrmed consentを得て, donorにgranulocyte stimulating factor (G-CSF) 1μg/kgを約12時間前に皮下投与したのちに, Hemonetics-V50分離装置を使い, hydroxyethyl starch (HES) を添加し顆粒球採取を行った.従来法で行っていたhydrocortisoneの投与は行わなかった.従来法では6cycle (血液処理量 : 2.4-3.71) に対して, G-CSF前投与法では平均4cycle (血液処理量 : 1.6-1.81) と処理量も少なかった.また採取時間も短縮された.Donorに副作用は全く認められなかった.従来法では, 採取された顆粒球数は0.68±0.29×1010個であったのに対して, G-CSF前投与法では254±1.20×1010個と約3倍に増加した.結論として, G-CSFは正常donorに安全に投与でき, 顆粒球の採取量を著明に増加させた.このことは, 顆粒球採取におけるdonorへのG-CSF前投与が, 患児およびdonorにも有益であることを示している.
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