日本小児血液学会雑誌
Online ISSN : 1884-4723
Print ISSN : 0913-8706
ISSN-L : 0913-8706
骨髄移植後に高脂血症をきたしたALLの女児例
渋谷 温檀谷 尚宏篠沢 隆
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 9 巻 2 号 p. 103-107

詳細
抄録

5歳女児急性リンパ性白血病に対して4歳弟より骨髄移植を行った.生着は移植後20日目であったが, 1カ月目より下痢症状が出現し2カ月目まで持続した.下痢便の性状は脂肪成分を多く含んでいた.血中total cholesterolとtriglycerideは移植後2カ月から2カ月半ごろ最高値でそれぞれ401mg/dl, 1,292mg/dlと著明に上昇した. リポプロテイン分画でブロードβバンド像, アポプロテイン分画でEの異常上昇がみられたことから高脂血症のIII型であると考えられた.高脂血症の成因としてステロイド剤とcyclosporin投与による二次的なもの, さらに患児の食物嗜好 (チーズ, バター) が増強させたものと考えられる.この理由として経口摂取を中止し, 上記薬剤を減量または中止したことにより高脂血症は消失したことがあげられる.骨髄移植後は薬剤および経口食物の種類により二次的な高脂血症をきたすことがあるので留意すべきと考えられた.

著者関連情報
© (社)日本複写権センター
前の記事 次の記事
feedback
Top