日本小児血液学会雑誌
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TAMからMDSに移行した表現型正常のモザイクダウン症の1例
吉野谷 友香土田 昌宏小池 和俊
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1995 年 9 巻 2 号 p. 108-113

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抄録

一過性骨髄増殖症候群transient abnormal myelopoiesis (以下TAMと略) はダウン症の生後6週以内に発症し白血球増多, 芽球の増多がみられ一過性に自然消退する予後良好な疾患と報告されていたが白血病への移行例も報告されてきている.今回我々は表現型正常のモザイクダウン症の乳児でTAMから自然回復後1歳4カ月時にMyelodysplastic syndrome (略してMDS) に移行した1例を経験した.新生児期には骨髄血および末梢血の異常染色体は21 trisomyのみだったが, TAMが軽快するに従って骨髄血では21トリソミーは消失していった.しかしMDSに移行していく過程で末梢血の染色体では54XY, 21テトラソミーが出現し骨髄血では新たな附加的異常を持つ53XY, +21, 7p-および12p-のクローンが出現した.化学療法施行後は骨髄は寛解し末梢血, 骨髄血ともども異常クローンは消失している.染色体所見の推移を中心に報告する.

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