日本小児血液学会雑誌
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骨髄移植前処置によりacral erythemaを生じたMDS (RAEB-T) の1例
清水 行敏勝浦 理彦三井 哲夫横山 新吉早坂 清
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1995 年 9 巻 2 号 p. 114-118

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抄録
骨髄移植療法の前処置によりacral erythemaを生じた症例を報告する.症例は14歳男児で汎血球減少を主訴に入院し, 血液検査, 骨髄検査所見によりMDS (RAEB-T) と診断した.G-CSF併用Ara-C少量療法で寛解を得た後, 姉より同種骨髄移植を行った.前処置終了直後より手掌に境界明瞭な紅斑が出現した.しびれ, 激痛を訴えたためモルヒネを使用した.紅斑は次第に暗赤色に変色し, 皮膚表面は硬化した.発症10日目には症状は軽快し膜様落屑を認め, 後遺症も残さず治癒した.本症の原因薬剤としてAra-Cが疑われた.大量化学療法時, 本皮疹の発症は稀ではなく, 特に骨髄移植時には急性GVHDとの鑑別が必要である.
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