日本小児血液学会雑誌
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造血幹細胞移植後に発症した水痘ヘルペスウイルス感染症
佐々木 秀樹生田 孝一郎船曳 哲典甲斐 純夫関口 晴之半沢 典生住田 裕子高橋 浩之松山 秀介
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1995 年 9 巻 2 号 p. 90-94

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抄録

造血幹細胞移植を行い, 2カ月以上観察し得た生着例44例中11例にVZV感染症の発症を認めた.年齢は3~14歳, 同種骨髄移植6例, 同系骨髄移植1例, 末梢血幹細胞移植4例で, 9例が帯状痘疹, 2例が水痘であった.発症時期は5例が移植後6カ月以内, 4例が7~12カ月であった.細胞免疫学的検査では検討した9例中3例でリンパ球CD4/CD8比の低下を, 10例中5例でレクチンに対する反応性の低下を認めたが, それらの結果と臨床経過の間には相関はみられなかった.全例にacyclovir単独または抗VZV高力価免疫グロブリンの併用が行われ, 重症化する例はなかったが, 年長児の2例でpostherpetic neuralgiaがその後5~11カ月にわたって持続した.また, VZV感染の0.5~6カ月後に3例に白血病の再発を認めた.重症化例は少ないとはいえ死亡例も報告されており, 特にGVHDなどのrisk factorを有する幹細胞移植後のVZV感染症に対しては, 慎重に対応する必要がある.

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