日本小児血液学会雑誌
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脊椎圧迫骨折で発症したALLの1小児例
予後良好な特徴をもつ1群の可能性
星田 宏吉野 谷友香土田 昌宏小池 和俊泉 維昌田村 和喜
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1995 年 9 巻 6 号 p. 446-451

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抄録
腰痛で発症し, 脊椎の圧迫骨折を合併した急性リンパ性白血病の1学童例を報告する11歳の男児.3カ月前より腰痛を訴え, 徐々に歩行不能となる.発熱と汎血球減少を認め, 骨髄穿刺で急性リンパ性白血病と診断した.単純X線で多発性の脊椎 (Th7-L2) 圧迫骨折を認め, MRIでは椎体への白血病細胞の浸潤が考えられた.治療 (TCCSG L92-13PH) に反応よく, 寛解と同時に腰痛は消失し, 歩行も可能になった.単純X線とCTでは椎体の改善所見を認めなかったが, MRIでは改善を認め, 脊椎病変の治療効果判定にはMRIが有効であった.報告例を集計すると, 脊椎圧迫骨折を伴ったALLは, (1) 年長児に多い, (2) 初発症状から診断までに時間がかかる, (3) 白血球数増多がない, (4) 末梢血に芽球の出現が少ない, (5) 染色体ではhyperdiproidを示す, (6) 予後が良好, などの特徴ある1群を形成する傾向がみられた.
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