Japanese Journal of Pharmaceutical Education
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Short communication
The differences between the learning effects on the final stage of the National Examination for Pharmacists and the necessity of the pharmacist license based on the future job prospects of pharmacy students
Masayuki WatanabeShuji OhnoRie YamauchiHajime KuboKazunori Asai
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2018 Volume 2 Article ID: 2017-014

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Abstract

6年制の薬学教育が導入された後,薬剤師国家試験はより高度な薬学的知識を要求する試験へと変化している.近年の星薬科大学では,製薬企業への就職内定者の国家試験不合格比率が他の職種内定者と比較して高い傾向にあるため,進路希望が異なる学生群間で国家試験直前期における学習成績についての比較検証を試みた.国家試験受験に向けた仕上げ時期では,病院,保険薬局希望者は,星薬科大学の学生に全国平均を上回る経時的な成績向上が認められたが,MR職やCRO,製薬メーカーの研究職,学術職や大学院進学者等については,この時期に有意な成績向上は認められなかった.また,国家試験の自己採点結果では,病院,保険薬局等の内定者に対しMR職内定者の平均成績が有意に低かった.以上より,薬剤師免許を必要とする職種を選択するか否かで国家試験に向けた学習効果に一部差が表れ,この一部の学生に対して学習意欲を引き出す対策の必要性が考えられた.

目的

平成18年度より臨床における実践的な能力を有する薬学部卒業生を輩出すべく新たな6年制薬学教育課程が導入された1).これに伴い薬剤師国家試験問題も,より医療現場での実践に即した形式へと変化し,それ以前と比較して問題抽出及び問題解決のためのより高い能力が問われる試験へと変貌を遂げた1).厚生労働省により設置された「薬剤師国家試験出題制度検討会」により,6年制の薬学教育課程修了者が受験する国家試験は,「基礎的な知識や技術」,「高い倫理観」,「医療人としての教養」,「医療現場で通用する実践力」を確認することに加えて,多様かつ複雑な医療の実際において,時として自らが有する知識などの範囲を超える未知の事象・事案に対して,習得している知識・技能・態度などを最大限駆使して資格者としての責務を全うする資質を有するか否かを確認することが要求された2).新卒・既卒を含めた全体の受験生に対する薬剤師国家試験の合格率は,6年制初の卒業生が受験をした平成23年度の第97回国家試験以降減少し,平成25年度の第99回国家試験では,新卒の受験者がほとんど存在しなかった平成21年度,平成22年度の2年間を除いて過去20年のうち最低を記録した3,4).平成27年度の第101回国家試験から合格基準が一部見直され5),合格率は改正前より幾分上昇したが,4年制の頃に比べれば国家試験合格は相対的に困難になったと言える.このため,近年では職務上薬剤師免許を必須とするドラッグストアチェーン店の一部で,自社の就職内定者に対し予備校の講義を無料で受講させる等独自の国家試験対策を提供するケースも見られるようになった6)

星薬科大学の新規卒業生の国家試験合格率は,第100回国家試験を除き第97回国家試験以降,94%,86%及び80%となっているが,製薬企業への就職内定者の国家試験不合格比率が他の職種内定者と比較して高い傾向にある.したがって,この原因の解析は,より多くの国家試験合格者を輩出するための重要な手掛りを教示してくれるものと予想される.近年,6年制課程を修了した薬学部卒業生の多くが薬剤師として医療現場への就職を希望する傾向が強まり7),教員が学生に対し,モチベーションの引き上げを敢えて画策せずとも,薬剤師免許の取得が各々の将来像を満足させるための必須条件となり,必然的に勉強をせざるを得ない状況が生じている.しかし,薬剤師免許を必ずしも必要としない進路を希望する学生にとっては,長期に渡る受験期間を乗り切るための学習の動機付けが必要であると考えられる.モチベーションを引き出すこと,すなわち動機付けには,「内発的動機付け」,「同一化的動機付け」,「取り入れ的動機付け」及び「外的動機付け」があり,さらに,「内発的動機付け」は「自律的動機付け」,その他はまとめて「非自律的動機付け」に分類される8).例えば,新しい知識を得ることが楽しいというのが「内発的動機付け」にあたる.小中学生のケースで,この内発的動機付け,言い換えれば自律的な動機付けを行える生徒は高成績をおさめ,一方,先生や親に叱られたくないといった非自律的な動機付けを行う生徒は,成績が低いことが報告されている8).また,大学や専門学校生について,親の強い勧め等による本人にとって不本意な理由で進学した学生は,学習に対し自律的な動機付けを行いにくく,学業成績も低いということが報告されている8,9).このようにモチベーションは学習成績に影響することが知られ,薬剤師免許を必ずしも必要としない進路又は職種(併せて職種と表記)を希望し,薬剤師免許を不本意ながら取得しようとする学生の一部は,自ら非自律的動機付けを行うことで成績不振に陥るケースが想定される.しかし,卒業後の希望職種が学習成績に何かしらの影響を及ぼすこと,または,卒業後の希望職種と学習成績との関連性を示した研究報告はない.

そこで本研究では,卒業後の薬剤師免許の必要性と国家試験に合格するための学習成績との関連性を示すことを目的とし,第101回国家試験受験を控えた薬学部6年生を対象として希望職種についての調査を行い,さらにこの結果と国家試験受験直前期に行われた国家試験対策模擬試験の採点結果,及び国家試験の自己採点結果とを照らし合わせてその検証を試みた.

方法

1. 就職希望職種調査結果に基づく学生の群分け

平成27年度の星薬科大学6年生(264名)を対象に,学生に対する本研究の趣旨を説明し,任意の就職希望職種調査を行った.回収された調査結果をもとに,以下のように学生の群分けを行った.就労に際して薬剤師免許が必要とされる病院,保険薬局,ドラッグストア,医薬品卸,行政機関,及び公務員への内定者または希望者をA群とした.また,製薬メーカーの医薬情報担当者(MR)職希望者は,薬剤師免許を取得するとMR認定試験科目の一部が免除になることから,免許を間接的に利用するB群とした.医薬品開発受託機関(CRO),治験施設支援機関(SMO),製薬メーカー(研究,学術,MR以外の営業職)希望者及び大学院進学者は,薬剤師免許を必ずしも必要としないC群とした.

2. 試験とその成績処理

平成27年12月期,及び平成28年2月期に実施した薬学ゼミナール(学校法人医学アカデミー薬学ゼミナール)による模擬試験(それぞれ学内179名,全国11,098名受験,及び学内189名,全国9,385名受験)の学内個人データを国家試験直前期の成績データとした.また,平成28年2月28日,29日の両日に実施された,第101回国家試験の自己採点結果(薬学ゼミナールによる集計;学内200名,全国10,482名参加)を国家試験の成績データとして利用した.これらの試験実施時期には,全国の学生において一様に学習成績の向上が認められる時であるため,学内学生固有の成績変化として捉える目的で,得られた点数をそれぞれの試験の全国平均点で除すことで標準化した.

3. 統計処理

試験の成績は,コンピュータソフトウェア(GraphPad Prism 5; GraphPad Software, Inc, La Jolla, CA)を使用した分散分析(ANOVA)によって解析し,各群間比較にはTukey’s post-hoc testを用いた.また,P < 0.05をもって有意な差と判断した.

結果

1. 就職希望職種調査の集計結果

平成27年度の星薬科大学6年生(264名)に対し実施された任意の就職希望職種調査の結果,趣旨説明に基づく同意の下に回収期日までに213名(80.7%)分の回答を得た.アンケート集計結果をFig. 1に示したが,薬剤師免許が必要とされる病院,保険薬局,ドラッグストア,医薬品卸,行政機関,公務員内定者または希望者(A群)は167名で,全回答のうち78.4%を占めており,薬剤師免許を間接的に利用する製薬メーカーのMR職(B群)の19名と薬剤師免許を必ずしも必要としないCRO,SMO,製薬メーカー(研究,学術,営業)及び大学院進学者(C群)の27名は,その両者を合わせてもA群の3分の1程度の割合であり,大半の学生は就職先の職務上薬剤師免許を必要としている実態が分かった(Fig. 1).本研究では,この就職希望職種調査に回答した213名を試験結果解析の対象とした.

Fig. 1

The results of questionnaire about the careers of 213 sixth grade students in the Pharmaceutical course. There were a total of 80.7% valid responses. A group: consisted of the students who wished to become pharmacists in a hospital or dispensing pharmacy. B group: consisted of those who wished become a medical representatives. C group: consisted of those who wished to pursue an employment such as a researcher, scientific information provider in pharmaceutical companies, or work in a contract research organization or site management organization company and who wished to study further in graduate school.

2. 薬剤師国家試験受験直前期における試験成績

国家試験の直前期である12月と2月に実施された2回の模擬試験の採点結果,及び第101回国家試験の自己採点結果の概要をTable 1に示した.就職希望職種調査への回答者(213名)の内,国家試験3ヵ月前にあたる12月期の模擬試験受験者は179名であり,その平均正答率(平均値±SD)は54.9 ± 8.0%であった.また,国家試験の3,4週間前にあたる2月上旬に実施された2回目の模擬試験受験者は,1回目より10名増加し,その平均正答率は約8ポイント上昇を認めた.また,第101回国家試験の自己採点結果では,2回目の模擬試験結果よりさらに13ポイントの平均正答率上昇が認められ,12月の模擬試験時と比較して国家試験までの3ヵ月間で極めて集中して学習したことが成果として表れていた(Fig. 2).しかし,このような集中学習による平均正答率の上昇傾向は全国で同様に見られる現象であり,薬学ゼミナールによる全国の集計結果(それぞれおよそ1万人規模のデータ)においても,第1回目の模擬試験,第2回目の模擬試験,及び第101回国家試験自己採点での平均正答率で,それぞれ52.6%,59.4%,及び70.2%とほぼ同様の上昇が見られる(Table 1).そこで,星薬科大学の学生固有の成績変化として捉える目的で,各試験の結果をそれぞれの試験の全国平均正答率で除して標準化し,相対的試験成績で評価を行った.その結果,星薬科大学の学生全体について,12月期と比較して第101回国家試験の自己採点結果では有意な成績の向上が認められた(Fig. 3A).さらに,この成績向上の内訳として,就職希望職種と何らかの関連性が存在するかについて解析したところ,免許を間接的に利用するMR職(B群)と免許を必ずしも必要としないCRO,製薬メーカー(研究,学術,営業)や大学院進学者などのC群では,12月期以降国家試験に向けた時期において特に全国平均を上回る経時的な成績向上は認められなかった(Fig. 3C, D)のに対し,免許取得が必要とされる病院,保険薬局などを希望する学生(A群)では,国家試験に向けて全国平均以上の経時的な成績向上が認められた(Fig. 3B).

Table 1 The summary of examination scores of the final stage toward the National Examination for Pharmacists
Examination score (%)
TE1 TE2 NE
Hoshi University total 54.9 ± 8.0
(n = 179)
63.2 ± 8.1
(n = 189)
76.6 ± 6.7
(n = 200)
A group 55.3 ± 8.1
(n = 143)
63.2 ± 8.1
(n = 148)
76.9 ± 6.5
(n = 155)
B group 50.9 ± 6.8
(n = 14)
60.3 ± 7.7
(n = 15)
73.0 ± 8.2
(n = 19)
C group 55.5 ± 7.4
(n = 22)
64.5 ± 8.2
(n = 26)
76.9 ± 6.3
(n = 26)
Nationwide examinee 52.6
(n = 11,098)
59.4
(n = 9,385)
70.2
(n = 10,482)

The data represented the mean ± SD (nationwide data represented without SD), and data numbers were shown in parenthesis. Trial examination 1 (TE1), dated December 7–8, 2015; TE2, dated February 4–5, 2016; those were sponsored by Yakugaku Seminar; and the 101st National Examination for Pharmacist (NE), dated February 28–29, 2016; data were provided by the Self-Scoring System of Yakugaku Seminar of May 1, 2016.

Fig. 2

The changes in the average examination score of sixth grade students. Trial examination 1 (TE1), dated December 7–8, 2015; TE2, dated February 4–5, 2016; those were sponsored by Yakugaku Seminar; and the 101st National Examination for Pharmacists (NE), dated February 28–29, 2016. Data were provided by the Self-Scoring System of Yakugaku Seminar of May 1, 2016. Each column represents the average examination score (mean ± SD). *** shows the significant difference (P < 0.001), by one-way ANOVA with Tukey’s post-hoc test.

Fig. 3

The changes in the relative examination score of sixth grade students. Each column represents the relative examination score, calculated average examination score standardized by the nationwide average, (mean ± SD). A, the data collected from all students; B, A group students; C, B group students; and D, C group students. Trial examination 1 (TE1), dated December 7–8, 2015; TE2, dated February 4–5, 2016; those were sponsored by Yakugaku Seminar; and the 101st National Examination for Pharmacist (NE), dated February 28–29, 2016. Data were provided by the Self-Scoring System of Yakugaku Seminar of May 1, 2016. * shows the significant difference (P < 0.05), ** shows the significant difference (P < 0.01) by one-way ANOVA with Tukey’s post-hoc test.

次に2回の模擬試験の採点結果と第101回国家試験の自己採点結果について,希望職種間(A–Cの3群間)で差があるかどうかを検討したところ,国家試験直前期の模擬試験の採点結果については何れも各群間に有意な差は認められなかった(データは示していない)が,第101回国家試験の自己採点結果に限り薬剤師免許を必須とするA群と薬剤師免許を間接的に使用するB群との間で有意な差が検出され,A群と比較してB群のグループ平均正答率が低い結果が得られた(Fig. 4).また,第101回国家試験の自己採点上,不合格と判定された本学の学生数は,国家試験での実際の合否結果と一致しており,国家試験不合格率として計算すると,B群に属する学生は他の群より2~4倍高い結果が得られた(詳細は示していない).

Fig. 4

Comparison of the examination scores of 101st National Examination for Pharmacists among A–C groups. The examination scores from the 101st National Examination for Pharmacists dated February 28–29, 2016 data, which were provided by the Self-Scoring System of Yakugaku Seminar of May 1, 2016. Each column represents the relative examination score, which was calculated by average examination score standardized by nationwide average, (mean ± SD). * shows the significant difference (P < 0.05) by one-way ANOVA with Tukey’s post-hoc test.

考察

薬学教育協議会は,近年の6年制課程を終えた薬学部卒業生の傾向として,薬剤師として医療現場への就職を希望する者が増加していることを示している7).本研究においても,就職希望職種調査の回答者(213名)のうち,78.4%にあたる167名が,病院,薬局,ドラッグストア(調剤及びOTC),医薬品卸,行政機関,及び公務員への就職を希望していることが明らかになった.この理由として,一般の理系大学の修業年限より長く薬学部で学んだ結果取得できる薬剤師免許を有効に利用したいと願う想いや,実務実習が長期化し,高度な臨床の現場を体験する機会が増えたことなどが影響していると推測される.このような背景からも薬剤師免許取得の必要性がある就職先を選択する学生においては,その多くが国家試験受験期に向けて各人の成績を必然的に向上させたいと願う気持ちが強い状況下にあり,薬剤師免許取得の必要性が学習に対するモチベーションに良い変化をもたらしていると推測される.また,国家試験受験を目指す学生であれば,試験のおよそ3ヵ月前から国家試験に至る期間では,就職希望職種には特に関係なく,個々の学習効果が少なからず試験の得点に反映されてくる時期と推測され,単に試験の点数だけで判断をすれば,Fig. 2に示したように1回目の模擬試験から2回目の模擬試験,さらに国家試験に向けて,試験毎に平均点としておよそ30点から40点の上昇が見られることは容易に想像できる.このような傾向は全国平均点の推移でもほぼ同様に認められたが,その詳細は各試験に出題された問題の難易度とも関連するため,本研究では,学生の学習効果は,簡易的に各試験の得点を全国平均点で除して標準化した上で,この値が経時的に有意な差として現れたかを指標として判定した.その結果,星薬科大学学生全体の成績では,12月期に実施された第1回目の模擬試験以降,第101回国家試験の段階でようやく学習効果が現れたものと推定したが,この結果に最も寄与しているのは薬剤師免許を必須とするA群であり(Fig. 3B),将来の薬剤師免許の必要性が国家試験に向けた学習あるいは国家試験の合格率に何らかの影響を与えている可能性が考えられた.

第97回から第100回までの国家試験において,6年制課程修了者の全国での受験者総数は44,185名,そのうち33,160名が合格したが,第100回国家試験合格者発表の時点で1万人以上の学生が薬剤師免許取得に至っていない2).本研究の第101回国家試験の自己採点結果では,薬剤師免許を必須とするA群に対し薬剤師免許を間接的に使用するB群が有意に低かったが薬剤師免許を特に必要としないC群についてはA群との差が見られていない(Fig. 4).また,B群の学生の平均点は,第1回目の模擬試験の段階で既に他の群の学生と比較して低めの傾向が見られており,第2回目の模擬試験においても同様の傾向が見られている(Table 1).以上のような傾向が認められた理由として,①A群とは異なり,B,C群では,仮に国家試験に不合格となった場合でも目標の企業に就職をすることができる.②B群では職務上直接的に必要な資格としてMR認定試験があり,薬剤師免許は一部科目免除の理由で有利な資格であるが,MR認定試験合格に必須な要素は薬学部で学んだ薬学的知識であり,必ずしも臨床を重視した薬剤師としての免許・資格ではない.③C群は就労に際して薬剤師免許の必要性は低い群であるが,その多くでMR認定資格のような職務上必要な資格はなく,薬剤師の免許を取得しなければ薬学関連業界に身を置く上で自己を差別化する要因を失うなどの意識を学生が抱いているのではないかと推測している.

国家試験の自己採点において,不合格と判定された学生数が,実際の合否結果と一致していたこと,またB群に属する学生の国家試験不合格率が他の群より高かったことから,特にB群の学生に対する学習面でのサポートや,学習意欲を引き出すための対策を考慮することが国家試験合格率向上につながる可能性も新たに見えてきた.筆者は,B群の現役学生に対し,新卒で薬剤師免許の取得が叶わなかった先輩から,就職後再度国家試験受験を試みる際には学習環境再構築が大変困難であることや,学生時代には就職後の薬剤師免許の必要性の低さゆえに国家試験受験のための学習に意欲的に取り組まず後悔をしていること,その他に実際の経験などを直接学生に伝えてもらう交流会を開催し,B群の学生を中心に将来自分が経験するかもしれない状況を想像させ,薬剤師免許を取得したいと強く思えるような価値観に変化させることが効果的なのではないかと考えている.

本研究は,国家試験直前期に任意受験で行われた2回の模擬試験の結果と,同じく任意で参加させた国家試験の自己採点結果を使用した解析であり,対象者全員の成績を集めることができていない.このためB群及びC群に分類される学生の絶対数は必ずしも多くはない.しかし本研究により,少なくとも薬剤師免許を必要とする職種を選択するか否かが,薬学部学生の国家試験に向けた学習効果に影響を及ぼすことの一例を示すことができたと考えている.また,就職希望職種調査の改善や,模擬試験受験率の向上,国家試験の自己採点参加者数の増加を図り,より多くのデータ数を確保して更なる検証をする必要があるが,今後薬学部の教育課程において薬剤師免許取得の目的意識が明確でない学生に対する効果的な指導法を模索するための一つの手掛かりにつながると期待している.

謝辞

貴重な資料をご提供いただいた学校法人医学アカデミー薬学ゼミナールに感謝申し上げます.

発表内容に関連し,開示すべき利益相反はない.

文献
 
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