薬学教育
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実践報告
立命館大学薬学部における海外留学―Toronto Clinical Training Program―の取り組み
角本 幹夫近藤 雪絵服部 尚樹
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2021 年 5 巻 論文ID: 2020-067

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抄録

立命館大学薬学部では,低学年時の英語教育で身につけた英語力を現場で実践する機会と5年生時に行われる薬局・病院実務実習の発展学習の機会として,2週間の海外留学プログラム「薬学海外フィールドスタディ―Toronto Clinical Training Program―」を実施している.この留学プログラムは,カナダのトロント小児病院,トロント大学薬学部において行われる.留学プログラム実施後に行った参加学生へのアンケート結果から,プログラムの評価を行った.今回の調査では教育効果に対する評価を行うことはできなかったが,プログラムの改善点として,事前学習としてリスニング力の向上,小児疾患の病態・薬物治療に関する学習の必要性が挙げられた.また,専門領域の学びの理解度,教員同行による学習への影響についての調査が今後必要であると考えられた.現地研修の中で,日本とカナダの薬剤師比較を実感できる病棟研修については,学生の期待に十分に応えた内容であった.

Abstract

The College of Pharmaceutical Sciences at Ritsumeikan University offered a two-week study abroad program called the Toronto Clinical Training Program. This program was held jointly with the Hospital for Sick Children in Toronto and the Leslie Dan Faculty of Pharmacy at the University of Toronto. It allowed students to practice their English skills and to expand their learning experiences in pharmacy and hospital practice during the fifth year of their pharmacy studies. This study evaluated the program based on the results of a questionnaire completed by the participants following the program. The results revealed that the program could be improved by helping students’ English listening skills and by learning about the pathophysiology and pharmacotherapy of pediatric diseases beforehand. In terms of the practical training provided in Toronto, the ward training met the needs of the students. However, further investigation of the students’ understanding of lectures and seminars in the specialized areas and the role of accompanying teachers on the learning was considered necessary.

目的

立命館大学薬学部では,薬学の先端的研究を英語で情報収集する能力,発信する能力を育成することを目的に「プロジェクト発信型英語プログラム」を導入している1).さらに薬学領域に必要とされる専門英語の修得を目指した「薬学専門英語演習」を開講し,学生の英語力向上を目指している.薬学教育評価機構が実施する薬学教育(6年制)第三者評価の評価基準の中に国際交流に関する項目があり,学生の海外研修が推奨されている2).本学薬学部において,平成27年度入学生対象の薬学教育モデル・コアカリキュラム平成25年度改訂版に沿ったカリキュラム改革を行うにあたり,「プロジェクト発信型英語プログラム」,「薬学専門英語演習」で身につけた英語力を現場で実践する機会と薬局・病院実務実習の発展学習の機会として,海外留学プログラム「薬学海外フィールドスタディ―Toronto Clinical Training Program―」を開講することとした.この留学プログラムは,実務実習を経験した5年生を対象にカナダのヘルスケアシステムと薬学教育を学び,国際的な視野を持って社会で活躍できる薬剤師の育成を目指すものである.留学先は,カナダのトロント小児病院,トロント大学薬学部である.今回,本プログラムの内容・レベルについて事前学習・現地研修・事後学習の観点から学生に意識調査を実施し,プログラムの評価と改善策の検討を行った.

方法

1.プログラム概要

プログラムは,2016年度にプレ実施し,2017年度に正式に単位授与科目として開講した.開講時期は,実務実習を終えた5年生の2月末から3月初めにかけての2週間である.ただし,2016年度については,プレ実施という形で1週間であった.参加学生の上限人数は10名であり,4年生の5月に募集を行い,学生と面接し参加学生を決定した.2019年度からは,学生の英語能力を現地指導薬剤師が確認するために,事前にプログラム参加者と現地指導薬剤師とオンラインで面接を行うことにした.

2.事前学習

医療・薬学分野の英語能力の向上と小児薬物療法の復習を目的とした事前学習では,英語ワークショップ,英語による薬物治療の講義,学外の小児科医による小児薬物療法の講義を行った.英語ワークショップは,実務実習期間中にも継続的に学習できるようオンラインで実施した.小児薬物療法やカナダの医療体制など研修に際して役立つと考えられるトピックを学生が取り上げ,レポートや動画を作成しオンライン・コースツールに投稿し,意見交換を行った.さらに,ウェブサイト(https://toronto.pep-rg.jp)を作成し,医療関連のアーティクルや語彙学習コンテンツを掲載し,学生の自学自習に役立たせた.

3.現地研修

研修スケジュール例を図1に示す.研修は,トロント小児病院薬剤部,臨床薬理・毒性学部門及びトロント大学薬学部にて行われた.薬剤部では,講義及び病棟・外来での薬剤師による回診に同行しマンツーマンの指導を受けた.また,日本での実務実習の経験をプレゼンテーションした.臨床薬理・毒性学部門では,講義及び妊婦・授乳婦に対する服薬に関する電話あるいは外来での相談システムであるMotheriskでの研修を行った.Motheriskは,1985年に開設された北米最大の胎児薬物情報センターであり,薬剤師,看護師,医師などの資格を有する訓練を受けたカウンセラーが患者からの相談に対応している3).学生はカウンセラーと患者のやりとりを患者の了解を得て傍聴した.トロント大学薬学部では,学生が受講している講義を受講した.学生によるキャンパスツアー,学生との交流が行われた.最終日に,研修内容をまとめ,研修を担当したスタッフに向けて発表を行った.現地には教員が2~3名同行した.教員の役割は,学生が安全にプログラムに参加しているかの確認,コーディネーターとのミーティング,トロント大学教員との連絡,日々の講義・研修の振り返り,ポートフォリオ作成の指導,発表資料の作成と発表へのアドバイスである.

図1

現地での研修スケジュール

4.事後学習

帰国後,参加者全員で研修内容の振り返りとClinical Ward Experienceで得られた経験の共有を目的としたグループ討議を行った.研修報告として研修から得られた成果をポスターにまとめ発表した.

5.アンケート実施

プログラムに参加した目的,プログラムに参加した感想,事前学習,現地研修(Lecture, Clinical Ward Experience),事後学習についてアンケート調査を行った(図2).アンケートは本プログラムの内容・レベルを評価し,改善点を把握することを目的としており,全参加者を無記名,自由回答で行った.本アンケート調査は侵襲や介入を伴わない研究であるため,本学の規定に従い,倫理審査委員会による審査は受けていない.アンケートは学生に対して調査の目的と収集した情報を学会あるいは論文発表する際には個人情報の取り扱いに配慮する点の説明を行い,理解を得た上で実施した.アンケートの自由回答に関しては,ユーザーローカルテキストマイニングツール4) を用いて頻出語と共起語を抽出し,それらの語が用いられた文脈を精査した.

図2

アンケート内容

結果

プログラムに参加した学生数は,2016年度6名,2017年度6名,2018年度3名であった.参加した全員(15名)から回答を得ることができた.

1.プログラムへの参加目的と感想

プログラムに参加した目的(複数回答可)は,「海外の薬剤師業務に触れてみたかったから」14名,「薬学に関する専門英語の習得のため」9名,「語学能力向上のため」8名,「異文化を体験するため」1名,「英語の授業で習得した発信する力を試してみたかったから」1名,「自分自身の成長のため」12名,「就職活動に有利だから」3名であった.その他自由記述欄に学生が記載した参加した目的は,「仕組み,職域,意識レベルの違いなどを直接感じるため」,「カナダ旅行も兼ねて」,「非常に貴重な機会であったとともに,楽しそうだったから」であった.参加した感想は,「大変満足している」9名,「満足している」6名であった.「大変満足している」,「満足している」と回答した理由は,「トロント大学での授業や交流会など,病院研修以外でも幅広く関われたことで自分の視野を広げることができた.」,「病院・薬局実習を経たことで,日本の現場の感覚や特徴を体験し知っているため,より海外における薬剤師の働き等の違いを明確に体感することができ非常に刺激的であった.」,「自分の中で曖昧だった病院薬剤師の役割が,研修を通して明確になり,将来の進路や,なりたい薬剤師像を見つけることができた.」,「海外の薬剤師が働く姿を間近で見て,日本との違いを知ることができたこと.」などであった.

2.事前学習1:英語ワークショップについて

「大いに役立った」4名,「役立った」8名,「あまり役立たなかった」3名,「全く役立たなかった」0名であった.「大いに役立った」,「役立った」理由は,「研修に向けた意識付となった.」,「英語のワークショップを通じて医療系の英単語を事前に学ぶことができたため,病棟見学や講義の中で英単語が分からないという事態は少なかった.」などであった.「あまり役立たなかった」理由は,「病院実習などがあり忙しかったこともあるが,テーマごとにプロジェクトリーダーなどをしっかりと立て組織として取り組むべきだった.」などであった.

3.事前学習2:薬物治療に関する講義について

英語による薬物治療に関する講義については,「大いに役立った」7名,「役立った」6名,「あまり役立たなかった」2名,「全く役立たなかった」0名であった.「大いに役立った」,「役立った」理由は,「医療系の英語に触れる機会となった.」などであった.「あまり役立たなかった」理由は,「そもそもの自分の英語力が欠けていた.」などであった.小児薬物治療に関する講義については,「大いに役立った」4名,「役立った」7名,「あまり役立たなかった」4名,「全く役立たなかった」0名であった.「大いに役立った」,「役立った」理由は,「小児の適応外使用の問題などは,事前講義で身につけた知識がそのまま役に立った.」などであった.「あまり役立たなかった」理由は,「すでに知っていた.」などであった.

4.現地研修1:病院・大学でのLectureについて

講義内容については,「とても役立った」7名,「役立った」8名,「あまり役立たなかった」,「全く役立たなかった」は0名であった.「とても役立った」,「役立った」理由は「海外における小児医療,薬物動態・治療といった部分を比較するのには有用であった.」などであった.講義のレベルについては,「少し高い」10名,「適当」5名であった.

5.現地研修2:Clinical Ward Experience(病棟研修)について

現地指導薬剤師マンツーマンによるClinical Ward Experienceについては,「とても役立った」12名,「役立った」3名,「あまり役立たなかった」,「全く役立たなかった」0名であった.「とても役立った」,「役立った」理由は,「現地の薬剤師の方に一番関わることのできたプログラムであったとともに,薬剤師の1日の業務内容,役割,そして日本との違いを最も感じることができた.」などであった.

6.事後学習:演習について

事後学習が研修内容の振り返りに役に立ったかという問いに対して,「大いに役立った」6名,「役立った」8名,「あまり役立たなかった」1名,「全く役立たなかった」0名であった.「大いに役立った」,「役立った」理由は,「自分が学んだことをまとめ表現することで理解を深めることができた.」,「全員で感想を言い合うことによって経験してきた内容を共有しながら振り返ることが出来たため.」などであった.「あまり役立たなかった」理由は,「全員が同じ観点から話をしていたので自分と違う視点からの意見をあまり聞くことができなかった.」,「見たこと,聞いたことをメインに話し合ったので,研修を通してみんなが何を感じ,どう生かしていくのかをもっと話し合いたかった.」などであった.

7.海外研修を通して成長できたことについて

海外研修を通して成長できたことについて,その要約の一部を記載する.「日本と海外の違いを知り,病院薬剤師はどのような役割を果たすべきか考えられるようになった.」,「日本の病院実習を経験した後での経験があったため,より日本と海外の違いを明確に知ることが出来,薬剤師として働くということへのモチベーションの向上につながった.」,「英語を話すのが苦手な私でも,強制的に話さざるを得ない環境下では,苦手なことにも挑戦する力が自然と身につけられた.」,「英語で医療系の情報を得ることに抵抗が少なくなった.」,「妊娠と薬や抗菌薬アレルギーなど深く知らずにいた分野について学ぶことができて視野が広がった.」,「Motheriskでの担当者の迅速な情報提供はとても参考になった.」,「Motheriskでは実際にお母さんたちの声を聞くことができたため,現場の雰囲気を感じ取ることができた.」などであった.また,自由記述全文中で頻出した語は「薬剤師」であり32回出現していた.「薬剤師」という語が使われた文脈を精査したところ「研修を通じた学び」と「自分が目指す薬剤師像」について記載していた.

考察

本学薬学部のディプロマ・ポリシーの1つに,「国際社会でも活躍できる英語での情報収集・発信能力」がある.本学では,全学部を対象とした様々な留学プログラムが開講されているが,薬学部独自の教育目標に沿った臨床分野に関する留学プログラムは存在しなかった.そこで,薬学部独自の留学プログラムを開講することとなった.本学部事務部の報告5) からプログラム内容は,英語による専門講義,医療施設の見学,臨床実習,現地学生との交流を含むものとし,派遣時期は,日本の薬剤師業務と比較できる実務実習終了後とした.派遣先は,英語による学習・コミュニケーション,現地の安全性の観点からカナダにある妊婦・授乳婦,小児に対する薬物治療について学ぶことのできるトロント小児病院とトロント大学薬学部とした.現地スタッフと協議しプログラム内容と到達目標を設定した(表1).現在,全国の薬学部・薬科大学において留学プログラムが実施されている.本学を除く78大学6,7) のホームページ上で留学プログラムの実施状況について確認した.43大学で留学プログラムに関する記載を確認でき,17大学で本学と同様実務実習を経験した5年生以降の学生を対象としていた.また,ホームページ上で外部から入手可能な範囲でシラバスを確認することができたのは19大学であり,留学プログラムの目標に本学と同様専門分野に関する理解を深めるといった内容の記載があったのは1大学であった8).また,他大学から留学プログラムに関する報告がされている9,10) 中で,各大学の取り組みと比較して本プログラムの特色として,小児科,妊婦・授乳婦に特化した施設での研修があげられる.日本医療薬学会をはじめとする薬学関連学術団体で専門薬剤師制度が整備されていることから,薬学部生のキャリアパスを考慮した際,海外で専門性の高い薬学関連業務を学ぶ機会は学生にとって有意義なものと考えられる.また,現地指導薬剤師が学生の英語能力,知識レベルを把握するために行っている事前のオンライン面接も本プログラムの特色の1つである.

表1 海外フィールドスタディ到達目標
1.3次医療提供施設においてカナダにおける医療チームの中の薬剤師の役割を説明できる.
2.小児科領域における薬剤師の役割について説明できる.
3.症例演習を通して,薬物動態学,薬力学,薬理遺伝学,処方・製剤,調剤過誤に関する知識を応用し,小児薬物治療に関連した問題を考察・解釈できる.
4.3次医療提供小児病院において小児科症例検討会やその他のセッションに参加し,学際的な教育セッションの価値を考察できる.
5.カナダと日本間の薬学教育の類似点と相違点を説明することができる.
6.患者ケアにおける薬剤情報提供サービス,患者個々に対する最適な薬物治療の提供,処方確認,臨床薬学に関する薬剤師の役割を理解する.
7.妊婦・授乳婦に対する安全な薬物治療を提供するための薬剤師の役割を理解する.
8.科学雑誌記事を批判的に評価することができる.

15名中14名の学生が参加した目的として「海外の薬剤師業務に触れてみたかったから」と回答しており,学生は海外での薬剤師業務に関心を持っていること,自身の英語力に関する回答をする学生が半数以上いたことから薬剤師業務だけでなく英語教育で身につけた英語力を試したいという学生がいることが分かった.参加した感想として,全員が,「大変満足している」,「満足している」と回答しており,学生にとって有意義なプログラムであることが考えられた.その理由として,学生は実務実習の経験を通して日本とカナダの薬剤師業務を比較し,卒業後を意識することで,学生個人のモチベーションが向上したことによるものであると学生の回答内容から考えられた.

英語ワークショップについては,「役に立った」との回答があった一方で,実務実習期間中に行ったこと,学生の主体性に任せたためテーマを絞ることができず「役に立たなかった」との回答があったことから,教員がトピックを提供する必要性があると考えられた.英語による薬物治療の講義は,英語力の確認,医療関係の専門英語の復習に繋がったと考えられた.小児薬物療法の講義については,現地での学習に役立った学生と役立たなかった学生がいた.講義が,小児薬物動態,適応外使用といった小児薬物治療における問題点に焦点をあてた内容であったことから,既に習得している学生にはあまり役に立たないという評価になったものと考えられた.一方,15名中11名は,「大いに役立った」,「役立った」と回答としていることから,学生全体のレベルを底上げすることにより,全員がプログラムに障壁なく取り組むことができたと考えられた.また,現地指導薬剤師とのオンライン面接後,学生は小児疾患に対する病態・薬物治療に関する知識不足,リスニング力に不安を感じていたことから,今後,事前に現地指導薬剤師と学生が関わる疾患について協議し,学生が現地で携わると考えられる小児疾患に対する病態・薬物治療に関する講義,事前学習の英語教育の課題として学生のリスニング向上が必要であると考えられた.

現地研修のLectureのレベル,内容については,学生にとって有益であったと思われる.マンツーマンで行われたClinical Ward Experienceについて,5名が「とても役立った」と回答していた.実務実習の経験を通して日本と海外の薬剤師の活躍を理解し,学生自身が目指す薬剤師像が描けた研修であると思われた.結果として示していないが,トロント大学薬学部の講義において,積極的に受講する現地学生の姿勢に刺激を受け,これまでの学習への取り組みを反省する意見もあった.

事後演習は,Clinical Ward Experienceにおいて学生の経験した内容が異なるため,個人の経験を参加学生全員が共有する機会として有用であったが,プログラム全体の個人の感想,留学の経験をどう生かすかといった討論が不十分であった.そのため,留学経験を生かし将来どのように薬剤師として活躍しているか意見交換を行う必要があると考えられた.海外研修を通した成長として,学生は自由記述において「研修を通じた学び」と「自分が目指す薬剤師像」を挙げており,学生はプログラムを通した「成長」を認識していると推察された.具体的な「学び」として薬剤師の仕事への姿勢,他職種からの信頼,EBMの実践と評価などを挙げており,これらを現地研修で経験することで,薬剤師を目指す上でのビジョンがより明確になったことが考えられた.しかし,プログラムの到達目標にある小児,妊婦・授乳婦に対する薬剤師の役割に関して記載していた学生は3名であった.今回,専門領域の理解度を確認していなかったことから,専門領域の理解度を確認する必要があると考えられた.また,本プログラムは開講したばかりであるため教員が学生に同行している.学生は,Lectureのレベルを少し高いと感じていたが,日々の研修の振り返り時に教員から英語表現や臨床的知見に関するフィードバックを受けることにより,学習効果が高まっている可能性が考えられた.プログラムは現地研修だけでなく事前・事後学習を含めたものであるため,教員介入による学習効果への影響は現地研修への同行だけに限ったものではない.今後教員介入の影響について,事前学習・現地研修・事後学習という観点から評価し,教員同行の有無についても検討していきたい.

今回,薬学部独自留学プログラムを紹介し,プログラム内容・レベルが学生に適切なものであったかを調査した.プログラムは,参加する学生に対して内容・レベルともに適切であると考えられたが,プログラム実施前に学生の目的・到達目標等に関する調査を行っていないため留学前後での比較ができておらずプログラムの教育効果を評価できていない.また,プログラム内容が到達目標に沿ったものか評価していない.他大学で実施されている留学プログラムとの正確な比較ができていないことから,本プログラムの特徴を明確に示すことはできていない.今後は,本プログラムが到達目標に沿ったものか,プログラムの教育効果を評価するとともに,他大学で行われている留学プログラムを調査し本プログラムの特徴を示していきたい.

発表内容に関連し,開示すべき利益相反はない.

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