東京薬科大学薬学部は,教育研究上の目的や育成する人材像として「医療を担う薬学人」の育成を掲げており,実際に8割近くの卒業生が薬剤師として,医療現場で活躍している.医療現場では高度化・複雑化に伴い,質の高い安全な医療を実現するために,チーム医療が推進され,2022年改訂の薬学教育モデル・コア・カリキュラムでは多職種連携能力が基本的資質として掲げられた.本学は2015年より東京医科大学と連携し,多職種連携教育(Interprofessional Education: IPE)を実施している.本学のIPEは低学年を対象に,模擬患者(Simulated Patient: SP)を活用した短時間完結型の実践的プログラムである.SPは市民ボランティアから募集し,シナリオ勉強会や研修会にて研鑽した上で実習に参加している.本学ではIPE以外の実習にもSPを活用し,学生が医療コミュニケーションを体験し,主体的に気づきを得られる機会を作っている.本稿では,本学におけるIPEおよびSP研究会の運用やSP養成について報告する.
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