2021 年 5 巻 論文ID: 2020-077
慶應義塾大学薬学部における新型コロナウイルス感染症への対応をふり返る.教員に対しては遠隔授業に関する最新情報を共有し,学習管理システムや動画公開に関する講習会,著作権に関する研修会を実施した.新入生にはオンラインクラス会などで薬学部への入学を実感できるようにしたほか,6月から週1回対面による授業を実施して,学生同士のコミュニティ作りや教員への質問・相談ができる環境を構築した.遠隔授業に関するアンケートから学生が困っていることを抽出し,教員に確認を呼びかけた.「友人と相談できない,情報交換できない」と答えた回答者の割合は学年進行と共に低下する傾向があり,1年生への配慮が重要と考えた.遠隔授業は効率的,繰り返し視聴できるなど,学生は比較的良い印象で受け止めていることがわかった.今後は対面授業も組合せながら遠隔を含む授業をより効果的に活用し,薬学部における教育効果をさらに向上させたいと考える.