薬学教育
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実践報告
教育用ロボットを活用した医療系大学における数理データサイエンスAI教育の実践(応用基礎レベル相当)
西牧 可織二瓶 裕之
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2023 年 7 巻 論文ID: 2023-005

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抄録

数理・データサイエンス・AI教育(応用基礎レベル)に対応する授業として「医療データサイエンス入門I」を,薬学部をはじめとする複数の医療系学部で開講した.本稿では,その授業デザインと教育用ロボットを活用した教材について紹介する.「医療データサイエンス入門I」では,薬剤師など医療従事者を目指す学生がAIやプログラミングに興味を持つよう教育用ロボットを活用した.また,学修プラットフォームとして「医療データサイエンス学修サイト」を作成し,Google Colaboratoryを用いたプログラミング演習をサイトに組み込むことで,ロボットを活用しながら応用レベルの基礎学修項目を体系的に学修できるよう工夫した.

Abstract

A course called “Introduction to Medical Data Science I” introduced health science students to a basic level of applied mathematics, data science, and AI education. The class design and the learning materials were based on the utilization of an educational robot. This robot encouraged students seeking to become pharmacists and other healthcare professionals to develop a greater interest in AI and programming. A learning platform, “Medical Data Science Learning Site,” that included programming exercises from Google Colaboratory, allowed students to apply basic skills systematically while using the robot.

目的

国のAI戦略2019を皮切りに,DX(デジタルトランスフォーメーション)による社会の転換が始まっている.例えば,直近のAI戦略2022では,AIを活用し膨大なデータを分析することで,感染症の流行や自然災害の早期検知・リスク評価を行うなどの対策を講じたり,ロボット技術による医療支援や物流支援を実現したりするなど,日本の危機的状況に対する対応の強化が期待されている1).大学教育においてもDXによる改革は急速に進められており,2021年からは,情報教育に対して,数理データサイエンスAI教育プログラム(MDASH)が策定され,文理問わずすべての大学生がMDASH教育を受けることとされた2).一方で,薬学教育においても,薬学教育モデル・コア・カリキュラム 令和4年度改訂版(案)3) に,デジタル技術・データサイエンスの追加がされるなど情報教育の革新が求められている.

MDASHには,エキスパート,応用基礎,リテラシーの3つのレベルが設定されたが,リテラシーレベルでは,「学生の数理データサイエンスAIへの関心を高め,かつ,数理データサイエンスAIを適切に理解し,それを活用する基礎的な能力を育成すること」2) を目指している.さらに,応用基礎レベルでは,「リテラシーレベルの教育を補完的・発展的に学び,データから意味を抽出し,現場にフィードバックする能力,AIを活用し課題解決につなげる基礎能力を修得すること.そして,自らの専門分野に数理・データサイエンス・AIを応用するための大局的な視点を獲得すること.」2) を目指している.

このような中で,北海道医療大学(以下,本学)では,かねてより教育支援システムの内製化4,5) など教育のDX化を図っていた6,7).2020年度にはDX推進計画である「医療系大学における学生参加型AI開発による学修者本位の教育の実現と普及」を策定し8),文部科学省「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」の取組①「学修者本位の教育の実現」に採択された.

本学DX推進計画の柱は,これまでに開発した教育支援システムやLearning Management System(LMS)にAIを組み込むことである9).例えば,教育支援システムやLMSに蓄積している学生の講義ノートデータを学修するAIを開発し,学生が新たに講義ノートを提出することで,AIで文章指導を受けることができたり,過去の学生の学修ログに基づいて習熟度にあった演習課題を提供したりするなど,小中規模の機動性の高いAIを多種多面的に内製化する.AIの機動性を高めて学部教育に柔軟に対応することで,全学的に学生個人に最適化された教育(習熟度別学修や履修指導)を実践することを図った.

情報教育に対しても,本学では,2020年度からMDASHリテラシーレベルに相当した教育を始めた.2021年度には,本教育プログラムを「医療系大学での学びあいと内製AIによる学修者本位の教育」としてMDASH認定制度に申請をして,MDASH(リテラシーレベル)に認定され,リテラシープラスにも選定されるに至った2).さらに,2022年度からは,薬学部,歯学部,心理科学部,リハビリテーション科学部において,工科系学部で広まりつつある応用基礎レベルに相当する授業科目として「医療データサイエンス入門I」(2~4年の前期)と「医療データサイエンス入門II」(同学年の後期)を開講した.

本稿では,そのうち「医療データサイエンス入門I」の授業実践について報告する.特色が,教育用ロボットを活用した点である.また,学修用プラットフォームとして作成した “医療データサイエンス学修サイト” を紹介する.

方法

「医療データサイエンス入門I」は,専門教育科目(各2単位,合計4単位)であり,自由選択科目としている.2022年度の履修生は7名,薬学部からは3名が履修した.

「医療データサイエンス入門I」の開講にあたり重要視したのが,医療人を目指す学生にプログラミングへの興味を持ってもらうことである.プログラミング経験者であってもプログラミングに否定的な学生もいることが推測されるため10),プログラミング教育を効果的に行うためには,まず,多くの学生に肯定的な印象を持ってもらう授業デザインが必要であると考えた.

そのために活用したのが,教育用ロボット教材である.ロボット教材は,工学系大学生向け教育をはじめ,初等中等教育現場でも幅広く活用されており,協働学修の実践など多様な学修プログラムが研究開発されている11).教育用ロボットなどを使いながら,実践的に数理・データサイエンス・AIの基礎的な知識・技能を身に付けることを目指す.

表1は,「医療データサイエンス入門I」の学修テーマであり,MDASH(応用基礎レベル)コアカリキュラムの内容に相当してデザインをした.

表1 学修テーマ
学修項目 テーマ 学修内容・キーワード
1 データサイエンス基礎 データ駆動型社会とデータサイエンス Colaboratoryの仕組みと使い方
2 データ観測 記述統計量,散布図,回帰直線,回帰平面
3 分析設計・データ分析 時系列データ解析,単回帰,重回帰
4 データ可視化 自然言語処理,関係性の可視化
5 データエンジニアリング基礎 データ表現・データ収集 mbotの設定とセンターデータ
6 プログラミング基礎 反復,分岐,mbotの制御
7 プログラミング基礎 反復,分岐,mobtによるライントレース
8 プログラミング基礎 関数の利用,mbotでの複数センサーの利用
9 AI基礎 AIの応用分野 EV3のセットアップ,Raspberry PIの設定
10 機械学習の基礎 教師あり学習,CNN,過学習
11 深層学習の基礎 深層学習,TensorFlowとKeras
12 深層学習の基礎 EV3による推論モデルの作成と利用
13 深層学習の展望 EV3動作のシミュレーション
14 深層学習の展望 深層学習によるEV3動作
15 AIと社会 XAI,成果報告会

最初の学修テーマである【データサイエンス基礎】では,データ駆動型社会でデータサイエンスを学ぶ意義を理解したうえで,データ観測,データ分析,データ可視化などを学ぶ.

次の【データエンジニアリング基礎】では,データを収集・処理・蓄積するための技術やプログラミング基礎を学ぶ.

最後の学修テーマである【AI基礎】では,AIの歴史と活用領域の広がり,AIが社会に受け入れられるために考慮すべき点を学んだうえで,機械学習や深層学習などの基本的な概念を理解できるようにする.また,AI技術を活用し,課題解決につなげることができるようにする.

【データエンジニアリング基礎】と【AI基礎】では,要求駆動型ロボットとデータ駆動型ロボットの2種のロボットを活用することで,プログラミングの本質的違いを実感できるようにした.

「医療データサイエンス入門I」の3つの学修テーマ【データサイエンス基礎】,【データエンジニアリング基礎】,【AI基礎】をロボットを活用しながら体系的に学ぶために開発をしたのが,“医療データサイエンス学修サイト” である.これはGoogleのオンラインアプリケーションなどで作成して学生に公開している.Google Colaboratoryも組み込むことで,個々のデバイスに応じた複雑な環境設定をすることなくプログラミング演習を実施できるようにしている.

Google Colaboratoryとは,機械学習の教育及び研究用にGoogleが提供しているWebブラウザ上で動作するインストール不要の無料の開発環境である.その開発環境において使用できるプログラミング言語が,機械学習・深層学習の領域で広く利用されているPythonである.“医療データサイエンス学修サイト” からは,Google Colaboratoryへのリンクをクリックするだけですぐにプログラミングができるようにした.

図1は,“医療データサイエンス学修サイト” の最上位ページのスクリーンショットであるが,ここでは,表1に示した4つの学修テーマごとの演習課題ページへのリンクを用意している.

図1

医療データサイエンス学修サイト

図2は,【データサイエンス基礎】の演習課題ページである.ここでは,応用基礎レベルコアカリキュラムの学修項目ごとに演習課題をリンクした.例えば,【データサイエンス基礎】の演習課題の一つであるデータ分析手法(1)では,Python用の機械学習ライブラリであるscikit-learnを活用した.scikit-learnの公式サイトから提供されている糖尿病患者のデータセットをダウンロードし,回帰モデルやランダムフォレストなど様々なデータ分析手法による解析結果を視覚的に学べる演習課題としている.

図2

データサイエンス基礎

図3は,データ分析手法(1)の演習課題である.これは,Google Colaboratoryで作成したプログラミング演習の課題である.課題の中では,データ予測の特徴量とする項目(図中では,BMI,平均血圧,総コレステロール,ldlコレステロール,hdlコレステロール,血糖値)や解析モデル(線形回帰やランダムフォレスト)などを,入力フォーム(#@param)により学生が指定できるようにしている.これにより,例えば,解析モデルの違いにより,予測されるデータがどのように異なってくるのかなどを,グラフを使いながら視覚的に理解できるようにしている.

図3

データ分析手法(1)

【データエンジニアリング基礎】の実施において,“医療データサイエンス学修サイト” に組み込んだのが図4に示すような教育用ロボットを活用した学修教材である.この教材では,VR(仮想現実)メディアも使いながら,模型都市に配置したロボットをプログラミング制御する課題を通して,基礎的なプログラミング技術から機械学習や深層学習の仕組みを視覚的に学べるようにした.

図4

教育用ロボット

図5は,【データエンジニアリング基礎】の演習課題ページである.表2に示した演習課題を設定して,模型都市におけるロボットの動作をプログラミング制御するようにした.

図5

データエンジニアリング基礎

表2 演習課題(要求駆動型ロボット)
模型都市とロボット
1 模型都市の確認 VRゴーグルを装着して模型都市に入り込む
2 ロボット動作の基本制御 順次と反復によりロボットを前後左右に動かす
3 センサーデータの取得 ロボットに装着したセンサーからデータを取得する
単独のロボット動作をプログラミング制御するミッション
1 障害物からの回避 建物や障害物への衝突を回避しながら,ロボットを目的地へと移動させる
2 道路区画線上の移動 路面上に描かれた区画線(模型都市では黒ライン)に沿って,ロボットを目的地へと移動させる
3 一時停止や徐行 歩行者や緊急自動車が近づいた時にロボットの動きを一時停止したり徐行させる
ロボットどうしの動作をプログラミング制御するミッション
1 ロボットどうしの衝突回避 ロボットどうしが互いに衝突を回避しながら,路面上に描かれた区画線上を移動させる
2 延長線上でのロボットどうしの衝突回避 道路を延長することでロボットどうしが衝突するタイミングが変わることに対応する
3 ロボットどうしの衝突回避と追従 ロボットどうしが互いに向かい合ったときには衝突を回避し,同じ方向を向いているときには追従をさせる

【データエンジニアリング基礎】では,要求駆動型の教育用ロボットを使って,表2の演習課題を解く.ここでは,ロボットに装着されている超音波センサーやライントレースセンサー(フォトダイオード)から取得したセンサーデータをもとに,順次・分岐・反復などのアルゴリズムを学生が作りながら,表2の課題に沿ったロボット動作を実現する過程で,基礎的なプログラミングを学べるようにしている.

例えば,図6は,【データエンジニアリング基礎】における「ロボット動作の基本制御」の演習課題である.要求駆動型ロボットの制御には,ブロックプログラミングを利用するために,課題を解くためのサンプルとなるブロックプログラムや,それに対応するテキストプログラムも提示している.

図6

ロボット動作の基本制御(要求駆動型)

さらに,表2の演習課題に対する学修意欲の向上を図るために利用したのがVRメディアである.表2の演習課題では,様々な条件下でのロボット動作が想定されているが,それらを360度カメラで撮影して,演習課題ごとにVR映像を制作した.

図7にも示したように,演習課題ページには,対応するVR映像をQRコードからリンクした.学生は,ゴーグルを装着してVR映像を視聴したり,図7のように,学生自身のスマートフォンで4Kの360度映像を視聴したりできる.これらのVRメディアにより,模型都市に入り込んだような感覚で,学生が主体となって確認したい個所を何度も視聴できるなど,学生の学びを促進し学修効果を高められるようにした.

図7

VRを使った教材(右上は埋め込み)

一方,【AI基礎】では,データ駆動型のAIロボットを使って【データエンジニアリング基礎】と同様に “医療データサイエンス学修サイト” の演習課題ページから課題を解く.ここでは,センサデータを学生がロボットに学習させながら,学習や推論など一連のデータ駆動型のプロセスを通して,機械学習や深層学習の計算モデルの特徴などAIの基本となる考え方・仕組みを学べるようにしている.

図8は,【AI基礎】の演習課題のページである.解析準備として訓練データを取得した後,CNN(畳み込みニューラルネットワーク)により訓練用データを学習して,推論モデルを生成する.推論モデルの生成にはTensorFlowと呼ばれる機械学習のためのライブラリを利用する.CNNにより生成した推論モデルを使って,進行方向の路面動画像に対するステアリング値を推論する.最後に,CNNによる訓練データの学習,推論モデルの生成,推論モデルによるステアリング値の推論といった一連のプロセスを振り返る.

図8

ロボット動作の基本制御(データ駆動型)

図9は,Google Colaboratoryで作成したプログラミング演習の課題である.上図がデータ駆動型ロボットに搭載したカメラで撮影した訓練用の画像データである.次にこの画像データを用いてGoogle Colaboratoryを活用して推論モデルを生成し,推論のシミュレーションを行った.

図9

ロボット動作の基本制御(データ駆動型)

また,これらの4つの学修テーマに対する達成度を調べることとした.達成度とは,学修テーマに基づいて授業回ごとに設定した到達目標に対する学生の自己評価とした.到達目標の詳細については本学のシラバスに記載されている.達成度の指標としては,◎(達成できた),〇(ほぼ達成できた),△(やや達成できなかった),×(達成できなかった)の4択を設定し,授業終了時に学生の主観で達成度を送信させた.このとき,授業回ごとに提出を義務付けている課題も送信させた.

なお,学生には,達成度の自己評価が,自身の成績に影響を与えないこと,自己評価と個人を特定できる情報との紐づけをしないこと,回答による不利益がないことを伝えている.

結果

「医療データサイエンス入門I」の授業実践の結果として,図10では,授業回ごとの達成度を,4段階(◎,〇,△,×)の評価別の比率により折れ線グラフで示した.回収率は100%となった.履修者数は7名であった.最も高い達成度である◎に着目すると,授業回の1から4回では◎の比率が下降傾向を示した.授業回の1から4回では,「データサイエンス基礎」として,Google Colaboratoryを使いながら,データを収集・処理・蓄積するための技術やプログラミング基礎を学ぶようにしたが,データの読み取りなど難易度の高い課題もあったことから,達成度も下降傾向を示したものと考えられる.

図10

授業回ごとの達成度:4段階(高いほうから,◎,〇,△,×)の評価別の比率(なお,×は0%であったので記載されていない)

一方で,授業回の5回目以降は,◎の比率が高まり,特に,7回目と8回目は,全員が◎となった.

授業回の5から8回では,「データエンジニアリング基礎」として順次・分岐・反復などのアルゴリズムを学生が作り,表1の課題に沿って教育用ロボットを動かしながら,基礎的なプログラミングを学ぶようにした.また,達成度とともに学生に任意で記載させている自由記載コメントには,楽しい・充実しているなど,教育用ロボットについてポジティブなコメントが寄せられるなど好評を得た.

8から10回目には,要求駆動型からデータ駆動型のプログラミングについての事前講義も含まれており,難易度が高まったことや,一部教育用ロボットの動作に不具合なども生じたことから,◎の比率が下降したと考えられる.

11から13回目はデータ駆動型ロボットを動かしながら推論モデルの作成などを実施したことから,深層学習への理解が高まり,達成度が向上したと考えられる.

考察

数理データサイエンスAI教育応用基礎レベルに相当する授業として開講した「医療データサイエンス入門I」について報告した.授業は,MDASH(応用基礎レベル)コアカリキュラムの内容に相当させてデザインをした.また,医療人を目指す学生にもAIやプログラミングに興味を持ってもらうために,教育用ロボットを活用したほか,“医療データサイエンス学修サイト” を開発し,Google Colaboratoryを使ったプログラミング演習を行いながら,応用基礎レベルの学修項目を体系的に学べるようにした.これによって,たとえば,データ分析能力の向上が期待でき,薬剤師業務において重要となる患者の健康情報や治療結果の統計分析やデータの視覚化などのスキルを身に着けることができると考える.

特に,教育用ロボットに関しては,模型都市に配置したロボットの動作を通して,基礎的なプログラミング技術から機械学習や深層学習の仕組みを学べるような工夫をした.さらに,360度映像やVRも活用して,模型都市に配置したロボットの動作を確認できるVRメディアも用意した.VRを活用した仮想空間での体験は,学生の学修に対する好奇心やモチベーションの向上が図られると考える.また,360度などの様々な視点からの映像の視聴を可能とすることで,ロボット動作についての興味を促すものと考える.

授業については,現在,「医療データサイエンス入門I」までを終えた.要求駆動型のプログラミングを学ぶため教育用ロボットを活用した授業回は,学生の達成度が高まる傾向を示した.同時に,自由記載コメントにも教育用ロボットの活用に対するポジティブなコメントが寄せられた.学生自身が作成したアルゴリズムがロボットの動作により可視化されることで,プログラミングに対する興味が高まり,楽しい・充実している等のポジティブな気持ちで受講できたものと思われる.これによって,到達目標に向けて努力することができ,その結果,到達目標を達成できた学生が多かったと考える.

このことから,学生自身が課題を発見・解決するためのアルゴリズムを構築し,可視化しながらMDASHを学ぶ機会を増やすこととそれに伴う教材開発が重要になるのではないかと考える.また,医療系大学として,専門科目の学修意欲へも発展させる為には医療・福祉の視点からの学びを拡充していく必要がある.近年,ロボットを活用した調剤により薬剤業務の安全性や効率化の向上を図ることで,薬剤師の対人業務の充実化を図るという取り組みも見られる.薬剤師業務にとって必要とされるロボットの性能からアルゴリズムを学生が考えるといった課題のほか,模型都市内に点字ブロックやスロープ模型を設置したり,VRを活用して俯瞰視点では捉えにくい死角を考慮したりしながらロボットを安全に走行させるアルゴリズムを構築するなどの課題も開発中である.

このように,医療・福祉など分野を横断したSTEAM教育の学びを取り入れながら,機械学習や深層学習をより深く学ぶためのデータ駆動型のAIロボットを使った教育教材を開発し,教育改善効果の検証を続けたい.

発表内容に関連し,開示すべき利益相反はない.

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