論文ID: e09022
私は2023年9月,ステージ4の小腸がんと診断され,2度の手術と半年間にわたる化学療法を経験した.希少がんである小腸がんは標準治療が確立されておらず,治療の選択には大きな不安と葛藤が伴った.患者の立場になり初めて,医療従事者の言葉の重みや,心のよりどころの重要性を実感した.また,がんに関する情報があふれる中で,身近な人やSNSからの誤情報に直面した経験から,患者が信頼できる情報を適切に得られる仕組みや,情報を活用するリテラシー向上の重要性を痛感した.保険薬局は患者との心理的距離が近い特性を生かし,情報を適切に読み解き,個々の患者に合わせた情報提供ができる重要なリソースの1つと考えられる.医療従事者が患者の声を丁寧に聴き,適切ながん情報を共有する仕組みを整えることで,治療の支えとなるケアが可能となる.本稿ではこれらの視点から,今後のがん患者支援の在り方を考察する.