日本公衆衛生看護学会誌
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研究
児童虐待予防においてかかわりが難しい母親との信頼関係構築に着目した熟練保健師の支援
佐藤 睦子上野 昌江大川 聡子
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2021 年 10 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

目的:かかわりの難しい母親との信頼関係構築に着目した熟練保健師の支援を明確にすることである.

方法:経験年数10年以上の熟練保健師10人を対象に半構成的面接によりデータを収集し,質的に分析した.

結果:母親との信頼関係構築に向けた支援は,【最初の出会いを大切にする】【歩調を合わせ伴走する】【日常生活の役に立つケアを提供する】【身近なロールモデルとなる】【生きづらさに寄り添う】【見捨てない覚悟を示す】【自尊心を高める】【母子を支えるつながりを広げる】【生きづらさの緩和に向けてかかわる】という9のカテゴリーと39のサブカテゴリ―が抽出された.

考察:保健師は母親に対する緊張緩和的,保護的,支持的な支援を積み重ねることで母の生きづらさの本質を見極め,支援に対する覚悟を決める.その支援の継続が母親からの信頼獲得につながる.信頼関係づくりの基盤として,母親の生きづらさの理解と覚悟を示すことが必要であると考える.

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