日本公衆衛生看護学会誌
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研究
住民組織に属する住民による地域課題の捉え方の特徴
山下 千絵子藤井 智子
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2022 年 11 巻 2 号 p. 99-107

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抄録

目的:住民組織に属するメンバーによる地域課題の捉え方の特徴を明らかにし,行政保健師との協働への示唆を得る.

方法:行政協力組織に属するメンバーを対象にグループインタビューを実施した.逐語録から地域課題の捉え方に関する内容を抽出しカテゴリ化した.

結果:研究協力者は3住民組織11名で平均年齢は71.5歳であった.住民組織メンバーは,【日常の中で人々の暮らしを経年的に把握する】,「高齢者」「男性」などに着目し【暮らしの困りごとから課題を見立てる】,さらに心配な高齢者に焦点をあて【住民の命を守るための課題を掘り下げる】ことを行っていた.

考察:特徴として,住民との人間関係を土台に相互扶助的な関わりのある範囲を重視し,困りごとに対応した経験で培われた枠組みから課題を見立てていた.住民組織メンバーの捉える生活に密着した地域課題と行政保健師の専門的判断を重層的に共有することが協働の基盤となると考える.

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