日本公衆衛生看護学会誌
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活動報告
委託型地域包括支援センターに地区診断導入を目指した研修の取組み
岡野 明美
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2024 年 13 巻 3 号 p. 234-243

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Abstract

目的:委託型地域包括支援センターに地区診断が導入・継続されることを目指して,行政保健師とともに取組んだ研修の企画・実施・評価を記述し,地区診断の導入・継続を可能にする要因の示唆を得ること.

方法:委託型包括3職種を対象に2年間で研修を6回実施した.研修後,受講者に無記名自記式調査,A市保健師に面接調査を行った.

結果と考察:1年目研修後,受講者の地区診断の実施状態では地区診断の導入・継続は困難と判断し,次年度も研修が継続された.2年目研修後,地区診断の実施状態は改善され,導入出来る状態は確認されたが,実施体制が整っていない等,継続するための課題が残されていた.そこでA市保健師が継続される体制作りを行った.地区診断の導入・継続を可能にするには,委託型包括の地区全体を見る視野と地域支援につなげる視点の形成,包括担当部署保健師の委託型包括の地域支援の現状理解や体制づくり等,両側の要因が必要であった.

I. 緒言

わが国の高齢化が進展する中,地域包括ケアシステムの構築が求められている.その構築に必要なプロセスには,地域課題の把握と社会資源の発掘があげられ(厚生労働省,n.d.),地域アセスメントが示される(地域包括支援センター運営マニュアル委員会,2022).地域包括支援センター(以下,包括)が実施する地域アセスメントの目的は,担当地区内の現状を量的・質的に把握し,担当地区の理解を深めること,地域ケア会議等で担当地区の特性と課題を共有し,必要なネットワークを構築していくこと(地域包括支援センター運営マニュアル委員会,2022)とされる.包括に求められることは,担当地区の特性と課題を明らかにし関係機関と共有することや,担当地区に必要な地域支援活動を見出すことであり,その手法の1つに地区診断(宮内,2013)がある.

包括職員を対象にした地区診断の研修報告では,様々な職歴をもつ職員による地区診断の共通理解(村山ら,2013),ネットワークの構築(近藤ら,2019),地域支援活動が求められること(岡田ら,2015)等から地区診断の導入が必要とされた.内容は,コミュニティ・アズ・パートナーモデルに基づいた方法の説明と演習等(近藤ら,2019村山ら,2013岡田ら,2015)で,いずれも単年度であった.研修成果には,地区診断の方法を理解したことによる実施へのモチベーションや自己効力感の高まり(近藤ら,2019村山ら,2013岡田ら,2015),職員間の地域特性の共有化(近藤ら,2019村山ら,2013)がある.しかし,地区診断実施の継続困難(近藤ら,2019岡田ら,2015)や地区特性を把握する不全感(近藤ら,2019)等の報告もある.特に委託型包括は,個別相談業務に追われ地域活動に目を向ける余裕がないこと(岡田ら,2015)や,行政が保管する各種統計データへのアクセスが難しいこと(藤本ら,2022)等の困難がある.

地域包括ケアシステム構築を推進する上で包括の機能強化が求められる中,A市の包括担当部署保健師(以下,A市保健師)は,地区の重点課題に応じた活動を目指して研修を実施したが情報収集から発展せず,委託型包括への働きかけに課題を抱えていた.そこでA市保健師と筆者の協働による研修が開催された.研修は,委託型包括が地区診断を業務に取入れ(導入),それが継続される(継続)こと(以下,地区診断の導入・継続)を目指し,プログラムは先行研究(近藤ら,2019村山ら,2013岡田ら,2015)を参考に作成した.本報告は,行政保健師とともに取り組んだ研修の企画・実施・評価を記述し,委託型包括に地区診断の導入・継続を可能にする要因の示唆を得ることを目的とした.

II. 用語の定義

1. 委託型地域包括支援センター

A市が法人に業務委託した民間の地域包括支援センター

2. 包括担当部署保健師

民間の地域包括支援センターに委託した業務管理や活動支援を行う高齢者担当部署の保健師

3. 地区診断

担当している地区を対象に,独自の活動計画を作る出発点として実施するもの(宮内,2013

III. 方法

1. A市の概況

2018年現在の人口は18万7千人,高齢化率は28.5%で年々高齢化が増加している.包括は8か所全て委託型である.包括には保健師等(保健師あるいは看護師),社会福祉士,主任介護支援専門員(以下,3職種),合計3~4名の配置がある.A市保健師は2名で,委託業務管理,研修の企画・運営,会議等の役割を担っている.包括職員への研修は,2008年から包括職員の質向上を目指して毎年,業務の一環として実施されている.

2. 活動の対象・期間・運営

活動は,地区診断の導入・継続を目指して実施した研修である.研修受講者は,A市から委託を受けた8包括,合計29名であった.研修は2019年度に4回,2020年度に2回実施した.運営スタッフは 2年間ともA市保健師2名と筆者であった.研修1年目(2019年度)は8施設の包括職員の集合研修をA市内で実施,2年目(2020年度)は包括ごとに実施した.研修準備,実施,評価をA市保健師と筆者がともに検討し,受講者の地区診断実施状況を確認しながら取り組んだ.

3. 評価方法

評価は受講者及び運営側の両面から行った.対象は,研修受講した包括職員3職種のうち1年目(2019年度)の研修受講者及び2年目(2020年度)の研修受講者のうち2019年度も受講した者とした.運営側は,A市保健師2名とした.調査期間は,受講者は2020年1月~2月,2021年1月~2月,A市保健師は2021年3月であった.

受講者の研修成果や地区診断の実施状態を把握するために,1年目(2019年度)及び2年目(2020年度)の各研修終了後に無記名自記式質問紙調査を行った.質問紙の配付は,研修終了後から1か月の間で開催される包括の会議の場でA市保健師が包括センター長に手渡した.回収は包括単位で留め置き,会議の場や窓口にまとめて包括センター長あるいは包括職員が持参した.質問項目は,個人属性(職種,包括経験年数,年齢),地区診断の実施(1年目:情報取集,アセスメント,地区特性,地区課題,事業計画に関わる15項目,2年目:地区課題,事業計画に関わる4項目),研修の学びや実施の困難さの自由記載とした.これらは既存文献(近藤ら,2019村山ら,2013岡田ら,2015佐伯ら,2013)を参考に研修目標に合わせて筆者が作成した.質問項目の地区診断の実施程度は「できた」「ややできた」「ややできなかった」「できなかった」の4段階で設問し,記述統計を算出した.自由記載は,意味を損なわないよう要約して,類似性に基づき分類した.

2年間の研修終了後にA市保健師2人同時の半構成面接を1時間程度1回行った.A市保健師は研修前,地区診断に関する過去の研修で成果がみられず委託型包括の支援に悩んでいた.しかし地区診断の導入・継続に至るまでの A 市保健師の判断や行動が重要であった.そのため,研修中の行動や判断に至ったA市保健師研修の気づきについて尋ねた.語りをコード化し,サブカテゴリ化,カテゴリ化した.A市保健師にインタビュー調査のコード及びカテゴリ内容の確認をそれぞれに行った.

4. 倫理的配慮

A市に対して,評価の目的,質問項目,データの使用方法,協力の任意の保証等を文書で説明し,A市保健師から口頭で同意を得た.受講者には,研修終了後に包括センター長に上記の内容を文書で説明し,対象用調査依頼書と返信用封筒を受講者に配付いただいた.調査票同意欄のチェックで同意を確認した.A市保健師には,研修終了後にインタビューの趣旨,協力の任意と撤回の保証等を口頭と文書で説明し,更に,研修企画・運営協働者として忌憚のない意見を伺いたいこと,答えたくないことは答えなくてよいこと,どのような発言をされても不利益は生じないこと等の説明を加えた.また,A市保健師の管理者に同様の説明を文書で行った.インタビュー調査の同意は,同意書の返信をもって確認した.1年目の評価調査は京都府立医科大学医学倫理審査委員会(承認番号:ERB-E-436,2018年12月25日)の承認を得て実施した.2年目の評価調査とA市保健師へのインタビュー調査は大阪府立大学大学院看護学研究科研究倫理委員会の承認(承認番号:2020-30,2020年9月30日:2020-50,2021年3月23日)を得て実施した.

IV. 結果

1. 活動内容

2年間の活動の経緯と内容を表1にまとめた.

表1. 

活動内容

目標 内容/役割 結果
1年目
(2019年度)
研修準備 A市保健師と筆者の協働での研修体制を作る ・A市保健師からのテーマ(地区診断)選定理由をもとに,研修目的と達成目標を決めた
・目標達成にむけ研修の役割分担を決めた
A市保健師と筆者の協働体制ができた
研修実施 受講者がコミュニティー・アズ・パートナーモデルのプロセスを経験し,担当地区の重点課題に応じた事業計画を立案できる 6月~12月に計4回,1回2時間程度行った.
講義は集団形式,GWは包括単位で行った.発表は前回のGW課題の成果を包括単位で報告し全体で共有した
欠席者には,参加した受講者から毎回研修内容を報告された
 1回 講義(地区診断が必要となる社会背景,地区診断の意義,コミュニティー・アズ・パートナモデルの概要),GW(課題:情報収集・アセスメント)
 2回 発表(担当地区の情報収集・アセスメント結果),GW(課題:地区特性の明確化)
 3回 発表(地区特性の明確化),GW(課題:地区課題の抽出)
 4回 発表(地区課題の抽出),GW(課題:事業計画の立案)
A市保健師:GWに必要な担当地区ごとのデータの準備,GW内容の事前説明と研修日までに提出された資料の確認
筆者:講義と進行
・受講者は地区診断のプロセスを経験し,全ての包括から事業計画立案までの成果物の提出があった
研修評価 地区診断の実施状態を把握し,地区診断導入の状況を検討する ・研修終了後に無記名自記式質問紙調査を実施した
・受講者の地区診断実施実態をA市保健師と筆者で共有し,次年度からの導入が可能かを検討した
A市保健師:受講者に向けた無記名質問紙調査の説明,用紙の配付と回収
筆者:質問紙の作成
・受講者は地区を見る視点は養われたが,地区課題の多角的な検討や事業計画立案に反映されていなかった
・地区診断導入は困難と判断し,研修の継続についてA市保健師が上長に相談し,研修の継続が決まった
2年目
(2020年度)
研修準備 地区診断の実施状態に応じた研修方法をA市保健師と筆者の協働で計画する ・1年目の質問紙調査結果を参考に研修の目標や方法を検討した
・研修後の地区診断の位置づけについて検討した
A市保健師:研修方法の実現性の判断
筆者:研修方法と内容の提案
・内容を地区課題と事業計画に絞り,包括単位で研修を実施することを決めた
・次期から各包括の地区診断が介護保険計画書に記載されることになった
研修実施 受講者及びA市保健師がディスカッションして,地区課題の抽出と事業計画立案の妥当性を高める 包括単位に7月~12月の期間に2回,1回2時間行った
研修前に,A市保健師と筆者で1年目に作成された地区診断資料に基づいて進め方の打ち合わせをした
1年目終わりに包括から提出された地区診断成果物を見ながらA市保健師が受講者に地区支援活動に関する問いかけ(共感できるところと違和感,地区の課題対応としてどのような計画を立てるのか等)をディスカッション形式で行った.また研修後地区診断は介護保険計画書に反映されることを説明した
 1回 情報のアセスメントと地区課題の整合性
 2回 事業計画立案と地区課題の整合性
A市保健師:各包括との研修日程調整,研修の進行
筆者:受講者へのコメント
・受講者はA市保健師の問いかけに対して日々の活動を振り返り,地区診断とつなげて言語化する機会となった
・資料を修正して提出できた
研修評価 地区診断の実施状態と地区診断導入の課題を把握する ・全ての包括での研修終了後,受講者に無記名自記式質問紙調査を実施した
・研修評価調査をA市保健師と筆者で共有し,1年目の結果との比較から受講者の成長と課題を確認した
・研修では解決できない地区診断導入課題への対応について検討した
受講者の地区診断の実施状態は改善され,地区診断の実施が活動の共有やヒントにつながっていた
地区診断導入準備 地区診断を根拠に事業計画が提出されるための仕組みをつくる ・地区診断を必要な活動として定着させるための仕組みづくりについて検討した
A市保健師:地区診断フォーマットの作成,地区診断の提出と点検等の検討
・A市保健師は地区診断フォーマットを作成した,そして介護保険計画策定年を目標に,毎年,包括から提出された事業計画が地区診断に基づいているかの点検及び包括支援を行うことを決めた
・A市保健師は包括に次年度から地区診断を導入する実施体制について説明するに至った

注)GW:グループワーク

1) 1年目(2019年度)

(1) 研修準備

A市保健師と筆者の協働での研修体制を作るため,事前に対面した.A市保健師からのテーマ(地区診断)選定理由をもとに研修目的・達成目標,A市保健師と筆者の役割分担を決めた.

研修前に研修動機やA市保健師の包括や研修に関する考え等をもとに研修計画を検討する時間をとることで,研修の協働体制を作ることができた.

(2) 研修実施

受講者がコミュニティー・アズ・パートナーモデル(金川,2013)のプロセスを経験し担当地区の重点課題に応じた事業計画を立案できることを目標にした.A市保健師は研修前に,包括ごとのデータの準備,包括にグループワーク(以下,GW)の内容とGW資料の送付,欠席者が生じた場合の職場内での研修内容の共有についての説明,提出されたGW資料の確認を行った.講義は筆者が行った.1回目は,29名の参加があったが,2回目以降各包括1~2名の欠席者が見られた.しかし,課題の提出の脱落はなく全ての包括が事業計画立案に至った.

(3) 研修評価

受講者の地区診断の実施状態を把握し,地区診断導入・継続の状況を検討した.研修終了後に受講者に無記名自記式質問紙調査を実施した.29名に配付し24名から回収した.そのうち,データ欠損がある者とケアプラン作成のみに従事する職員を除外した21名(有効回答72.4%)を本報告の評価対象にした.

受講者の平均年齢は48.3歳,職種は看護師4名,保健師3名,社会福祉士8名,主任介護支援専門員6名であり,平均包括経験年数は6.7年であった(表2).

表2. 

1年目(2019年度)および2年目(2020年度)の研修受講者の属性

項目 1年目研修(n=21) 2年目研修(n=16)
n (%) n (%)
職種 看護師 4 19.0 3 18.8
保健師 3 14.3 3 18.8
社会福祉士 8 38.1 4 25.0
主任介護支援専門員 6 28.6 6 37.5
年代 20歳代 2 9.5 0 0.0
30歳代 1 4.8 1 6.3
40歳代 9 42.9 5 31.3
50歳代 3 14.3 6 37.5
60歳代 3 14.3 2 12.5
70歳代 1 4.8 1 6.3
記載なし 2 9.5 1 6.3
地域包括経験年数 3年未満 6 28.6 3 18.8
3~5年未満 2 9.5 1 6.2
5~10年未満 6 28.6 8 50.0
10年以上 7 33.3 4 25.0
平均年齢 全体 48.3 52.1
看護師 48.5 51.7
保健師 59.0 61.0
社会福祉士 42.9 43.3
主任介護支援専門員 49.0 52.3
平均経験年数 全体 6.7 7.6
看護師 9.3 8.3
保健師 10.7 11.7
社会福祉士 4.4 6.0
主任介護支援専門員 6.0 6.2

地区診断各プロセスの実施状態は,情報収集・アセスメント・地区特性の項目について,概ね6~7割が「ややできた・できた」と回答した.最も高かった項目は「地区の情報を総合的に関連付けて,対象者及び対象者が属する集団の特性等についてアセスメントできる」が81.0%であった.最も低かった項目は「地区課題の優先順位について,緊急性,波及効果と影響,重要性,公平性・格差是正,解決可能性,実施可能性等から多角的に検討できる」が33.3%,「設定した目標を達成するための事業計画を立案できる」が47.6%であった.(表3).

表3. 

1年目(2019年度)および2年目(2020年度)の研修後の地区診断の実施状態

1年目 できなかった ややできなかった ややできた できた
n=21) n (%) n (%) n (%) n (%)
情報収集 担当地区の人口集団の特性と地区の産業や歴史・文化並びに地区組織等の地区の概要について,情報収集できる 0 0.0 5 23.8 11 52.4 5 23.8
地区をアセスメントするために必要な情報を保健統計,活動報告等の既存資料や,地区踏査等における地域の人々との面接から得ることができる 4 19.0 3 14.3 10 47.6 4 19.0
地区の人々の生活習慣,生活様式,生活や健康に関わる考え方や価値観,信念等,社会文化的な情報を収集できる 2 9.5 6 28.6 7 33.3 6 28.6
社会資源に関する情報を既存資料や関係者への聞き取り,地区活動等により収集できる 3 14.3 6 28.6 8 38.1 4 19.0
アセスメント 国,都道府県,市町村等の既存データを分析することによって,地域の健康課題をアセスメントできる 4 19.0 4 19.0 11 52.4 2 9.5
人口集団の特徴や,歴史や文化・産業,地域の人々の組織等の地域特性に関連するアセスメントできる 1 4.8 5 23.8 12 57.1 3 14.3
担当地域の産業・経済,教育,交通・安全,通信,政治等8つのサブシステム項目について保健医療福祉との関連で資源となる情報とその理由を説明できる 2 9.5 7 33.3 8 38.1 4 19.0
社会資源の情報を地区課題解決のためにアセスメントできる 2 9.5 6 28.6 9 42.9 4 19.0
地区の情報を総合的に関連付けて,対象者及び対象者が属する集団の特性等についてアセスメントできる 1 4.8 3 14.3 14 66.7 3 14.3
地区特性 地区踏査の実施,既存資料からの把握,関係者や住民から情報収集し,それらの情報を関連させて地区特性を抽出できる 1 4.8 8 38.1 11 52.4 1 4.8
地区踏査,既存資料,関係者や住民から得た情報を分析し,地域の強みと弱みを特定できる 1 4.8 5 23.8 14 66.7 1 4.8
地区課題 収集した情報を整理し関連を分析し,顕在化している地区課題を明らかにできる 1 4.8 8 38.1 10 47.6 2 9.5
地区課題の優先順位について,緊急性,波及効果と影響,重要性,公平性・格差是正,解決可能性,実施可能性等から多角的に検討できる 3 14.3 11 52.4 7 33.3 0 0.0
事業計画 集団・地区の健康増進能力を高めるための目的・目標(長期・短期)を設定できる 1 4.8 7 33.3 13 61.9 0 0.0
設定した目標を達成するための事業計画を立案できる 1 4.8 10 47.6 10 47.6 0 0.0
2年目 できなかった ややできなかった ややできた できた
n=16) n (%) n (%) n (%) n (%)
地区課題 収集した情報を整理し関連を分析し,顕在化している地区課題を明らかにできる 0 0.0 8 50.0 7 43.8 1 6.3
地区課題の優先順位について,緊急性,波及効果と影響,重要性,公平性・格差是正,解決可能性,実施可能性等から多角的に検討できる 0 0.0 9 56.3 6 37.5 1 6.3
事業計画 集団・地区の健康増進能力を高めるための目的・目標(長期・短期)を設定できる 2 12.5 6 37.5 7 44.4 1 6.3
設定した目標を達成するための事業計画を立案できる 2 12.5 5 31.3 8 50.0 1 6.3

研修の学び・地区診断実施の困難さの自由記載の分類を「」で示す.「地区診断の考え方を学んだ」「現場の経験や感覚を言語化する大切さを学んだ」「担当地区をアセスメントする視点を学んだ」「活動の意味や目標を包括内で共有し共通認識する機会になった」「地区特性に応じた支援活動のヒントになる」と地区を理解する考え方や視点を学んでいた.一方で「アセスメントが不十分である」「地区診断を行う時間が取れない」「地域支援活動への展開方法に不安がある」「地区診断を行う体制を整えることが必要である」と課題が示された(表4).

表4. 

1年目(2019年度)研修後の受講者の研修での学びや気づき・地区診断実施の困難さ

分類 記述内容の要約
地区診断の考え方を学んだ 地域診断の考え方を学んだ
全体が個々に影響を与えることを学んだ
地域を俯瞰する視点も大切であることに気づけた
ミクロばかりに目が行くと全体が捉えにくくなることに気づいた
現場の経験や感覚を言語化する大切さを学んだ 研修前までは現場での経験や感覚で地区をアセスメントしていた
データにしていくことの大切さを学んだ
肌で感じていたことをアセスメントし,数値化・言語化することの大切さを学んだ
課題を明確にするためには,統計等から数値で示すことが必要であることを学んだ
学びは数値として地域の課題を考えることができたことであった
学びは日々感じていることを形にしてくことであった
肌感覚ではなく資料を分析する過程を通じて理解し日々の支援やケア会議等を実施していきたい
担当地区をアセスメントする視点を学んだ 様々な項目からアセスメントすることの必要性を学んだ
アセスメントに必要な情報収集項目を知ることができた
地区を知るには普段から意識することが必要であると思った
学びは他地区と比較することで担当地域の特性が見えてきたことであった
活動の意味や目標を包括内で共有し共通認識する機会になった 事業実施の意味や目標を包括内で共有する機会になった
包括職員間で共有することで共通した認識を持つことに役立った
地区特性に応じた支援活動のヒントになる 地区特性や課題を考えることができたことで支援時に役立つと思った
根拠をもって地区支援活動ができる
相談内容や予防教室の参加者等課題が見えてきたことから今後の取り組みの参考になった
地域課題を抽出するときに,地区特徴と合わせることで原因や解決のヒントが見えてくることに気づいた
地区を知ることにより地区にあった支援が考えることができる
アセスメントが不十分である 中途半端なアセスメントでは地区課題の抽出がうまくいかないと思った
今のアセスメント力では事業計画は不十分と感じた
地区診断を行う時間が取れない 地区診断に費やす時間をとることが難しい
他業務とのバランスにおいて時間の余裕がない
地域支援活動への展開方法に不安がある 地区課題を仕組みづくりにつなけることが難しいと感じる
住民が主体的に動き始めるよう背中を押すことが難しい
住民の課題認識が低いためはじめの一歩が困難に思う
地域の人や行政を動かすことが難しいと感じる
地区診断結果が住民の困り事と一致しているのかが気になる
課題を地区住民や事業所と共有することに困難さを感じる
地区診断を行う体制を整えることが必要である 様式があって活用できると比較的取り組みやすい
業務の中に地区診断を位置付けたい
単位等市からの情報のばらつきがあって使いにくかった
情報更新のタイミング等どうしたらよいかわからない
知りたい情報を得るための方法を考えることが必要である

以上から地区診断導入・継続に向けた受講者の状態は,地区を理解する考え方や視点は養われたが,地区課題の多角的な検討や事業計画立案には至っておらず,地区診断を導入し,更に継続することは困難であると判断した.そこで研修の継続の必要性についてA市保健師と筆者で検討し,後日,A市保健師が上長と相談した結果,次年度も同じテーマでの研修の開催を決めた.

2) 2年目(2020年度)

(1) 研修準備

受講者の地区診断の実施状態に応じた研修方法をA市保健師と筆者の協働で計画することを目標とした.1年目(2019年度)の質問紙調査結果を参考に研修の目標や方法を検討し,研修内容は筆者が方法と内容を提案し,A市保健師が実現性の判断を行った.また,研修後の地区診断の位置づけについてA市保健師所属部署にて検討がなされ,次期介護保険計画(次年度に計画策定)から各包括の地区診断に基づく事業計画を記載することが決定した.本研修の場で受講者に周知することになった.

(2) 研修実施

受講者及びA市保健師がディスカッションして,地区課題の抽出と事業計画立案の妥当性を高めることを目標にした.受講者とA市保健師が地区課題の抽出や事業計画立案について共有するため,A市保健師が進行した.1年目終わりに包括から提出された地区診断成果物を見ながらA市保健師が受講者に地区支援活動に関する問いかけ(共感できるところと違和感,地区の課題対応としてどのような計画を立てるのか等)をディスカッション形式で行った.A市保健師が事前に受講者と日程調整を行ったことから,2回とも全員が参加した.受講者はA市保健師の問いかけに対して日々の活動を振り返り地区診断とつなげて言語化する機会となった.全ての包括が修正した地区診断を提出できた.

(3) 研修評価

受講者の地区診断の実施状態と地区診断導入・継続の課題を把握することを目標にした.全ての包括での研修終了後に無記名自記式質問紙調査を実施した.受講者27名のうち,1年目(2019年度)及び2年目(2020年度)併せて受講した16名(有効回答88.9%)を本報告の評価対象とした.

平均年齢は52.1歳,職種は看護師3名,保健師3名,社会福祉士4名,主任介護支援専門員6名であり,平均包括経験年数は7.6年であった(表2).

地区診断の実施状態は,1年目(2019年度)の研修後の回答割合が低かった項目「地区課題の優先順位について,緊急性,波及効果と影響,重要性,公平性・格差是正,解決可能性,実施可能性等から多角的に検討できる」が43.8%,「設定した目標を達成するための事業計画を立案できる」が56.3%に回答割合は増えていた(表3).

研修の学び・地区診断実施の困難さの自由記載内容は「2年間の研修によって地区診断の実施がより明確になった」「地区診断実施のプロセスの理解ができた」「包括内で地区課題の共有認識が図れた」「包括がすべき活動の意欲につながった」「今後の活動を具体的にイメージできるようになった」と地区診断実施の深まりや意欲につながっていた.一方で「地域支援活動への展開方法に不安がある」「業務に追われて時間が取れない」「地区診断を行う体制を整えることが必要である」と課題は継続された(表5).

表5. 

2年目(2020年度)研修後の受講者の研修での学びや気づき・地区診断実施の困難さ

分類 記述内容の要約
2年間の研修によって地区診断の実施がより明確になった 昨年は大変だけれど2年目は関心を持って取り組むことが出来た
昨年度に比べると今年はアセスメントはしっかりできた
地区全体を見渡そうという意識が増えた
地区特性を見るよう(考えるように)意識するようになった
土地の形状,戸建て住宅の地域のつながりの脆弱さ等地区診断を通して,改めて地区課題を考える機会となった
自分が得た情報を整理しまとめることで,地区課題がより明確になった
地区診断を通じて地域の実情が今までよりも深く知る事が出来た
個別支援の中で地域の事も考えるようになった
地区の見方がかわった
視点と行動を具体的につなげることができるようになった
地区診断実施のプロセスの理解ができた 担当地区の強みと弱みを知り,課題を見つけ,目標を立てて行動していくことの大切さがわかった
PDCAのサイクルで仕事を考えることだと理解できた
地区診断は,地区の特性を文章化や数値で表現出来るツールであることを理解できた
計画作成の根拠となる地域の課題を地区診断から導き出せるようになった
経験に基づいて地区特性を予測し実践していたが,データを用いてアセスメントすると根拠となることがわかった
個別ケースのみならず,これまでの活動すべてが地区診断につながることが理解できた
感覚でやってきたことを言語化したり具体化することで明確になり,整理できることを理解できた
包括内で地区課題の共有認識が図れた 活動の目標を明確にすることでデータ不足や取り組みの方向性を包括職員間で共有し合意が図れた
学区ごとの特徴を把握し課題を共有して活動することの重要性を理解した
昨年からの引き続きの研修で今年度は包括単位であったことから地区課題が深められ,共有できた
法人の活動報告でも地区診断のことを報告し,法人の理念とも共有することができた
包括がすべき活動の意欲につながった 自分達でアセスメントしたことが次年度につながる,つなげることが出来たことに達成感を得ることが出来た
これまで業務に流されて後回しになっていたことが研修という形で実現につながった
地区を知り,課題を明らかにすることで包括がやるべきことへつながる
情報収集しアセスメントすることで地域課題が明らかになって包括に出来ることがあるとわかった
当たり前のことだが研修での作業を通して包括がすべきことを再認識した
研修を通した経験により今後の地区診断の作成に意欲が出る
介護保険計画に反映されることとなりこれまでの活動が連動したものになるとやりがいが感じられる
まだまだ完璧ではないが地域の特徴を知る機会となり,本当に勉強になった
包括職員としての経験も浅いため確実にスキルアップにもつながる
今後の活動を具体的にイメージできるようになった 何年間も継続して地区診断を行うことが地区の財産になると思った
地区を歩いて感じたことや地域ケア会議で課題を把握していくことも大切だと思った
小地域ケア会議ともリンクして今後少しづつ関係を深めていけると思えた
地域に出て地域の人(資源)と連携を深めていく必要性を感じた
現場が感じていることを行政や市民に伝えられるものにしたい
今後は学んだことを発展させて地区課題を見つけ,活動目標を導き出したい
コロナの影響で昨年まで出来ていた地域住民との積極的な交流ができていないため今後どの様に工夫していくのか考えていきたい
地域支援活動の展開方法に不安がある 無関心層,若い層へのアプローチが難しい
地区組織が出来上がっている所に入って活動することは難しい
地域の人々の実際の声を聞いていないので地区診断結果が住民の困り事と一致しているのかが気になる
住民主体で取組むのは難しいと思う
地区の集団等に参加する際に不安になる,地域の方々に失礼がないように等も考えてしまう
業務に追われて時間が取れない 介護予防ケアプラン作成に追われている仕事量で時間が取れない
相談業務に追われる中ですることは大変だった
役立つことはわかるが通常業務とのバランスで手がまわらない
包括内で共有する時間が十分にとれず個人作業にたよることが多かった
今後事業計画まで立てられるか等不安要素が多く活動を困難にするのではないかと思う
地区診断を行う体制を整えることが必要である 必要なデータをもっと集めなければ説得力に欠けると思った
地区特性を把握するためデータを集める必要がある
普段の業務の中での地域診断分析データの残し方

以上から地区診断の実施状態は改善され,地区診断の実施が活動の共有やヒントにつながっていた.これにより地区診断を導入出来る状態は確認されたが,継続するための課題が残されていた.

(4) 地区診断が継続される仕組みづくり

地区診断を根拠に事業計画が提出されるための仕組みをつくることを目標にした.地区診断が継続される課題についてA市保健師と筆者で検討した.A市保健師はフォローアップ研修を希望したが,これから必要なことは仕組みづくりではないかと筆者は提案した.そこでA市保健師は,地区診断作成フォーマットを作成し,介護保険計画策定年を目標に,毎年,包括から提出された事業計画が地区診断に基づいているかの点検及び包括支援を行うことに決めた.そして次年度から業務として地区診断を実施する体制について包括に説明するに至った.

2. 地区診断導入・継続に向けた判断や行動に至ったA市保健師の研修中の気づき

A市保健師2名のうち1名は係長,もう1名は係員であった.保健師経験年数は20年目が1名,14年目が1名,包括担当部署での経験は10年が1名,3年目が1名であった.2名とも包括実務経験はなかった.

A市保健師の気づきは,6カテゴリ,18サブカテゴリ,145コード抽出された.以下,カテゴリを【 】に示し説明する.A市保健師は【包括の地区支援活動の現実】に気づくと研修前の包括の地区活動の実際を知ることになり,今まで地区特性に応じた事業計画に至らなかった要因を把握した.そして【研修によって包括に地区や地区支援活動の視点ができたこと】【研修後包括は担当地区について言語化ができるようになったこと】を把握した.また【包括に配置されている保健師の役割の再確認】【包括担当部署保健師の役割】に気づき,A市保健師は包括に保健師が必要である意味を理解した.そして【地区診断の導入に向けた包括支援の必要性】に至った(表6).

表6. 

地区診断導入に向けた判断や行動に至ったA市保健師の研修中の気づき

カテゴリ サブカテゴリ
包括の地区支援活動の現実 住民に呼ばれてから参加する目的意識の不明確さに気付く
市に言われたからしている主体性の低い包括の地区支援活動を客観視できた
介護予防ケアマネジメント事業に重点をおく活動であったことを確認できた
既に実施している活動を地区支援活動だと認識していないことを理解した
個別課題が地区全体の共通課題になるかを考える視点がないことに気付く
感覚だけではいけないと言われればデータだけでアセスメントしてしまうことに気づく
研修によって包括に地区や地区支援活動の視点ができたこと 研修を通じて包括職員に地区の視点ができた
包括職員に地区支援活動の意識が芽生えた
研修後包括は担当地区について言語化ができるようになったこと 研修後,自信をもって担当部署保健師に担当地区の説明ができるようになった
包括職員たちの考えで次年度の事業計画を立てようとしている姿を発見した
包括に配置されている保健師の役割の再確認 地区診断は地区活動の根拠であることを改めて理解できた
地区全体を見ることが包括に配置されている保健師の役割であることを再確認した
包括担当部署保健師の役割 地区診断に対する自己効力感がもてた
委託業務管理を保健師が担う理由がわかった
地区診断の業務化は担当部署である自分たちの役割だと自覚する
地区診断の導入に向けた包括支援の必要性 地区診断を包括が継続して実施できる仕組みをつくることが必要であった
地区の状況を反映した事業計画が書けるよう包括支援を行っていく
既に実施している地区活動1つ1つに目的をもつことから変化を求めていく

V. 考察

1. 受講者の成果

受講者は地区診断の考え方や地区をアセスメントする視点の学びから,地区特性や地区課題への理解を深め,地区課題を具体的に地域支援活動につなげる等の包括がすべき活動への意欲に発展していた.地区診断研修の成果は,方法の理解によるモチベーションや自己効力感の高まり(近藤ら,2019村山ら,2013岡田ら,2015),職員間の地域特性の共有化(近藤ら,2019村山ら,2013)等であり,本報告でも同様の成果があった.特に本報告では地区診断研修を2年間実施したことで2年目(2020年度)に成果が得られた.さらに,研修中に3職種で行ったGWやディスカッションの経験は,共通の教育基盤を持たない(高木ら,2017)包括職員にとって,今後の地区活動やチームアプローチの基盤になると考える.

2. 地区診断導入に向けた判断や行動に至ったA市保健師の研修中の気づき

A市保健師は,研修活動から【包括の地区支援活動の現実】に気づくことで,受講者がなぜ地区特性に応じた事業計画の立案に至らないのか,その要因を把握した.行政保健師が担当部署へ移動した場合,行政保健師の経験があっても包括の業務遂行に困難を感じる保健師は少なくない(栗田ら,2021宮本ら,2018)ように,A市保健師も委託型包括の支援に困難感を抱いていた.この背景には,地域支援事業の創設(介護保険法115条2006年)以降,高齢者保健業務の多くが包括に移行され,行政保健師の直接的な高齢者支援実施の機会が極めて減少したこと,加えて,包括に配属されない限り包括の業務を経験することがない環境になったことが考えられる.そして就職後の地区診断の実施には,研修の受講(高橋ら,2007),現部署での実施や現部署外からの助言・指導(小川ら,2018)が関連しており,A市保健師は,研修を通じて地区診断を再学習したと考えられた.また【包括に配置されている保健師の役割の再確認】【包括担当部署保健師の役割】に気づいたように包括における保健師の役割を自覚していた.これら包括の現状理解の深まりと包括における保健師の役割への自覚が,A市保健師の地区診断の導入・継続に向けた原動力になったと考える.

3. 委託型包括に地区診断の導入・継続につながったA市保健師の判断・行動

本研修を通じて,地区診断導入・継続につながるA市保健師の判断や行動があった.まずは,1年目(2019年度)の研修終了直後の判断と行動である.研修課題は提出されたものの,現時点での地区診断導入・継続は困難であると判断し,次年度も同じテーマで研修を継続するためにA市保健師の上長に働きかけた.テーマが継続されたことで 1年目(2019年度)に到達できなかった受講者の課題に焦点化した内容を次年度に実施することができた.受講者の成果は2年目(2020年度)の研修終了後にあらわれていたことから,2年目(2020年度)の研修を実施した意義は大きいと考える.

次に,2年目(2020年度)の研修を実施する際に地区診断結果を介護保険計画に記載する判断をし,受講者に伝えたことである.受講者は2年目(2020年度)研修終了後の無記名自記式調査(表5)にあるように「介護保険計画に反映されることとなりこれまでの活動が連動したものになるとやりがいが感じられる」等,地区診断研修の継続と実施への意欲につながっていた.

次に,地区診断が継続されるための体制づくりの行動である.2年目(2020年度)研修終了後に受講者の成果を確認できたが,地区診断実施の困難さは変わらず存在し,これらは研修では解消されない内容であることに気づいた.そこで,他市の取組み(藤本ら,2018那須野ら,2016)や本研修内容を参考に,A市で可能な地区診断の方法(提出と点検のサイクル)を検討した.A市保健師の語り(表6)に示されたように,包括の現状と研修による成果を把握し,地区診断導入・継続に必要な支援を見出せたことが体制づくりの行動につながったと考える.これらは2年目(2020年度)の研修を包括毎に実施したことで包括の地域支援の実態をより身近にA市保健師が理解するに至ったと考える.

VI. 委託型包括に地区診断の導入・継続を可能にする要因の示唆

本活動から地区診断導入・継続を可能にするには,委託型包括と包括担当部署保健師の両方の要因が必要であることがわかった.委託型包括側の要因には,地区全体を見る視野の形成と地域支援の意義を理解し,地区診断の実施がそれらのヒントになることを地区診断方法の習得から実感できること,包括担当部署保健師側の要因には,委託型包括では入手しづらいデータの情報準備,委託型包括の地域支援の現状の把握とその背景の理解,継続的に実施可能な地区診断の体制づくりが必要であることが示唆された.

謝辞

本報告にご協力いただいた,A市保健師様,地域包括支援センター職員の方々に心より感謝申し上げます.

本調査において開示すべきCOIはない.

文献
 
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