日本公衆衛生看護学会誌
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研究
公衆衛生看護のための“地域への愛着”の概念分析
大森 純子三森 寧子小林 真朝小野 若菜子安齋 ひとみ高橋 和子宮崎 紀枝酒井 太一齋藤 美華
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2014 年 3 巻 1 号 p. 40-48

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抄録
目的:公衆衛生看護の実践に“地域への愛着” の概念を取り入れる根拠と,活動に有用な示唆を得るため,個人の内面や人と人との関係性と,地域との関係に着目して概念を分析した.
方法:居住地の社会的な活動に携っている研究参加者9人にインタビューを行った.概念の特性,その形成に影響する要因,形成により期待される成果の3つの枠組みを用いて,データの意味内容に基づきカテゴリを抽出した.カテゴリ間の関係に着目し,個人レベル,個人間レベル,地域(近隣~自治体)レベルの3つの次元を組み込んだ概念の全体構造を検討した.
結果・考察:各次元のカテゴリは,相互に作用し合い,常に個人の内外に変化をもたらす関係にあった.“地域への愛着” の形成が進むと,地域を志向した行動が促進され,形成により期待される成果が拡大・充実するプロセス構造をもつ概念であった.“地域への愛着” とは「日常生活圏における他者との共有経験によって形成され,社会的状況との相互作用を通じて変化する,地域に対する支持的意識であり,地域の未来を志向する心構えである」と定義づけることができた.
結論:住民のQOLの向上と地域の力量形成を同時にめざす公衆衛生看護の実践における,本概念の有用性に関する示唆を得た.
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© 2014 日本公衆衛生看護学会
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