2016 年 5 巻 3 号 p. 239-249
目的:本研究は,行政機関で働く保健師の2005年と2010年との実践能力の獲得実態を,所属機関別,経験年数別に明らかにすることを目的とした.
方法:各年で無作為抽出した全国の保健師を対象として,郵送による無記名自記式の質問紙調査を行った.質問紙では,公衆衛生基本活動遂行尺度(BAPH),事業・社会資源の創出に関する保健師のコンピテンシー評価尺度(CMC),保健師の専門性発展力尺度(PDS)を用い,SPSS 18.0で調査年間の差を分析した.
結果:有効回答数は,2005年1,112名,2010年1,035名であった.各尺度と因子の得点は,すべて2010年が有意に高かった.経験年数と所属機関別にみた結果,BAPHでは5年以下と6–15年の都道府県,PDSでは5年以下の都道府県を除き,2010年が有意に高かった.CMCでは,5年以下と6–15年の市町村,16–25年の政令市等にのみ有意な上昇が認められた.
考察:今後は,経験,所属による差を是正する教育が必要である.
行政機関で働く保健師が関与する健康課題は,社会情勢や法制度の変化に伴い,大きく変遷してきた.特に2000年代の中盤以降は,従来から課題であった高齢化や少子化に加え,メタボリックシンドロームの予防や介護予防などの,住民の生活様式との関連の深い健康課題への対応の必要性が増した.また,大規模災害の発生,SARSや新型インフルエンザなどの新たな健康危機への対応が必要になった.さらに,市町村合併や保健所の統廃合および保健師の分散配置といった,保健師の所属組織体制にも大きな変化があった.
社会の健康課題や組織体制の変化に伴い,保健師に必要とされる能力の明確化やその能力の獲得に向けた教育・研修のあり方の検討が進んだ.地域保健従事者の資質の向上に関する検討会報告書(厚生労働省,2003)を発端とし,数年の間に,新任期の地域保健従事者の人材育成,さらにはその指導者の育成に関する国レベルでの検討が複数なされた.その後も,変革期における保健師の新たな専門技能とその獲得方策に関する提言(岡本ら,2007)や,新任期,中堅期,管理期といった保健師の階層別現任教育のあり方が示された(佐伯,2008).このような動きを受け,各都道府県では,新任期の保健師育成マニュアルの作成や経験年数階層別の教育体制の整備が進み,2009年に新任保健師の臨床研修が法律上の努力義務とされたことがこれを後押しした.
保健師の基礎教育にも大きな変化があった.2005年から,日本公衆衛生学会公衆衛生看護部会において,保健師基礎教育のコアカリキュラムを明確化する取り組みがなされ,これまでの基礎教育のあり方に疑問符が記された.2010年に日本看護協会が実施した保健師の活動基盤に関する基礎調査結果によると,保健師の基礎教育機関の中心は,2000年以降専門学校から大学へと大きくシフトした.基礎教育が変化する中,卒業時のみでなくあらゆる年代の保健師に共通して必要な技術項目と,その卒業時の到達度が明示された(麻原ら,2010;厚生労働省,2008;厚生労働省,2010).
保健師が関与する健康課題や組織体制,現任・基礎教育が大きく変化した一方で,保健師の実践能力の実態は,十分に明確化されていない.佐伯(2002)は,保健師のキャリア発達におけるコンピテンシー教育の必要性を提唱し,保健師の経験年数群別および所属機関別のコンピテンシー獲得の実態を,1996年と2001年との比較で明らかにしている(Saeki et al., 2004).しかし,保健師の研修体制の整備が進んだ2002年以降の保健師の実践能力獲得の実態を示す研究は限られており,この時期にこそ保健師の実践能力の変化を明確にする意義がある.
そこで,本研究では,行政機関で働く保健師の2005年と2010年との断面的比較からみた実践能力の獲得実態の変化を,所属機関別,経験年数群別に明らかにすることを目的とする.なお,本研究における実践能力とは,保健師活動を遂行する力に加え,その根底となるコンピテンシーも含む能力全般をさす.
調査は,2005年と2010年に実施した(以下,2005年調査,2010年調査とする).2005年調査の対象は,全国保健所・保健センター等一覧(2005年,社団法人日本家族計画協会)をもとに無作為抽出した,全保健所の4分の1にあたる135施設および全市町村保健センターの20分の1にあたる115施設に常勤する保健師全員とした.
また,2010年調査の対象は,全国保健師長会名簿と全国市町村便覧(2009)をもとに無作為抽出した,全都道府県型保健所の8分の1にあたる54施設,全政令指定都市等の4分の1にあたる99施設,全市町村保健センターの6分の1にあたる297施設に常勤する保健師全員とした.対象施設数は,2005年の調査票回収率と市町村合併の保健師数への影響を考慮し,所属機関の形態ごとに同数程度の回収数が得られるよう設定した.
2. 調査方法と内容調査方法は,郵送による無記名自記式の質問紙調査であった.調査票は,保健所・市町村保健センターごとに対象となる保健師数を平均就業者数や人口をもとに算出し,保健師代表者宛に郵送した.保健師代表者には,文書で研究への協力と対象者への調査票の配布を依頼した.対象者には,依頼文書,倫理的配慮の説明文書,調査票,返信用封筒をセットにして配布してもらった.調査用紙の回収方法は,2005年は各施設の保健師代表者が小封筒に封入済みの調査票を取りまとめて返送してもらう形態をとった.2010年は,対象者から研究者に直接返送を受けた.また,本調査に協力する施設の保健師代表者から,調査票の配布数を記入した用紙を返送してもらった.調査期間は,2005年12月~翌年3月と,2010年11月~12月であった.
調査内容は,まず保健師の実践能力を測る尺度として,先行研究で開発され信頼性・妥当性が確認されている3つの尺度である,公衆衛生基本活動遂行尺度(Scale for Basic Action for Public Health,以下BAPHとする)(岩本ら,2008)と,事業・社会資源の創出に関する保健師のコンピテンシー評価尺度(Competency Measurement of Creativity for Public Health Nurses,以下CMCとする)(塩見ら,2009),保健師の専門性発展力尺度(Professional Development Scale for Public Health Nurse,以下PDSとする)(岡本ら,2010)を使用した.BAPHは,3因子(アクセスと公平性,サービスの質と量の評価,健康危機への予防的対応)12項目,CMCは,3因子(創出の必要性の把握,創出の推進と具現化,創出に向けた協同)16項目,PDSは,4因子(職能要因・専門性の伝承と発展,職能要因・活動原則の励行,自己要因・自己責任の能力開発,自己要因・人に学ぶ能力開発)16項目から成り,各項目について「ほとんど10割そうである」を5点「全くそうでない」を0点とした6段階で問う尺度である.これらの尺度は,厚生労働省が2010年に示した保健師に求められる5つの実践能力(I.地域の健康課題の明確化と計画・立案する能力,II.地域の健康増進能力を高める個人・家族・集団・組織への継続的支援と協働・組織活動及び評価する能力,III.地域の健康危機管理能力,IV.地域の健康水準を高める社会資源開発・システム化・施策化する能力,V.専門的自律と継続的な質の向上能力)と対比させると,BAPHはI~III,CMCはIV,PDSはVの実践能力やその基盤にあるコンピテンシーを評価するものであり,この3つの尺度で概ね保健師に必要な実践能力の全容が測定できると考えた.また,基本情報として,対象の年齢,性別,保健師経験年数,所属の設置主体,役職等に関する事項を問うた.
3. 倫理的配慮調査の実施については,研究代表者の調査当時の所属大学である,神戸大学医学部医学倫理委員会(2005年6月承認),岡山大学大学院保健学研究科看護学分野倫理審査委員会(承認番号M10-06)の承認を得た.対象者には,調査票郵送時に倫理的配慮を示す文書を同封し,返送をもって同意されたとする旨を明記した.文書には,調査への協力・拒否の自由,調査協力に要する労力と時間,匿名性の保障,データの管理と活用,などについて記載した.
4. 分析3つの尺度について,2005年と2010年の結果を独立サンプルのt検定で比較分析した.まず,各尺度の合計点と因子ごとの得点の平均値及び標準偏差を算出し,比較した.その後,サンプルを保健師経験年数で,0–5年,6–15年,16–25年,26年以上の4群に分け,各群で2005年と2010年の3つの尺度の得点を比較した.この群分けは,先行研究において実践能力に差があることが実証されている(岩本ら,2008;塩見ら,2009;岡本ら,2010).さらに,サンプルを経験年数4群に乗じて,所属の設置主体別に都道府県,政令市等,市町村の3群にも分け,12群の得点差を比較した.統計処理には,SPSS 18.0 for Windowsを用いた.また,3つの尺度の傾向を比較検討するため,各尺度の合計点を100点に換算し,2005年と2010年の得点の差から,各尺度の変化の傾向を読み取った.
基本情報については,χ2検定を行い,両年間の差をみた.
2005年調査の協力施設数は184(73.6%)で,内訳は保健所112(83.0%),保健センター72(62.6%)であった.協力施設における回答者数は,1,261人(対象数1,799人,回答率70.1%)であり,その内尺度項目に未回答項目がある者や項目全てに同一回答をしている者を削除した有効回答数(率)は,1,112人(88.2%)であった.
2010年の調査の協力施設数は204(45.3%)であり,協力者から個別返送を受けたため,施設の内訳は不明であった.協力施設における回答者数は,1,088人(対象数1,615人,回答率67.4%)であり,その内有効回答数(率)は,1,035人(95.1%)であった.
2. 回答者の基本情報回答者の性別は,2005年調査では,女性1,102人(99.1%),男性10人(0.9%),2010年調査では,女性1,025人(99.0%),男性10人(1.0%)で,両年とも大部分は女性であった.年齢の平均は2005年調査では39.0±9.6歳,2010年調査では41.7歳±9.9歳であり,t検定の結果,p<0.001で2010年が有意に高かった.
回答者の他の基本情報の内訳と,2005年調査と2010年調査結果をχ2検定で比較した結果を,表1に示す.保健師としての経験年数は,2005年調査では保健師経験年数が6–15年の者が,最も多い355名(31.9%)であるのに対し,2010年では16–25年の者が300名(29.0%)と最も多く,調査年で有意な差があった.最終学歴は,短期大学専攻科と大学院の割合が2010年の方が少ないのに対し,大学は2005年の21.6%から24.9%に増えており,有意な差があった.現在の役職は,2005年ではスタッフが502人(45.1%)と半数近く,係長級以上が224人(20.1%)と少ない割合であったのに対し,2010年はスタッフ,主任・主査,係長級以上がいずれも300人台とほぼ同程度の割合であり,調査年で有意な差があった.所属機関は,2005年では都道府県が445人(40.0%)と最も多いのに対し,2010では市町村が567人(54.8%)と半数以上であり,調査年で有意に差があった.所属の業務体制は,地区担当制(業務担当との併用制を含む)が2005年では60.7%,2010年では74.1%と,後者における割合が有意に増加していた.保健部門以外や保健師以外の経験がある者の割合も,2005年に比べ2010年が有意に高くなっていた.
2005 | 2010 | χ2 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
人 | % | 人 | % | |||
全体 | 1,112 | 100.0 | 1,035 | 100.0 | ||
経験年数 | 5年以下 | 225 | 20.2 | 163 | 15.7 | *** |
6–15年 | 355 | 31.9 | 288 | 27.8 | ||
16–25年 | 343 | 30.8 | 300 | 29.0 | ||
26年以上 | 189 | 17.0 | 284 | 27.4 | ||
最終学歴 | 専門学校 | 673 | 60.5 | 637 | 61.5 | *** |
短期大学専攻科 | 178 | 16.0 | 139 | 13.4 | ||
大学 | 240 | 21.6 | 258 | 24.9 | ||
大学院 | 21 | 1.9 | 1 | 0.1 | ||
役職 | スタッフ | 502 | 45.1 | 365 | 35.3 | *** |
主任・主査 | 386 | 34.7 | 349 | 33.7 | ||
係長級以上 | 224 | 20.1 | 321 | 31.0 | ||
設置主体 | 都道府県 | 445 | 40.0 | 168 | 16.2 | *** |
政令市等 | 315 | 28.3 | 300 | 29.0 | ||
市町村 | 352 | 31.7 | 567 | 54.8 | ||
所属の業務体制 | 地区担当・併用他 | 675 | 60.7 | 767 | 74.1 | *** |
業務担当制 | 437 | 39.3 | 268 | 25.9 | ||
保健所・保健センター以外の勤務経験(2010はn=990) | なし | 684 | 61.5 | 480 | 48.5 | *** |
あり | 428 | 38.5 | 510 | 51.5 | ||
現在の職種以外の経験 | なし | 749 | 67.4 | 643 | 62.1 | * |
あり | 363 | 32.6 | 392 | 37.9 |
*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001
各調査年における3つの尺度得点の結果を,有効回答者全体,経験年数群別,所属機関別で,尺度ごとに表2~4に示す.以下,各尺度得点の5年後比較の結果を,回答者全体,経験年数群別,所属機関別,経験年数と所属機関別の順に示す.
経験年数 | 所属機関 | 調査年 | N | BAPH合計(0–60) | アクセスと公平性(0–25) | サービスの質と量の評価(0–20) | 健康危機への予防的対応(0–15) | ||||||||||||||||||||
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Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | ||||||||
全体 | 合計 | 2005 | 1,112 | 43 | 9 | 26.0 | 11.0 | 0.000 | *** | 46 | 11 | 11.5 | 5.1 | 0.000 | *** | 38 | 9 | 7.6 | 4.2 | 0.000 | *** | 46 | 7 | 6.8 | 3.3 | 0.000 | *** |
2010 | 1,035 | 53 | 31.5 | 11.0 | 57 | 14.2 | 5.0 | 47 | 9.4 | 4.2 | 53 | 7.9 | 3.2 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 445 | 45 | 8 | 27.1 | 11.6 | 0.000 | *** | 45 | 10 | 11.3 | 5.6 | 0.000 | *** | 41 | 7 | 8.3 | 4.3 | 0.001 | ** | 50 | 8 | 7.5 | 3.2 | 0.000 | *** | |
2010 | 168 | 53 | 32.1 | 10.9 | 55 | 13.8 | 5.3 | 48 | 9.6 | 4.2 | 58 | 8.7 | 3.1 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 315 | 45 | 11 | 26.9 | 10.1 | 0.000 | *** | 48 | 11 | 12.1 | 4.5 | 0.000 | *** | 39 | 11 | 7.7 | 4.1 | 0.000 | *** | 47 | 8 | 7.1 | 3.1 | 0.000 | *** | |
2010 | 300 | 56 | 33.3 | 10.8 | 60 | 14.9 | 5.1 | 50 | 10.0 | 4.1 | 56 | 8.4 | 3.2 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 352 | 40 | 11 | 23.8 | 10.8 | 0.000 | *** | 45 | 11 | 11.3 | 4.9 | 0.000 | *** | 34 | 12 | 6.7 | 4.1 | 0.000 | *** | 39 | 11 | 5.8 | 3.4 | 0.000 | *** | |
2010 | 567 | 51 | 30.4 | 11.0 | 56 | 14.0 | 4.9 | 45 | 9.0 | 4.2 | 49 | 7.4 | 3.1 | ||||||||||||||
5年以下 | 合計 | 2005 | 225 | 38 | 9 | 22.8 | 10.9 | 0.000 | *** | 41 | 11 | 10.3 | 5.0 | 0.000 | *** | 33 | 9 | 6.5 | 4.2 | 0.000 | *** | 40 | 4 | 6.0 | 3.1 | 0.050 | n.s |
2010 | 163 | 47 | 28.0 | 10.8 | 52 | 13.0 | 5.0 | 42 | 8.4 | 4.2 | 44 | 6.6 | 3.1 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 77 | 39 | 1 | 23.3 | 10.0 | 0.853 | n.s | 39 | 4 | 9.9 | 5.0 | 0.472 | n.s | 35 | –4 | 7.0 | 3.9 | 0.498 | n.s | 43 | 2 | 6.5 | 2.7 | 0.724 | n.s | |
2010 | 15 | 40 | 23.9 | 10.2 | 43 | 10.9 | 4.7 | 31 | 6.3 | 4.0 | 45 | 6.7 | 3.2 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 80 | 42 | 10 | 25.3 | 9.3 | 0.004 | ** | 45 | 11 | 11.3 | 4.0 | 0.001 | ** | 36 | 12 | 7.2 | 4.0 | 0.003 | ** | 45 | 4 | 6.8 | 2.8 | 0.324 | n.s | |
2010 | 44 | 52 | 31.0 | 11.8 | 56 | 14.0 | 5.0 | 48 | 9.6 | 4.7 | 49 | 7.4 | 3.4 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 68 | 32 | 13 | 19.4 | 10.2 | 0.000 | *** | 39 | 12 | 9.8 | 4.6 | 0.000 | *** | 25 | 15 | 5.1 | 4.0 | 0.000 | *** | 30 | 12 | 4.5 | 3.0 | 0.000 | *** | |
2010 | 104 | 45 | 27.3 | 10.3 | 51 | 12.8 | 4.9 | 41 | 8.2 | 3.8 | 42 | 6.3 | 2.9 | ||||||||||||||
6–15年 | 合計 | 2005 | 355 | 42 | 9 | 25.4 | 10.7 | 0.000 | *** | 46 | 11 | 11.6 | 4.8 | 0.000 | *** | 36 | 10 | 7.3 | 4.2 | 0.000 | *** | 43 | 7 | 6.5 | 3.3 | 0.000 | *** |
2010 | 288 | 52 | 31.0 | 10.1 | 57 | 14.2 | 4.7 | 46 | 9.3 | 3.9 | 50 | 7.5 | 3.1 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 93 | 45 | 7 | 26.9 | 11.2 | 0.140 | n.s | 45 | 7 | 11.2 | 5.3 | 0.144 | n.s | 41 | 10 | 8.2 | 4.3 | 0.052 | n.s | 50 | 2 | 7.5 | 3.2 | 0.780 | n.s | |
2010 | 21 | 52 | 31.1 | 12.8 | 52 | 13.1 | 5.0 | 51 | 10.3 | 4.7 | 51 | 7.7 | 4.2 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 101 | 44 | 6 | 26.4 | 10.5 | 0.007 | ** | 48 | 7 | 12.0 | 4.4 | 0.009 | ** | 38 | 8 | 7.5 | 4.4 | 0.007 | ** | 45 | 4 | 6.8 | 3.3 | 0.202 | n.s | |
2010 | 107 | 50 | 30.2 | 9.7 | 55 | 13.7 | 4.9 | 45 | 9.1 | 3.7 | 49 | 7.4 | 3.1 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 161 | 40 | 13 | 23.8 | 10.3 | 0.000 | *** | 46 | 13 | 11.4 | 4.8 | 0.000 | *** | 33 | 13 | 6.6 | 3.9 | 0.000 | *** | 38 | 12 | 5.8 | 3.2 | 0.000 | *** | |
2010 | 160 | 53 | 31.6 | 10.1 | 59 | 14.7 | 4.5 | 46 | 9.3 | 3.9 | 51 | 7.6 | 2.9 | ||||||||||||||
16–25年 | 合計 | 2005 | 343 | 45 | 8 | 27.0 | 10.7 | 0.000 | *** | 47 | 11 | 11.8 | 5.3 | 0.000 | *** | 40 | 7 | 8.0 | 4.0 | 0.000 | *** | 47 | 6 | 7.1 | 3.2 | 0.000 | *** |
2010 | 300 | 53 | 32.0 | 11.0 | 58 | 14.6 | 5.1 | 47 | 9.4 | 4.2 | 53 | 8.0 | 3.0 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 166 | 45 | 8 | 26.8 | 11.2 | 0.003 | ** | 45 | 10 | 11.3 | 5.5 | 0.005 | ** | 41 | 5 | 8.1 | 4.1 | 0.134 | n.s | 49 | 9 | 7.3 | 3.1 | 0.002 | ** | |
2010 | 55 | 53 | 31.5 | 9.6 | 55 | 13.7 | 5.1 | 45 | 9.1 | 3.9 | 58 | 8.7 | 2.7 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 91 | 47 | 14 | 28.0 | 10.0 | 0.000 | *** | 51 | 16 | 12.7 | 4.8 | 0.000 | *** | 40 | 12 | 8.1 | 3.8 | 0.000 | *** | 48 | 13 | 7.2 | 2.9 | 0.000 | *** | |
2010 | 70 | 61 | 36.4 | 9.5 | 67 | 16.7 | 4.2 | 52 | 10.4 | 4.1 | 62 | 9.2 | 2.7 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 86 | 44 | 7 | 26.2 | 10.7 | 0.005 | ** | 47 | 8 | 11.9 | 5.2 | 0.003 | ** | 39 | 7 | 7.8 | 4.0 | 0.018 | ** | 43 | 5 | 6.5 | 3.4 | 0.051 | n.s | |
2010 | 175 | 51 | 30.4 | 11.6 | 56 | 13.9 | 5.2 | 46 | 9.1 | 4.4 | 49 | 7.3 | 3.0 | ||||||||||||||
26年以上 | 合計 | 2005 | 189 | 49 | 7 | 29.2 | 12.1 | 0.000 | *** | 50 | 9 | 12.4 | 5.6 | 0.000 | *** | 44 | 7 | 8.9 | 4.6 | 0.002 | ** | 53 | 6 | 8.0 | 3.5 | 0.005 | *** |
2010 | 284 | 56 | 33.6 | 11.5 | 58 | 14.6 | 5.3 | 51 | 10.2 | 4.3 | 59 | 8.8 | 3.2 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 109 | 50 | 7 | 30.1 | 12.7 | 0.017 | ** | 50 | 9 | 12.4 | 6.1 | 0.011 | ** | 47 | 5 | 9.3 | 4.7 | 0.089 | ** | 56 | 6 | 8.4 | 3.5 | 0.062 | n.s | |
2010 | 77 | 57 | 34.3 | 10.8 | 58 | 14.6 | 5.4 | 52 | 10.4 | 3.9 | 62 | 9.3 | 2.9 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 43 | 48 | 12 | 29.1 | 10.5 | 0.001 | ** | 50 | 11 | 12.5 | 4.8 | 0.006 | ** | 43 | 14 | 8.5 | 4.5 | 0.001 | ** | 53 | 10 | 8.0 | 3.3 | 0.014 | ** | |
2010 | 79 | 60 | 36.1 | 11.6 | 62 | 15.4 | 5.6 | 56 | 11.3 | 4.1 | 63 | 9.5 | 3.1 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 37 | 44 | 8 | 26.6 | 12.0 | 0.023 | ** | 49 | 7 | 12.3 | 5.2 | 0.049 | * | 39 | 8 | 7.8 | 4.4 | 0.069 | ** | 44 | 11 | 6.6 | 3.6 | 0.014 | ** | |
2010 | 128 | 53 | 31.6 | 11.6 | 57 | 14.1 | 5.0 | 47 | 9.3 | 4.5 | 55 | 8.2 | 3.4 |
*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001
経験年数 | 所属機関 | 調査年 | N | CMC尺度合計(0–80) | 創出の必要性の把握(0–15) | 創出の推進と具現化(0–45) | 創出に向けた協同(0–20) | ||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | ||||||||
全体 | 合計 | 2005 | 1,112 | 51 | 4 | 40.7 | 14.0 | 0.000 | *** | 48 | 2 | 7.1 | 3.2 | 0.046 | * | 48 | 5 | 21.7 | 8.4 | 0.000 | *** | 59 | 4 | 11.8 | 3.9 | 0.000 | *** |
2010 | 1,035 | 55 | 43.9 | 14.6 | 50 | 7.4 | 3.3 | 53 | 23.8 | 8.7 | 63 | 12.7 | 4.1 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 445 | 53 | 4 | 42.6 | 14.5 | 0.026 | * | 50 | 2 | 7.6 | 3.4 | 0.381 | n.s. | 51 | 3 | 23.0 | 8.5 | 0.044 | * | 61 | 5 | 12.1 | 4.0 | 0.002 | ** | |
2010 | 168 | 57 | 45.5 | 13.9 | 52 | 7.8 | 3.3 | 54 | 24.5 | 8.6 | 66 | 13.2 | 3.7 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 315 | 51 | 6 | 40.8 | 13.4 | 0.000 | *** | 49 | 3 | 7.4 | 3.0 | 0.134 | n.s. | 48 | 6 | 21.5 | 8.2 | 0.000 | *** | 60 | 7 | 11.9 | 3.9 | 0.000 | *** | |
2010 | 300 | 57 | 45.4 | 15.0 | 52 | 7.8 | 3.6 | 54 | 24.3 | 8.9 | 66 | 13.2 | 4.1 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 352 | 48 | 6 | 38.1 | 13.5 | 0.000 | *** | 43 | 5 | 6.4 | 3.0 | 0.001 | ** | 45 | 6 | 20.4 | 8.2 | 0.000 | *** | 57 | 4 | 11.3 | 3.8 | 0.001 | ** | |
2010 | 567 | 53 | 42.6 | 14.4 | 47 | 7.1 | 3.1 | 52 | 23.3 | 8.6 | 61 | 12.2 | 4.1 | ||||||||||||||
5年以下 | 合計 | 2005 | 225 | 44 | 2 | 35.3 | 13.3 | 0.218 | n.s. | 44 | 0 | 6.5 | 3.0 | 0.955 | n.s. | 40 | 4 | 18.0 | 7.9 | 0.042 | * | 54 | 0 | 10.8 | 4.1 | 0.874 | n.s. |
2010 | 163 | 46 | 37.1 | 14.2 | 43 | 6.5 | 3.3 | 44 | 19.7 | 8.2 | 54 | 10.8 | 4.1 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 77 | 45 | –1 | 36.4 | 13.4 | 0.792 | n.s. | 46 | 1 | 6.8 | 3.2 | 0.910 | n.s. | 42 | –2 | 18.8 | 8.0 | 0.640 | n.s. | 54 | 0 | 10.8 | 4.1 | 0.967 | n.s. | |
2010 | 15 | 44 | 35.4 | 12.4 | 46 | 6.9 | 3.1 | 39 | 17.7 | 7.5 | 54 | 10.7 | 3.3 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 80 | 47 | 4 | 37.7 | 12.8 | 0.287 | n.s. | 48 | 1 | 7.1 | 2.8 | 0.765 | n.s. | 42 | 6 | 19.0 | 7.5 | 0.097 | n.s. | 58 | 0 | 11.6 | 4.3 | 0.916 | n.s. | |
2010 | 44 | 51 | 40.5 | 16.6 | 49 | 7.3 | 4.0 | 48 | 21.6 | 9.2 | 58 | 11.6 | 4.5 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 68 | 39 | 6 | 31.4 | 13.0 | 0.030 | * | 37 | 4 | 5.5 | 2.8 | 0.168 | n.s. | 36 | 7 | 16.0 | 8.1 | 0.010 | * | 49 | 3 | 9.9 | 3.8 | 0.283 | n.s. | |
2010 | 104 | 45 | 35.8 | 13.2 | 41 | 6.1 | 2.9 | 43 | 19.2 | 7.7 | 53 | 10.5 | 4.1 | ||||||||||||||
6–15年 | 合計 | 2005 | 355 | 48 | 4 | 38.4 | 13.2 | 0.001 | ** | 45 | 3 | 6.7 | 3.2 | 0.089 | n.s. | 45 | 5 | 20.3 | 7.7 | 0.001 | ** | 57 | 5 | 11.5 | 3.8 | 0.001 | ** |
2010 | 288 | 53 | 42.0 | 13.5 | 48 | 7.1 | 3.1 | 50 | 22.4 | 8.4 | 62 | 12.5 | 3.8 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 93 | 50 | 5 | 39.9 | 13.3 | 0.228 | n.s. | 48 | –1 | 7.3 | 3.4 | 0.834 | n.s. | 47 | 4 | 21.0 | 7.4 | 0.311 | n.s. | 58 | 11 | 11.6 | 3.9 | 0.020 | * | |
2010 | 21 | 55 | 43.9 | 15.0 | 47 | 7.1 | 3.5 | 51 | 23.0 | 10.2 | 69 | 13.8 | 3.5 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 101 | 47 | 3 | 37.9 | 13.7 | 0.179 | n.s. | 45 | 0 | 6.7 | 3.0 | 0.885 | n.s. | 44 | 3 | 19.8 | 8.3 | 0.233 | n.s. | 57 | 6 | 11.4 | 3.9 | 0.043 | * | |
2010 | 107 | 51 | 40.4 | 13.7 | 45 | 6.7 | 3.4 | 47 | 21.2 | 8.5 | 62 | 12.5 | 3.9 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 161 | 47 | 6 | 37.9 | 12.7 | 0.001 | ** | 43 | 7 | 6.4 | 3.1 | 0.003 | ** | 45 | 7 | 20.1 | 7.5 | 0.000 | *** | 57 | 4 | 11.5 | 3.7 | 0.055 | n.s. | |
2010 | 160 | 54 | 42.8 | 13.1 | 49 | 7.4 | 2.8 | 52 | 23.2 | 8.0 | 61 | 12.3 | 3.8 | ||||||||||||||
16–25年 | 合計 | 2005 | 343 | 54 | 3 | 43.2 | 12.9 | 0.025 | * | 50 | 1 | 7.4 | 3.2 | 0.428 | n.s. | 52 | 3 | 23.5 | 7.6 | 0.053 | n.s. | 61 | 5 | 12.2 | 3.7 | 0.002 | ** |
2010 | 300 | 57 | 45.6 | 14.2 | 51 | 7.6 | 3.3 | 55 | 24.8 | 8.3 | 66 | 13.2 | 4.1 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 166 | 55 | 2 | 43.6 | 13.2 | 0.392 | n.s. | 50 | 0 | 7.5 | 3.3 | 0.892 | n.s. | 53 | 1 | 23.9 | 7.6 | 0.776 | n.s. | 61 | 7 | 12.2 | 3.6 | 0.016 | * | |
2010 | 55 | 57 | 45.4 | 13.5 | 51 | 7.6 | 3.3 | 54 | 24.2 | 8.2 | 68 | 13.6 | 3.5 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 91 | 55 | 9 | 43.8 | 12.0 | 0.000 | *** | 53 | 6 | 7.9 | 3.0 | 0.055 | n.s. | 52 | 9 | 23.5 | 7.4 | 0.001 | ** | 62 | 12 | 12.4 | 3.7 | 0.000 | *** | |
2010 | 70 | 64 | 51.0 | 12.0 | 59 | 8.8 | 2.9 | 61 | 27.3 | 7.3 | 74 | 14.8 | 3.5 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 86 | 52 | 2 | 41.8 | 13.0 | 0.353 | n.s. | 45 | 3 | 6.8 | 3.1 | 0.337 | n.s. | 51 | 2 | 22.9 | 7.9 | 0.393 | n.s. | 60 | 2 | 12.0 | 3.8 | 0.484 | n.s. | |
2010 | 175 | 54 | 43.5 | 14.6 | 48 | 7.2 | 3.3 | 53 | 23.9 | 8.6 | 62 | 12.4 | 4.2 | ||||||||||||||
26年以上 | 合計 | 2005 | 189 | 59 | 1 | 46.9 | 15.0 | 0.409 | n.s. | 54 | –1 | 8.2 | 3.3 | 0.646 | n.s. | 57 | 2 | 25.7 | 8.9 | 0.282 | n.s. | 65 | 2 | 13.0 | 3.9 | 0.264 | n.s. |
2010 | 284 | 60 | 48.0 | 14.6 | 53 | 8.0 | 3.4 | 59 | 26.6 | 8.6 | 67 | 13.4 | 3.9 | ||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 109 | 60 | 0 | 47.9 | 16.0 | 0.950 | n.s. | 56 | 0 | 8.4 | 3.5 | 0.980 | n.s. | 58 | 1 | 26.2 | 9.3 | 0.833 | n.s. | 67 | –1 | 13.4 | 4.1 | 0.835 | n.s. | |
2010 | 77 | 60 | 48.1 | 13.3 | 56 | 8.4 | 3.2 | 59 | 26.5 | 7.9 | 66 | 13.2 | 3.8 | ||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 43 | 59 | 3 | 47.5 | 13.0 | 0.383 | n.s. | 57 | 1 | 8.5 | 3.0 | 0.899 | n.s. | 58 | 3 | 26.0 | 8.2 | 0.345 | n.s. | 65 | 4 | 13.0 | 3.4 | 0.273 | n.s. | |
2010 | 79 | 62 | 49.9 | 15.2 | 57 | 8.6 | 3.7 | 61 | 27.5 | 8.5 | 69 | 13.8 | 4.0 | ||||||||||||||
市町村 | 2005 | 37 | 54 | 5 | 42.9 | 14.0 | 0.160 | n.s. | 48 | 2 | 7.2 | 2.9 | 0.606 | n.s. | 53 | 5 | 23.8 | 8.4 | 0.183 | n.s. | 59 | 7 | 11.9 | 3.7 | 0.061 | n.s. | |
2010 | 128 | 58 | 46.8 | 14.9 | 50 | 7.5 | 3.2 | 58 | 26.0 | 9.0 | 66 | 13.3 | 3.9 |
*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001
経験年数 | 所属機関 | 調査年 | N | PDS尺度合計(0–80) | 職能要因 専門性の伝承と発展(0–20) | 職能要因 活動原則の励行(0–15) | 自己要因 自己責任の能力開発(0–30) | 自己要因 人に学ぶ能力開発(0–15) | |||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | Mean(100点換算) | 得点差 | Mean | SD | 有意確率 | |||||||||
全体 | 合計 | 2005 | 1,112 | 52 | 9 | 41.8 | 13.3 | .000 | *** | 57 | 7 | 11.4 | 4.1 | .000 | *** | 56 | 12 | 8.3 | 2.9 | .000 | *** | 44 | 8 | 13.1 | 5.8 | .000 | *** | 60 | 10 | 8.9 | 2.9 | .000 | *** |
2010 | 1,035 | 61 | 49.0 | 13.1 | 64 | 12.9 | 4.0 | 68 | 10.2 | 2.8 | 52 | 15.5 | 5.9 | 69 | 10.4 | 2.9 | |||||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 445 | 53 | 9 | 42.3 | 14.0 | .000 | *** | 58 | 8 | 11.6 | 4.4 | .000 | *** | 56 | 12 | 8.4 | 3.1 | .000 | *** | 45 | 7 | 13.4 | 6.1 | .000 | *** | 59 | 12 | 8.9 | 2.9 | .000 | *** | |
2010 | 168 | 62 | 49.6 | 13.1 | 66 | 13.2 | 4.2 | 68 | 10.2 | 2.7 | 51 | 15.4 | 6.1 | 72 | 10.7 | 2.7 | |||||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 315 | 54 | 10 | 43.2 | 12.2 | .000 | *** | 58 | 9 | 11.7 | 3.7 | .000 | *** | 58 | 12 | 8.6 | 2.6 | .000 | *** | 45 | 10 | 13.5 | 5.5 | .000 | *** | 62 | 8 | 9.4 | 2.7 | .000 | *** | |
2010 | 300 | 64 | 50.9 | 13.2 | 67 | 13.5 | 3.9 | 70 | 10.5 | 2.7 | 55 | 16.4 | 6.1 | 71 | 10.6 | 2.8 | |||||||||||||||||
市町村 | 2005 | 325 | 50 | 10 | 39.9 | 13.3 | .000 | *** | 54 | 8 | 10.9 | 4.0 | .000 | *** | 54 | 13 | 8.0 | 2.9 | .000 | *** | 42 | 9 | 12.5 | 5.7 | .000 | *** | 57 | 11 | 8.6 | 3.0 | .000 | *** | |
2010 | 567 | 60 | 47.8 | 12.9 | 62 | 12.5 | 3.9 | 67 | 10.0 | 2.8 | 50 | 15.1 | 5.7 | 68 | 10.2 | 2.9 | |||||||||||||||||
5年以下 | 合計 | 2005 | 225 | 50 | 7 | 40.2 | 13.1 | .000 | *** | 51 | 3 | 10.2 | 3.9 | .127 | n.s. | 52 | 11 | 7.7 | 2.8 | .000 | *** | 42 | 7 | 12.7 | 5.8 | .001 | ** | 63 | 7 | 9.5 | 3.0 | .001 | ** |
2010 | 163 | 57 | 45.6 | 13.9 | 54 | 10.9 | 4.1 | 62 | 9.3 | 3.0 | 50 | 14.9 | 6.2 | 70 | 10.6 | 3.1 | |||||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 77 | 50 | 0 | 39.9 | 13.8 | 1.000 | n.s. | 50 | –3 | 10.1 | 4.1 | .555 | n.s. | 49 | 5 | 7.4 | 2.9 | .337 | n.s. | 43 | –3 | 12.8 | 6.4 | .564 | n.s. | 64 | 5 | 9.7 | 3.2 | .417 | n.s. | |
2010 | 15 | 50 | 39.9 | 8.8 | 48 | 9.5 | 2.8 | 54 | 8.1 | 2.3 | 40 | 11.9 | 5.2 | 69 | 10.4 | 3.1 | |||||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 80 | 54 | 9 | 43.5 | 11.4 | .005 | ** | 55 | 5 | 11.1 | 3.4 | .153 | n.s. | 57 | 8 | 8.6 | 2.4 | .012 | * | 46 | 13 | 13.7 | 5.2 | .001 | ** | 67 | 8 | 10.1 | 2.4 | .034 | * | |
2010 | 44 | 63 | 50.8 | 14.7 | 61 | 12.2 | 4.3 | 65 | 9.7 | 2.5 | 59 | 17.7 | 6.6 | 75 | 11.2 | 3.0 | |||||||||||||||||
市町村 | 2005 | 68 | 46 | 9 | 36.6 | 13.3 | .000 | *** | 47 | 5 | 9.5 | 4.2 | .101 | n.s. | 48 | 14 | 7.2 | 2.9 | .000 | *** | 38 | 9 | 11.5 | 5.6 | .004 | ** | 57 | 12 | 8.5 | 3.2 | .000 | *** | |
2010 | 104 | 55 | 44.2 | 13.5 | 53 | 10.5 | 4.0 | 62 | 9.3 | 3.2 | 47 | 14.1 | 5.7 | 69 | 10.3 | 3.1 | |||||||||||||||||
6–15年 | 合計 | 2005 | 355 | 50 | 10 | 39.7 | 12.8 | .000 | *** | 53 | 7 | 10.6 | 3.9 | .000 | *** | 53 | 13 | 8.0 | 2.8 | .000 | *** | 41 | 9 | 12.2 | 5.7 | .000 | *** | 60 | 10 | 8.9 | 2.8 | .000 | *** |
2010 | 288 | 59 | 47.3 | 12.0 | 60 | 12.0 | 3.7 | 66 | 10.0 | 2.6 | 49 | 14.8 | 5.6 | 70 | 10.5 | 2.8 | |||||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 93 | 50 | 10 | 39.7 | 13.6 | .017 | * | 53 | 4 | 10.6 | 4.3 | .407 | n.s. | 53 | 14 | 7.9 | 2.9 | .003 | ** | 40 | 10 | 12.0 | 5.8 | .071 | + | 61 | 14 | 9.2 | 2.8 | .003 | * | |
2010 | 21 | 60 | 47.7 | 13.9 | 57 | 11.5 | 4.7 | 67 | 10.0 | 2.6 | 50 | 15.0 | 6.6 | 75 | 11.2 | 2.9 | |||||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 101 | 50 | 8 | 40.1 | 13.0 | .000 | *** | 53 | 7 | 10.7 | 4.0 | .006 | ** | 54 | 12 | 8.1 | 2.8 | .000 | *** | 41 | 7 | 12.3 | 5.7 | .008 | ** | 60 | 7 | 9.0 | 2.9 | .005 | * | |
2010 | 107 | 58 | 46.6 | 12.0 | 61 | 12.1 | 3.7 | 66 | 9.8 | 2.8 | 48 | 14.4 | 5.7 | 68 | 10.1 | 2.8 | |||||||||||||||||
市町村 | 2005 | 161 | 49 | 10 | 39.5 | 12.4 | .000 | *** | 53 | 7 | 10.6 | 3.7 | .000 | *** | 53 | 14 | 8.0 | 2.7 | .000 | *** | 40 | 10 | 12.1 | 5.5 | .000 | *** | 58 | 13 | 8.8 | 2.8 | .000 | *** | |
2010 | 160 | 60 | 47.8 | 11.8 | 60 | 12.1 | 3.5 | 67 | 10.0 | 2.4 | 50 | 15.0 | 5.3 | 71 | 10.6 | 2.8 | |||||||||||||||||
16–25年 | 合計 | 2005 | 343 | 53 | 9 | 42.4 | 13.0 | .000 | *** | 59 | 7 | 11.8 | 3.9 | .000 | *** | 56 | 12 | 8.5 | 2.8 | .000 | *** | 45 | 7 | 13.4 | 5.7 | .000 | *** | 58 | 12 | 8.7 | 2.8 | .000 | *** |
2010 | 300 | 62 | 49.7 | 12.7 | 66 | 13.2 | 3.8 | 69 | 10.3 | 2.8 | 52 | 15.7 | 5.9 | 70 | 10.5 | 2.8 | |||||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 166 | 52 | 9 | 41.9 | 13.4 | .000 | *** | 57 | 8 | 11.4 | 4.1 | .008 | ** | 56 | 13 | 8.4 | 3.1 | .000 | *** | 45 | 4 | 13.5 | 6.0 | .185 | n.s. | 57 | 17 | 8.6 | 2.8 | .000 | *** | |
2010 | 55 | 62 | 49.2 | 12.2 | 65 | 13.1 | 3.8 | 69 | 10.4 | 2.5 | 49 | 14.7 | 6.3 | 74 | 11.1 | 2.3 | |||||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 91 | 56 | 11 | 44.5 | 11.2 | .000 | *** | 63 | 8 | 12.6 | 3.4 | .003 | ** | 59 | 15 | 8.9 | 2.4 | .000 | *** | 45 | 12 | 13.5 | 5.4 | .000 | *** | 63 | 10 | 9.4 | 2.4 | .001 | ** | |
2010 | 70 | 67 | 53.2 | 12.5 | 72 | 14.3 | 3.5 | 74 | 11.1 | 2.4 | 57 | 17.0 | 6.1 | 72 | 10.8 | 2.8 | |||||||||||||||||
市町村 | 2005 | 86 | 52 | 9 | 41.3 | 13.7 | .000 | *** | 58 | 6 | 11.6 | 4.0 | .018 | * | 55 | 12 | 8.2 | 2.8 | .000 | *** | 44 | 7 | 13.2 | 5.6 | .003 | ** | 56 | 12 | 8.4 | 3.1 | .000 | ** | |
2010 | 175 | 61 | 48.5 | 12.7 | 64 | 12.8 | 3.8 | 67 | 10.0 | 2.9 | 51 | 15.4 | 5.6 | 68 | 10.2 | 2.9 | |||||||||||||||||
26年以上 | 合計 | 2005 | 189 | 58 | 7 | 46.5 | 14.1 | .000 | *** | 67 | 6 | 13.4 | 4.1 | .003 | ** | 63 | 8 | 9.5 | 3.0 | .000 | *** | 50 | 5 | 14.9 | 5.8 | .004 | ** | 58 | 10 | 8.7 | 2.9 | .000 | *** |
2010 | 284 | 65 | 51.9 | 13.4 | 73 | 14.5 | 3.8 | 71 | 10.7 | 2.7 | 55 | 16.5 | 6.0 | 68 | 10.2 | 2.9 | |||||||||||||||||
都道府県 | 2005 | 109 | 59 | 6 | 47.0 | 14.5 | .013 | * | 68 | 4 | 13.6 | 4.3 | .191 | n.s. | 64 | 7 | 9.5 | 3.2 | .014 | * | 50 | 5 | 15.1 | 5.8 | .062 | + | 58 | 11 | 8.8 | 3.0 | .000 | *** | |
2010 | 77 | 65 | 52.2 | 13.5 | 72 | 14.5 | 4.1 | 71 | 10.6 | 2.7 | 56 | 16.7 | 5.7 | 70 | 10.4 | 2.8 | |||||||||||||||||
政令市等 | 2005 | 43 | 59 | 10 | 47.1 | 12.5 | .002 | ** | 66 | 10 | 13.3 | 3.0 | .002 | ** | 64 | 11 | 9.6 | 2.9 | .002 | ** | 52 | 7 | 15.5 | 5.4 | .044 | * | 59 | 12 | 8.8 | 2.9 | .001 | ** | |
2010 | 79 | 69 | 54.9 | 12.8 | 76 | 15.3 | 3.3 | 75 | 11.2 | 2.6 | 59 | 17.7 | 6.0 | 71 | 10.7 | 2.7 | |||||||||||||||||
市町村 | 2005 | 37 | 55 | 7 | 44.3 | 14.7 | .030 | * | 64 | 6 | 12.9 | 4.5 | .133 | n.s. | 62 | 7 | 9.4 | 3.0 | .038 | * | 46 | 6 | 13.9 | 6.5 | .109 | n.s. | 55 | 10 | 8.2 | 2.9 | .009 | ** | |
2010 | 128 | 62 | 49.9 | 13.5 | 70 | 14.1 | 3.7 | 70 | 10.4 | 2.8 | 52 | 15.7 | 6.0 | 64 | 9.7 | 3.0 |
*p<0.05 **p<0.01 ***p<0.001
回答者の各尺度の合計点および各因子の得点は3尺度すべてにおいて,2010年で有意に上昇していた.
2010年の各尺度の合計点を100点換算した結果,BAPHは53点,CMCは55点,PDSは61点と,PDSの点数が最も高かった.各尺度および因子の100点換算平均値の調査年間の差をみると,BAPHとPDSでは2010年に7~12点の上昇がみられるのに対し,CMCの上昇は2~5点で,他の尺度に比べ点数上昇が小さかった.
(2) 経験年数群別の結果保健師経験年数で4群に分けた結果,BAPHとPDSの点数は,2005年から2010年で,いずれの経験年数群においても有意に上昇していた.一方で,CMCの点数は,5年以下と26年以上の群で有意な差が認められなかった.
各尺度の因子で,両年間に有意な差が認められなかったのは,BAPHでは,5年以下の「健康危機への予防的対応」のみ,PDSでは,5年以下の「専門性の伝承と発展」のみであった.一方,CMCで有意な差が認められたのは,5年以下と6–15年の「創出の推進と具現化」,6–15年と16–25年の「創出に向けた協同」のみであった.
BAPH,CMC,PDSの点数について,2005年と2010年の100点換算平均値の差を比較した結果,BAPHとPDSではいずれの経験年数群においても7~10点の上昇がみられた一方で,CMCでは1~4点と,どの経験年数群でも差が小さかった.
(3) 所属機関別の結果所属機関別に3群に分けた結果では,BAPHとPDSについてはいずれの所属機関群でも尺度得点とすべての因子が,2010年で有意に上昇している一方,CMCでは都道府県および政令市等の「創出の必要性の把握」の因子得点に有意な差が認められなかった.
BAPH,CMC,PDSの100点換算平均値の差を見た結果,都道府県で最も差が小さかった因子はCMCの「創出の必要性の把握」の2点で,最も大きかったのはPDSの「活動原則の励行」と「人に学ぶ能力(人に助言を仰ぐあるいは人から学びとる能力)開発」の12点であった.政令市等や市町村でも,差が最大だった因子はPDSの「活動原則の励行」(順に12点,13点)であった.政令市等で差が最小だったのは,都道府県と同様にCMCの「創出の必要性の把握」の3点であり,市町村では,CMCの「創出に向けた協同」の4点と,いずれもCMCの因子であった.BAPHの100点換算平均値は,どの所属においても8点から12点の顕著な差が見られた.
(4) 経験年数と所属機関別の結果経験年数と所属機関の2条件をかけ合せて,2005年と2010年の差をみた結果,経験5年以下では市町村に所属する者のすべての尺度得点の差が,100点換算でBAPH,CMC,PDSの順に13,6,9点と最も大きく,2010年で有意に上昇していた.逆に都道府県に所属する者の尺度得点の差は,順に1,–1,0点と,どの尺度にも有意差がなかった.
経験6–15年でも同様に,市町村に所属する者の尺度得点の差が,順に13,6,10点と最も大きく,有意に上昇していたのに対し,都道府県ではPDSのみに10点の有意な上昇が認められるのみであった.
経験16–25年では,どの所属機関においてもBAPH,PDSの2010年の尺度得点に有意な上昇がみられた一方で,CMCでは政令市のみに,100点換算で9点の有意な上昇が認められた.
経験26年以上の群のBAPHとPDSの点数は,政令市等が100点換算で12,10点と最も差が大きく,すべての所属機関で2010年が有意に上昇していた.CMCの得点は,市町村の100点換算での差が5点と最も大きかったものの,いずれの所属機関にも有意差が認められなかった.
本研究結果より,各尺度の合計点は,いずれの尺度においても5年後の2010年の方が有意に上昇しており,保健師全体の実践能力は高くなっていることがわかった.ただ,本研究の回答者の経験年数は,2010年の方が有意に高く,用いた尺度の点数はいずれも経験年数に応じて上昇する(岩本ら,2008;塩見ら,2009;岡本ら,2010)ことから,経験年数が交絡因子として働いた可能性も否めない.しかし,経験年数群別に両年を比較した結果でも,CMCの5年以下と25年以上の群以外は有意な上昇がみられ,交絡を除去しても5年後の保健師の実践能力は上昇していたと言える.前述したように,2005年以降の5年間で保健師の実践能力とその獲得方策を明確化する国や都道府県での動きは加速化しており,都道府県を中心とする現任教育体制の整備が進んできた(日本看護協会,2011)ことが,保健師の実践能力の上昇につながったと考える.
今回用いた尺度の中でも,特にPDSで測定できる専門職として成長していく力の上昇が著しかった.これについても,同様の背景のもと,保健師の自己成長への意識が高揚したことの表れであると考える.
BAPHについては,PDSよりも上昇幅が小さいものの,2010年で有意な上昇が認められている.BAPHの得点は,PDS得点との相関があるとされており(相馬ら,2011),両者で測定できる能力は,関連し合いながら高まっていったといえる.また,2005年以降の5年間で,WHOを中心に,社会的決定要因が生む健康格差への関心が世界的に高まり,保健師もその影響を受けて格差是正に取り組む責務を自覚したことが,BAPHの得点上昇に影響したとも考えられる.
一方で,CMCで測定できる事業や施策を創出していく力については,他の能力ほどの上昇が認められなかった.吉岡ら(2007)が,施策化能力の高低に影響する要因として,施策化経験の有無をあげているように,保健師の施策化能力は実践経験を通じて培われていくものである.一方で,保健師は激動する法律や事業の枠組みに翻弄され,施策化を経験する機会そのものが少なく,CMCに関わる事業化・施策化能力の獲得が難しい社会背景にあったことが,今回の結果を招いたと考える.
2. 経験年数群別・所属機関別にみた実践能力獲得の実態と課題本研究により,経験年数群別・所属機関別で保健師の実践能力の変化に差があることが明らかになった.
まず,5年以下の新人期においては,所属機関別で2005年と2010年の実践能力の上昇が異なっており,市町村保健師の伸びが大きい一方,都道府県保健師の実践能力の伸びがみられないという結果であった.これは,2005年における5年以下の市町村保健師の実践能力が都道府県や政令市よりも低値を示しており,この5年間で都道府県や政令市に追いついたことを示していると考える.その理由として,この5年間で制度化された新人期の研修制度の影響が強かったと考えられる.さらに2005年頃から市町村の合併が進み,市町村で採用される新人が減少したため,能力の高い新人が採用されたとも考えられる.都道府県保健師の伸びが低かった要因としては,業務分担制と共に都道府県保健師の機能分化が進み,新人保健師を所属保健師全体で育てる体制を取りにくいことや,都道府県保健師に求められる機能の専門性が高く,習得するのに時間がかかることが考えられる.今後,所属機関の格差なく,新任期保健師の実践能力を向上させるためには,所属機関内での教育に留まらず,保健所管轄全体で現任教育を考え,人員交換などで所属ごとの利点・欠点を補完し合う柔軟な教育体制が必要である.一方,5年以下の群の事業・社会資源の創出に関する実践能力は,いずれの所属機関においても上昇しておらず,新任期では獲得が難しい能力であると考えられる.平野ら(2012)は,保健師の政策に関する能力と必要な基礎教育内容を,保健師管理者の意見を基に明らかにしている.これによると,必要な教育内容には「個々の住民に着目した支援の重要性」や「地域を見ることができる洞察力の養成」などの4つが抽出されており,今後基礎教育において個の支援を通じて地域を捉える視点を培っていくことで,新任期のCMC得点の上昇が期待できると考える.
6–15年の中堅前期の保健師全体では,BAPH,CMC,PDSのすべての尺度で2005年から2010年に有意な上昇がみられたものの,新任期同様に所属機関ごとの上昇が異なった.最も上昇を示したのは市町村であり,すべての実践能力に有意な差がみられた.一方で,政令市はCMCの上昇が少なく,CMC平均値は,2005年,2010年共に他の所属機関よりも低かった.政令市は,所属内の保健師数が多く,重層的な現任教育体制がとれる一方で,15年目までに事業化・施策化に主体的に関わる機会は少ないことが影響している可能性がある.所属機関によって,経験年数とキャリアラダーとの関係は異なるため,各所属の特性に応じた経験年数に対するラダーの目安を示し,到達段階を保健師が自覚しながら成長できる仕組みが必要であると考える.さらに,都道府県では,すべての尺度において,平均値そのものは他の所属機関同様に2010年で上昇しているにも関わらず,有意な上昇が認められなかった.その要因には,2010年の都道府県の回答者数が極端に少ないことが,影響していると考える.
16–25年の中堅後期の保健師全体でも,BAPH,CMC,PDSのすべてにおいて,2010年に有意な上昇が認められた.BAPH,PDSについては,いずれの所属機関においても有意な上昇が認められ,5年間の上昇が最も顕著な年代であったと言える.社会が大きく変化し,様々な災害が頻発する5年間に,実践活動の中心的役割を担う中堅期を過ごしてきたことが,このような結果に表れたと考える.特異な結果を示したのはCMCであり,政令市においてのみ有意な上昇がみられ,2010年のCMCの平均値も政令市が最も高かった.特に上昇幅が大きかった因子は,「創出に向けた協同」であり,介護保険施行後,保健サービスのアウトソーシングが進む中,社会資源が豊富な政令市はいち早くこの影響を受け,その必要性から中堅後期保健師の協同する力が高まったと考えられる.今後は,どの所属においても,同様の状況が予測され,その変化を政令市同様に保健師の成長に変えることが重要である.
26年以上では,所属の差はなく,BAPHとPDSに有意な上昇がみられたが,CMCでは有意差が認められず逆にわずかに減少していた.BAPHとPDSの上昇については,これまで述べてきたように,時代背景による影響が大きいと考えるが,2010年でも依然7割を下回る得点率であることから,更なる上昇が期待される.CMCに殆ど変化がない要因には,26年以上の保健師が基礎教育を受けたのは,保健師の事業化・施策化役割が保健師活動指針に明示される以前であり,CMCに関わる能力を新任期から継続的に積み上げていないことが影響している可能性がある.また,26年以上の者は,係長級以上の管理的立場にあることが多く,自ら事業化・施策化する実践能力の向上よりはむしろ,管理能力の向上に主眼が置かれていることも,CMCに変化がない一因と考える.
3. 本研究の限界本研究では,2005年の調査票回収率や,それ以降の保健所統廃合と市町村合併による各所属の保健師数の変化を考慮し,所属ごとに同数程度の回収が得られるように,2010年でサンプリングの割合を変更した.また,研究協力の自由をより保障するため,2010年には回収方法を研究者へ直接返送してもらうことに変更した.その結果,所属ごとの回収数に差が生じ,それが統計的な有意差が認められない原因にもなった.また,2005年と2010年では,年齢や経験年数に有意な差があり,このことが結果の解釈を困難にしたことは否めない.
しかし,本研究によって,変動の大きい5年間における保健師の実践能力の変化を,各尺度の側面から,経験年数群と所属機関別に分けて明らかにしたことで,各能力,経験年数,所属ごとの変化の特徴が明らかになった.今後,所属の特性を踏まえて,階層別の現任教育体制を充実させていく上での,資料として活用されることを期待する.
行政機関で働く保健師の2005年と2010年との実践能力の獲得実態の変化を,BAPH,CMC,PDSの3尺度を用いて,所属機関別,経験年数群別にみた結果,次のことが明らかになった.
・保健師の実践能力は,いずれの尺度においても2005年から2010年で有意に上昇していた.
・BAPHとPDS得点の変化は,類似していたのに対し,CMCの得点は異なる結果を示した.
・経験年数群や所属機関別により,5年後の実践能力の変化に差があった.
今後は,経験年数や所属による差を生んだ背景を吟味し,所属の特性にあった人材育成の体制が必要である.
お忙しい中,本研究の調査にご協力くださいました,全国の保健師の皆様に厚く御礼申し上げます.
なお,本研究は,厚生労働科学研究費補助金(課題番号:H16-健康-一般-043),科学研究費助成(課題番号:20390572)を受けて実施した.