2018 年 7 巻 3 号 p. 134-142
目的:東日本大震災後の急性期における高齢者の避難所生活の体験について明らかにする.
方法:参加協力者9名に半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.
結果:高齢者は【寒さに耐える雑魚寝生活】【生きるための最低限の水と食べ物】と生命を維持するために最低限の生活を強いられ,【簡易トイレでの慣れない排泄】【日用品の不足による着の身着のままの生活】【不衛生を強いられる生活】という不衛生な環境で生活していた.さらに医療機関の被災や移動手段が断絶したことから【不十分な医療や介護による疾病の悪化】が生じていた.また,避難所での【生死を分けた被災者の人間模様の共感や忍従】を経験し,【「生」の強さの実感と人々が支え合う生活への感謝】と支援してくれた多くの人々に感謝していた.
考察:高齢者の避難所生活のために,地元住民や関係者,他機関からの支援者との効果的な支援体制を構築していく必要性が示唆された.