日本植物病理学会報
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6量体キチンが誘導するエリシター応答発光と過酸化水素との量的相関
加藤 公彦本澤 洋江伊代住 浩幸貫井 秀樹
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2010 年 76 巻 3 号 p. 142-148

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抄録

6量体キチンがイネ培養細胞に誘導するエリシター応答発光と過酸化水素間の相関解析を行った.6量体キチンの処理濃度0.03~1000 μMにおいて,エリシター応答発光と過酸化水素生成量は類似した発生パターンを示した.また,エリシター応答発光と過酸化水素生成量は共に,6量体キチン濃度に対して自然対数関数的に増加した.この結果から,エリシター応答発光と過酸化水素は,類似した発生様相を呈することが判明した.エリシター応答発光と過酸化水素の両者を,エリシター濃度を変動させる方法と病害抵抗性誘導剤のプライミング効果を利用した方法により発生変動させ,両者の量的相関を調査した.その結果,前者の方法では,両者の相関係数は0.95~0.97(p<0.01),また,後者の方法では0.90~0.93(p<0.01)で有意であり,6量体キチンが誘導するエリシター応答発光と過酸化水素は量的に相関することが判明した.

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© 2010 日本植物病理学会
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