日本植物病理学会報
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原著
キュウリホモプシス根腐病に対するクロルピクリンくん蒸剤マルチ畦内処理と抵抗性台木クロダネカボチャの併用による防除効果
岩舘 康哉勝部 和則長谷 修生井 恒雄
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2011 年 77 巻 4 号 p. 278-286

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抄録

露地夏秋作型のキュウリを対象とした,実用的なホモプシス根腐病の防除技術の確立を目的に,有効な土壌消毒薬剤を選抜するとともに,効果的な処理条件や土壌消毒と抵抗性台木の併用による防除効果について検討した.クロルピクリンくん蒸剤,ダゾメット粉粒剤,フルアジナム粉剤,カーバムナトリウム塩液剤の4薬剤を供試し,本病に対する防除効果を検討した結果,クロルピクリンくん蒸剤の防除効果が高く本病防除薬剤として有望と判断した.次に,本剤の処理手法について全面処理とマルチ畦内処理を比較した結果,本剤はマルチ畦内処理が有効であることを明らかにした.さらに,本剤のマルチ畦内処理における消毒畦幅について検討した結果,消毒畦幅は慣行の畦幅60 cmよりもやや広い90 cmとした場合に防除効果が高かった.最後に,本剤のマルチ畦内処理と,本病に一定の抵抗性を示すクロダネカボチャ台木の併用による防除効果について検討した結果,これらの処理の併用は,それぞれを単独で用いた場合よりも優れた顕著な防除効果を示した.このことから,クロルピクリンくん蒸剤マルチ畦内処理は,抵抗性台木クロダネカボチャを併用することでより安定性の高い防除効果が得られると考えられた.

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© 2011 日本植物病理学会
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