2018 年 84 巻 4 号 p. 275-281
北海道内のコムギほ場から1989年に1017菌株,1992年に1931菌株のコムギ眼紋病菌Oculimacula yallundaeおよびOculimacula acuformisを分離してその分布を調査した.O. acuformisの割合はそれぞれ52.3%および43.7%で,道北および道東地域に優占する傾向が認められるものの道内に広く分布していた.2カ年の調査に大きな差異は認められなかった.O. yallundaeおよびO. acuformisのDMI剤に対する感受性を調査した結果,EC50値でプロピコナゾールではそれぞれ0.16~0.32 ppmおよび1.0~4.5 ppm,プロクロラズではそれぞれ0.03~0.09 ppmおよび0.04~0.18 ppmで,O. acuformisのプロピコナゾールに対する感受性が低かった.2カ年とも両剤に対する感受性は同様の傾向であった.O. acuformisの割合が5.0~100%と異なるほ場でプロピコナゾール乳剤およびプロクロラズ乳剤に対する防除効果を調査した.プロピコナゾール乳剤はO. yallundaeが優占するほ場では効果が認められたのに対し,O. acuformisが優占するほ場では効果が認められなかった.一方,プロクロラズ乳剤はいずれのほ場においても安定した効果が認められた.