抄録
本研究は,里親として児童を養育している天理教信者である天理教里親に注目し,
天理教里親が,自身の里親養育実践に対して,天理教信仰との関連でどのような意味を付与しているのか,
インタビュー調査をもとに考察することを目的とする.このことは,
里親の一定割合を占める天理教里親に関する研究がまだほとんどない状況において意義深いものとなる.
またそこから,宗教や信仰と福祉実践との関係の研究に知見を提供することも可能となり,
その点においても意義深い.
天理教里親の語りへの分析の結果,以下のことが明らかとなった.
第1 に天理教里親は,信仰に基づいて人助けを実践してきたことを基盤とし,
その延長線上で里親養育を開始していること,第2 に里親の立場性においては,
他の里親と異なり〈時間的非限定性〉と〈関係的非限定性〉があること,
第3 にそうした天理教里親特有の〈時間的非限定性〉〈関係的非限定性〉を生じさせているのには,
他の里親とは異なる天理教里親特有の,里親養育の〈宗教的文脈〉が要因となっていることが明らかとなった.
こうした,里親を意味付ける〈宗教的文脈〉の枠組みは,今後の里親研究において/福祉研究において重要となるだろう.