日本植物病理学会報
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原著
ネギ黒腐菌核病のネギ作付け前の生存菌核の低減と生育期感染抑制による総合防除
斉藤 千温伊代住 浩幸鈴木 幹彦高橋 冬実寺田 彩華牧田 英一
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2019 年 85 巻 4 号 p. 325-333

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抄録

Sclerotium cepivorum Berkleyが引き起こすネギ黒腐菌核病(white rot)の防除のため,著者らは,3種の対策,すなわち,i)土壌中の生存菌核数の十分な低減,ii)ネギ根圏で発芽した菌核の効果的な殺菌,iii)土寄せで作条に運び込まれる菌核の病原力の低減を組み合わせた総合防除体系を構築した.実証試験は,現地の重汚染圃場で実施した.対策i)として,ダゾメット粉粒剤による土壌消毒を行った.その際のメチルイソチアネートガスの封じ込め方法は,降雨を利用した水封(水封区)もしくは,ビニール被覆(被覆区)とした.その結果,無処理で風乾土100 gあたりの生存菌核数の平均が35.4個,平均生存率75.8%の条件で,被覆区(0.5個,0.9%)は水封区(7.1個,25.6%)に比べ,より効果的であった.処理間の生存菌核数の差は,収穫時の発病程度の明瞭な差として現れた(無処理区の発病株率96.0%,ダゾメット被覆区24.2%,ダゾメット水封区97.9%).定植時のシメコナゾール粒剤処理と土寄せ前のペンチオピラド水和剤灌注処理を行う対策ii)と,低温期の複数回の石灰施用行う対策iii)を組み合わせて実施したところ,効果的に黒腐菌核病被害を軽減した(発病株率15.3%).さらに,被覆を行う対策i)と対策ii)および対策iii)を体系的に実施することで,黒腐菌核病はほぼ完全に抑制され(発病株率1.6%),本総合防除体系の有効性が確認された.今後,本防除体系をタイプが異なる複数の汚染圃場に適用し,総合防除後の防除労力の段階的な低減の可能性について検証する必要がある.

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