2022 年 88 巻 4 号 p. 250-253
トマト退緑ウイルス(ToCV)はトマト黄化病を引き起こす世界的な重要病害の一つである.本病の黄化症状は,下位葉からの葉脈間の黄化にはじまり次第に上位葉へ症状が進行する.ToCVは,主にタバココナジラミやオンシツコナジラミで半永続的に媒介される.日本では,これまでトマト果実生産に対するToCV感染の影響がほとんど知られていなかった.そこで2020年に試験条件下でトマト品種「麗容」を用いてトマト果実に対するトマト黄化病の影響を調査した.ToCV接種区は病徴が明確に現れるまで,感染後少なくとも約2ヶ月の潜伏期間を要し,健全区と比較して24.6%~31.7%の平均果実重の減少・小玉化が起きていた.この結果,ToCVの感染・発病がトマト生産において果実重の低下を発生させていることが示唆された.