日本植物病理学会報
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Rhizoctonia solaniに因る棉苗の侵入に就いて
中山 隆夫
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1940 年 10 巻 2-3 号 p. 93-103

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抄録

本實驗はペトリ皿内に於てRhizoctonia solaniを棉苗の各部分に侵入せしめ,その侵入過程を解剖學的に觀察したものである。
Rhizoctonia solaniの侵入菌絲は寄主の根,幼莖,子葉の各々の表皮縫合溝に沿つて伸長する。
根に於ては根端部は最も侵され易き部分である。
根に對してはその表皮を貫通して侵入するを常とするも,又側根破生間隙よりも侵入し得る。(第1圖, A, B, D)。
根の組織内に侵入した菌絲はこゝに於て細胞内又は細胞間に分岐蔓延するのである。かくて遂には内皮内部にまで蔓延するに至る。(第1圖, C)。
幼莖に對しては“infection cushion”によつて侵入するを主とし時に獨立菌絲によつても侵入する。(第2圖, A, B, C, D)。
子葉に對しては,クチクラ貫通によつて侵入し,又氣孔よりも侵入する。尤も子葉の表面に於てはクチクラ侵入と氣孔侵入とは兩々相半ばするが,子葉下面に於ては氣孔侵入を主體とする。(第3圖, A, B)。

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