日本植物病理学会報
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稻熱病抵抗性に關する研究
IV.稻熱病に對する稻の品種間抵抗性と葉片の強靱度・珪酸竝びに窒素含量との關係
吉井 甫
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1941 年 11 巻 2 号 p. 81-88

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抄録
1) 各種稻品種の有する葉片の強靱度・珪酸竝びに窒素含量を比較し,その結果を各品種の稻熱病抵抗性との間に何等かの相關的關係を見出さんとした。
2) 本實驗に於て供用した稻の品種はカマイラズ・旭・晩神力・銀坊主・龜治・愛國・眞珠1號・戰捷の8品種であつた。
3) これらの品種を春日井液の窒素を3倍にせるものによつて水耕し,その穗孕期直前の葉片を材料として稻熱病發病程度・強靱度(貫穿抵抗)・珪酸竝びに窒素含量を求めたのである。
4) 葉片の強靱度・珪酸及び窒素の測定方法は前報文(12, 14)の通りである。發病程度を調査するに當つては,先づPiricularia oryzaeを噴霧接種し,その抵抗性の強弱を發病比數によつて求めると同時に,野外に於てポット栽培をなせる同じ品種の稻に自然發生せる稻熱病につき,その發病程度を目測によつて求めた。
5) 實驗の結果によれば,稻熱病に對する稻の品種的抵抗性の強弱は,各品種の稻葉片の示す夫々の強靱度・珪酸含量・窒素含量或は後兩者の含有量に於けるSiO2/Nの比の何れとも相關的の關係がないのである。即ち品種間抵抗性はかかる物理的或は化學的の計量の外にありと云はざるを得ない。
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