日本植物病理学会報
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稻熱病斑の組織化學的研究II
ヂアゾ試藥により赤變する葉の細胞膜中の物質について
鈴木 直治土居 養二豊田 榮
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1953 年 17 巻 3-4 号 p. 97-101

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抄録
(1) 水稻の稻熱病感受性品種を供試し,病斑褐變の原因物質を迫求した。
(2) チロシン,トリプトフアンは褐變の主要な原因物質とは考えられない。
(3) フエノール化合物を檢出する目的でヂアゾ試藥を切片に加えたところ健全組織では特定組織の細胞膜(第3圖a参照)に,病變組織や生理的に黄攣した組織では全面的に呈色が起ることを見出した。
(4) ヂアゾ試藥により呈色を起す細胞膜の物質は他の試藥による反應からクロロゲン酸であろらと推定した。但し篩部細胞膜の呈色はま直ちにクロロゲン酸とは云い切れない。
(5) 葉に含まれるクロロゲン酸はべーパークロマトグラフイーでも檢出された。
(6) 病斑組織の細胞膜の福變についてはクロロゲン酸が原因となることは容易に考えられるが,細胞内容の褐變ついては更に檢討を要する。
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