日本植物病理学会報
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稲熱病菌に於ける生理的分化の研究
栃内 吉彦島村 光太郎
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1932 年 2 巻 5 号 p. 414-441

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抄録

1. 各地より蒐集せる稻熱病菌 (Piricularia Oryzae) の各種培養基上に於ける性質は系統の異るに從ひて互に同一ならず。
2. 杏浸出液寒天培養基上に於て六型、玉葱煎汁寒天培養基上に四型、稻藁煎汁寒天及びペプトンー蔗糖合成培養基上に夫々三型を識別し得。
3. 上記四種の異る培養基上に於ける培養性質の相關的差違によう九箇の相異る生理的型 (Physiologic forms) に分類することを得。
4. 稻藁煎汁寒天培養基上に於て第一, 二, 三, 四及第五型に属するものは28℃ に於けるよりも25℃. に於てより良好なる發育を示し、第六, 七, 八及九型に屡する竜のはこれと反對なる關係を示す。
5. 是等各生理型の殺菌稻藁上に生ぜる分生胞子の長さの測定を行ひたるに第一, 二, 四, 五及九型の分生胞子は第三, 六, 七及八型の其等よりも梢々大型を示す。更に前者にありては分生胞子の先端は漸尖形をなし、後者に於ては鈍頭形をなす。

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